- ポスト
- みんなのポストを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷
第167回芥川賞(日本文学振興会主催)は20日、高瀬隼子(じゅんこ)さん(34)の「おいしいごはんが食べられますように」(群像1月号)に決まった。選考委員で作家の川上弘美さんによる講評は次の通り。【平林由梨】
候補5作の評価は拮抗
今回、候補となった5作の評価は拮抗(きっこう)した。
芥川賞を受賞した高瀬隼子さんの「おいしいごはんが食べられますように」は、職場での男女関係といった小さな集団内の人間関係を立体的に描いた。話としては、もしかしたらどこかで見たことがあるようなものかもしれないが、物語とはそういうもの。ある型があって、そこから少しずつ変奏して書かれていく。それをいかに書くかが小説だ。その技術が非常に優れていた。
芦川という女性の嫌さがうまく書かれていたし、芦川を認めていないのにそちらに行ってしまう二谷という男のだめさ具合も絶妙だった。人間の多面性をうまく描き、これは簡単なようだが実際に小説にするのはとても難しい。
この記事は有料記事です。
残り771文字(全文1187文字)