日本も影響工作の想定と対応を ICPO元総局長、中谷昇氏
毎日新聞
2022/1/25 06:30(最終更新 1/25 09:23)
有料記事
2815文字
- ポスト
- みんなのポストを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷
特定の意図を持って流布する「ディスインフォメーション」(偽情報)が安全保障上の脅威になりつつある。国や企業が取るべき対策はあるのか。国際刑事警察機構(ICPO)サイバー犯罪対策組織の元総局長で、ヤフーを傘下に持つZホールディングスの中谷昇・常務執行役員(52)に話を聞いた。【聞き手・木許はるみ】
ヤフコメ改変・転載「情報環境の汚染」
――毎日新聞は、ロシアの政府系メディア「イノスミ」がヤフーニュースの読者コメント欄をロシア語に翻訳して転載する際に、同盟国・米国からの離反をあおるような内容などに改ざん・加筆した疑い例を20件以上確認しました。複数の専門家は、ロシア国内の世論を固める「影響工作」の可能性を指摘しています。この状況をどう考えますか。
◆ICPOにいた立場としては、ロシア国内のメディアにおいて、日本の情報が誤った形で使われたり、ロシア国内の世論向けの工作として利用されたりしていると指摘されている点について、私たちがその意図を判断することは極めて難しいと考えています。イノスミのロシア語による情報発信が偽情報なのか、単純な誤りなのかは、外形的に判断がつきませんが、ロシア国内で適切に(情報やニュースが事実に基づいているか調べて正確な情報を共有する)ファクトチェックなどの対策がとられるべきです。
ヤフーとしては、ユーザーが書き込んだ意見や主張を原形をとどめないほど改変したり曲解したりすることは、不適切な行為だと考えます。「引用」の域を超えた恣意(…
この記事は有料記事です。
残り2182文字(全文2815文字)