箱根駅伝優勝目前で逆転された創価大アンカーの呪縛と今
正月の箱根駅伝のエントリー選手が発表された10日、創価大のメンバーに彼の名前はなかった。史上最高の2位に入った前回大会、アンカーを務めた4年生、小野寺勇樹(22)。各校16人のエントリーから本番を走る10人が選ばれるため、出場の道が断たれたことを意味する。「強くなって戻る」と誓ってから1年。逆転負けの「呪縛」に苦しみ続け、最後の駅伝を前回と異なる形で迎える。
高校時代のトラウマ
「厳しいと思っていたが、やっぱり……」。11月末、榎木和貴監督(47)との1対1の個人面談でエントリーメンバーからの落選を告げられていた。1年を通して調子が上がらず、記録会や練習で結果を残せなかった。「応援をしてくれた方々の気持ちに応えられなかった」。胸に広がったのは、悔しさよりも、申し訳なさだった。
今年1月3日の箱根駅伝、復路10区。当時3年生だった小野寺にとっては、出雲選抜、全日本と合わせた「大学3大駅伝」のデビュー戦だった。2日に往路で初優勝した創価大は復路も快調につないでトップを独走。9区を終え、2位の駒大に3分19秒差、距離にして1キロ以上のリードがあった。「みんな想像以上に走れている。自分もそれくらい走れるはず」。だが、高校時代に全国大会の出場経験がなかった小野寺は、駅伝にトラウマを抱えていた。
駅伝の強豪、埼玉栄高2年時、全国高校駅伝埼玉県予選で6区を走っている最中に左脚の肉離れを起こした。5キロで30分かかり、歩いてたすきをつないだが、チームの全国大会連続出場は22で途切れた。3年時は故障で出られなかった。「高校駅伝で失敗した分、大学駅伝では成功したい」との思いを抱いていた。
自身4年ぶりの駅伝となった箱根は重圧がかかった。大量リードで無理をする必要はなく、遅めのペースで走り始めたが、序盤から余裕がなく、次第に体が重くなった。「ペースを落とさないように踏ん張ろうとしても力が入らない。どうしたら良いのか分からなくなり、頭の中は『やばい、やばい』…
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