黒糖の販売不振が日本の安全保障を脅かすワケ
毎日新聞
2021/12/10 12:00(最終更新 12/20 11:12)
有料記事
1699文字
- ポスト
- みんなのポストを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷
「いま沖縄黒糖は存続の危機にあります」――。記者に一通のメールが舞い込んだ。差出人は以前取材した流通関係者。新型コロナウイルス禍による販売減で、産地である沖縄の離島が苦境に追い込まれているという。離島の業者からは、「販売不振は日本の安全保障にまで影響しかねない」といった懸念も出ている。一体何が起きているのか。
「沖縄の黒糖は八つの離島でしかほぼ製造されていません。ご存じでしたか」。メールの差出人であるシンクタンク、流通経済研究所の吉間めぐみ主任研究員を訪ねると、そう問いかけられた。産地を考えたことはなかったが、八つの島とは与那国、波照間、西表、小浜、多良間、粟国、伊江、伊平屋だという。
それぞれの島の黒糖シロップを試食させてもらい、驚いた。島ごとに香りや甘さなどに違いがあったからだ。黒糖は、原料のサトウキビの搾り汁を煮詰めて作る。製法が比較的簡単なため原料の風味が反映されやすく、島の土壌などによって味に違いが出るという。8島全てに黒糖の製糖工場があり、それぞれ独自の風味を持つ黒糖を作っている。8島で生産される黒糖は、国産黒糖の9割超のシェアを持つ。
そんな沖縄の黒糖だが、波照間島で製糖工場を経営する沖縄県黒砂糖工業会の西村憲会長は「販売激減で非常に苦しく、黒糖産業の存続が危うくなりかねない。このままでは離島が大変なことになります」と話す。
…
この記事は有料記事です。
残り1120文字(全文1699文字)