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アフガン2選手が夢舞台で見せた勇気、意思 騒乱の母国に届くか

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男子走り幅跳び(上肢障害T47)に出場し、競技後に笑顔で手を振るアフガニスタンのホサイン・ラスーリ=国立競技場で2021年8月31日、佐々木順一撮影
男子走り幅跳び(上肢障害T47)に出場し、競技後に笑顔で手を振るアフガニスタンのホサイン・ラスーリ=国立競技場で2021年8月31日、佐々木順一撮影

 騒乱の国にこの姿はどう届くのだろうか――。2人の選手の姿を見届けて、浮かんだ率直な思いだ。

 2人とは、イスラム主義組織タリバンが実権を掌握したアフガニスタンから出場をかなえたアスリート。陸上男子のホサイン・ラスーリ(26)とテコンドー女子49キロ級のザキア・フダダディ(22)だ。8月28日に来日し、ラスーリは31日、フダダディは今月2日に競技を終えた。

 アフガニスタンの首都カブールが、タリバンにより制圧されたのは8月15日のこと。国外への退避を図る人がカブールの空港とみられる場所へ殺到している様子をネット交流サービス(SNS)を通じて目にした人も多いだろう。

 国際パラリンピック委員会(IPC)のクレイグ・スペンス広報部長は翌16日、空港が閉鎖され東京への移動手段もないことから「アフガニスタンのパラリンピック委員会は参加できる状況ではない」として、大会不参加の見通しを示した。だが、そこから事態は動き始める。

 フダダディは「私は大会に参加する意思がある。私の手をとって助けてください。アフガン女性として参加する権利を奪わないで」などとするビデオメッセージを公表した。彼女は17日に東京へ到着する航空便に搭乗する予定だったが、政変に巻き込まれ「家に閉じ込められている状態」だったという。フランスなど複数の国や国際機関が水面下でサポートした結果、2人は23日にアフガンを出国。パリに滞在後、来日が実現した。「長年の夢」という舞台には、激動の半月を経てたどり着いた。

 アフガニスタンの地域研究に詳しい福岡大の林裕准教授によると、戦闘行為やテロ…

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