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金メダルで雄たけびを ボッチャ・広瀬隆喜、あくなき向上心

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日本代表の壮行試合で投球前に狙いを定める広瀬隆喜=東京都武蔵野市の武蔵野総合体育館で2021年7月13日、佐々木順一撮影
日本代表の壮行試合で投球前に狙いを定める広瀬隆喜=東京都武蔵野市の武蔵野総合体育館で2021年7月13日、佐々木順一撮影

 会心の投球を見せ、叫ぶ姿には喜びや鍛錬の軌跡がにじむ。重度の脳性まひや四肢まひの選手が出場するボッチャで、パラリンピック4大会連続出場となる広瀬隆喜(たかゆき)(36)=西尾レントオール。常識を覆す練習で身につけたパフォーマンスで悲願の金メダルを獲得し、「80代くらいという肺機能やぜんそくを持っている」という肉体で、再び雄たけびを上げるつもりだ。

 2016年リオデジャネイロ・パラリンピックを機に、名前は知らなくとも彼の顔は分かるという人が増えた。広瀬は3人1組で対戦するチーム(脳性まひ)の一員として日本史上初のメダルとなる銀メダル獲得に貢献。準決勝でポルトガルを破り、表彰台を確定させると、大きな声を上げる広瀬の姿が何度もメディアで取り上げられた。

 「雄たけびはチームメートの方を向かずにカメラ目線だったなと。やり過ぎた」と笑う。リオ大会では快進撃により会場の報道陣が徐々に増え、気持ちが高ぶった。今求めているのは一過性の熱ではなく、魅力が広まり根付くことだ。「リオ大会後はボッチャブームがあり、テレビ番組で雄たけびを求められることもあった。でも、本当は試合でやるもの。東京大会でやれたらいい」。この5年をその瞬間のために費やした。

 千葉県君津市出身。先天性の脳性まひのため電動車いすを使用する。中高と通った千葉県立袖ケ浦養護学校(現特別支援学校)で陸上などに挑戦した。卒業後も取り組める競技を探していた高等部3年の夏にボッチャを始めた。体幹機能が低く、握力こそ30キロ弱あるが腕は自在には動かせない。それでも「地上のカーリング」と呼ばれるボッチャと長年向き合い、持ち球を目標球にピタリと寄せたり、国内屈指の力強い速球で相手の球をはじき飛ばしたりする投球を会得した。

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