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「おべんと~、弁当は、いかがでしょうか~」。独特の抑揚をつけた声がホームに響く。JR鹿児島線・折尾駅(北九州市八幡西区)名物、弁当の立ち売りだ。かつては全国の駅で見られた光景だが、今では週末や観光シーズンに限定して販売する駅を入れても数えるほどになった。
声の主は今年、創業100年を迎えた弁当販売「東筑軒」(同区堀川町)の小南英之さん(61)。定休の水曜を除いて毎日、看板メニュー「かしわめし」など3種類の弁当が入った木箱を首から提げて通勤・通学客らが行き交う在来線ホームに立つ。車掌がかぶるような紺色の制帽がトレードマークだ。
創業以来続く立ち売りは2011年に当時の担当者の体調不良で一時休止したが、13年2月に小南さんが後を継いだ。売れるのは1日20個ほど。しかし、東筑軒が立ち売りを続ける最大の理由は売り上げではなく「古き良き時代の情景を残したい」(佐竹真人社長)という願いだ。
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