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尾身氏を越権扱い、竹中平蔵氏発言は科学者にどう響いたか

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竹中平蔵氏=東京都千代田区で2021年5月25日、大西岳彦撮影
竹中平蔵氏=東京都千代田区で2021年5月25日、大西岳彦撮影

 新型コロナウイルス禍での東京オリンピック・パラリンピック開催を巡る竹中平蔵元総務相(パソナグループ会長)の6日のテレビ番組での発言が波紋を呼んでいる。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が「今の状況で(の開催は)普通はない」と述べたことを「明らかに越権」と批判。「日本の国内事情で世界のイベントをやめることはあってはいけない」とも発言した。識者らは「科学を無視する行為」「論点がずれている」と指摘する。【大野友嘉子/デジタル報道センター】

「本当にエビデンスがない」

 竹中氏は6日の読売テレビの討論バラエティー番組「そこまで言って委員会NP」で次のように発言した。

 「例の分科会というのがね、あの座長の発言なんかひどいじゃないですか。だって別に分科会がオリンピックのことを決めるわけじゃないのに、明らかに越権でね。本当にエビデンス(根拠)が私はないと思いますけども、何か人流を止めればいいということになっているでしょ」

 この発言は、新型コロナウイルスの感染拡大が収まらない中、尾身氏が五輪の開催に強い懸念を示したことが念頭にあるとみられる。尾身氏は2日の衆院厚生労働委員会で「今の状況で普通は(開催は)ないが、やるということなら、開催規模をできるだけ小さくし、管理体制をできるだけ強化するのが主催する人の義務だ」と述べていた。

 竹中氏はさらに、20日までの緊急事態宣言を再延長するかどうかに関して「分科会がまた変なことを言う可能性があって。(分科会が)社会的になんか『専門家』と思われているから」と専門性を疑うかのような発言をした。その上で「オリンピックをやるかやらないかって議論は何であんなにするか、私はよくわからない。だって世界のイベントなんですよ。たまたま日本でやることになっているわけで、日本の国内事情で、世界のイベントをやめますということやっぱりあってはいけないと思いますよ。世界に対してやるっていうふうに言った限りはやるべき責任があって」と持論を展開した。

 他の出演者が「緊急事態宣言によってやりたいこともできないから国民が怒っている」と指摘したことについて「それだったら我慢しなきゃしかたない。コロナ菌(ママ)に怒ればいいじゃない」と語気を強めた。報道各社の世論調査で開催反対が賛成を上回っていることについても「世論が間違ってますよ、世論はしょっちゅう間違いますよ」と繰り返した(後に「世論は移ろいやすい」と修正)。

「反知性主義、極めて危険」

 竹中氏の発言は科学者の耳にどう響くのだろうか。

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