「近づく死」を前提にした演技/33
毎日新聞
2021/5/16 12:00(最終更新 5/16 12:00)
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この連載では木内みどりさんの政治的、社会的発言や行動を中心に紹介してきたが、女優としてはどのような存在だったのだろうか。まずは晩年の出演作品から「女優編」をスタートさせたい。【企画編集室・沢田石洋史】
「自分の消え方」を準備しながら
個々の俳優の演技を言葉で表現することは難しい。それは、聞いたことのない音楽を言葉で説明されても、どんなメロディーか想像できないのと似ている。だが、晩年の木内さんの演技については、こんなことが言えるかもしれない。「近づく死」を自覚した唯一無二の演技を残した、と。2019年1月、私のインタビューにこう話していた。亡くなる10カ月前のことだ。
「人生のカウントダウンは始まっていて、生活を小さくしていって、死んだら骨をどこに埋めるか、とか。自分なりの消え方を準備しているんですよ」
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