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兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開催中の第93回選抜高校野球大会は第6日の25日、第1試合で1回戦16試合が終了した。センバツ史上初のタイブレークも実施されるなど、今大会の延長戦は既に6試合を数え、大会最多の7回(1999年、2014年)を上回る勢いだ。もつれる接戦が多いのは、なぜだろうか。
開幕試合で神戸国際大付(兵庫)が延長十回、3―2で北海(北海道)に競り勝ち、続く第2試合も仙台育英(宮城)が1―0で明徳義塾(高知)を振り切り、初日から接戦が続いた。第5日(24日)第3試合は、センバツ史上初のタイブレークに突入。常総学院(茨城)が延長十三回、敦賀気比(福井)に9―5で勝利した。
春のセンバツは冬場の実戦不足で打者の目が投球に慣れていないため「投高打低」の傾向にあると言われ、夏の全国選手権より接戦が多くなるとされるが、今大会はより顕著に表れた格好だ。その理由について、明徳義塾の馬淵史郎監督は組み合わせ抽選会が大幅に早まったことを挙げる。今大会は新型コロナウイルスの影響を考慮し出場校のスケジュールを立てやすくするため、例年開幕約1週間前の抽選日を約1カ月前に前倒しした。このため、馬淵監督は試合前から「1回戦は、お互いに研究する時間があるため、接戦になるのではないか」と予想していた。
これに伴い、相手の研究の裏をかこうと試みるチームもあった。第5日第2試合で京都国際に延長十回、1点差で競り負けた柴田(宮城)の平塚誠監督は、大黒柱の先発右腕・谷木亮太(3年)について「東北大会ではカーブやチェンジアップなど変化球で抑えてきたので、相手は(変化球を)狙ってくると予想していた。序盤は直球中心に押し、まずまず抑えられた」と振り返った。組み合わせの決定から試合まで時間がある、今大会ならではの駆け引きも要因の一つのようだ。
今回のセンバツは1試合1万人を上限に有観客で実施しているが、センバツにつながる昨秋の地区大会は、東北、東京、四国以外の7地区は原則、無観客での実施だった。昨年の甲子園は史上初めて春夏ともに中止に。大半の選手が、大勢の視線を浴びて試合を戦うのは初めての経験だ。
常総学院は八回に追いつかれたが、敦賀気比に延長タイブレークの末に勝利した。常総学院の島田直也監督は「甲子園では点を取った側に歓声が上がる。追いつかれたことで1点の重み、試合の流れを感じた」と振り返った。一方、敦賀気比の東哲平監督は「甲子園の雰囲気の中で力が出せる選手と、縮こまってしまう選手がはっきりしていた」と渋い表情を浮かべた。コロナ下で無観客が続いた試合環境に慣れた選手たちに、観客が入った甲子園独特の雰囲気が試合展開にまで影響を及ぼしたようだ。
2回戦以降もどんな熱戦が繰り広げられるのか、期待したい。【伝田賢史】
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