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2011年に東日本大震災が起きたとき、官房長官だった枝野幸男・立憲民主党代表(56)は「ただちに健康に影響がない」と発言し、批判された。それについて、枝野さんは毎日新聞のインタビューに「正しく伝えられていない」と反論する。リスクに直面したとき、どんな情報発信が求められるのか。震災から10年を前に福島、宮城両県で震度6強を記録する余震が起きるなど、被災地の平穏はなかなか訪れない。被災地に今必要なことは何か。インタビューの2回目を紹介する。【聞き手・永山悦子/オピニオングループ】
――東京電力福島第1原発事故が起き、官房長官会見で「ただちに健康に影響がない」と発言して批判されました。リスクに関する情報発信は、どうあるべきでしょうか。
◆あの発言については、誤って理解されているので説明したい。震災直後は、私が臨んだ官房長官会見はすべてが報道された。最初から最後まで伝えられているときは、発言への批判はほとんどなかった。しかし、言葉の一部だけ報じられるようになってから問題が起きた。その典型が、あの発言だった。
あの発言の大部分は、食品から基準を超える放射性物質が検出され、出荷停止になった際のものだ。流通しているものを食べたとしても「ただちに健康に影響がない」と説明した。ある時点での放射線量測定値が、短時間で大量被ばくが問題になる値ではないことを述べた際には、それが長時間継続した場合のリスクについても説明している。原発事故や放射性物質一般について話したものではない。それなのに報道に「つまみ食い」されたものが広がってしまった。あれ以上に正確で率直な説明はやりようがなかったと思っている。
私は地震直後に官邸にいたスタッフに「情報はすべて出せ。絶対に隠すな」と指示を出した。それでも十分な情報が上がってこないことはあったが、「すべてを公にする」という姿勢で会見に臨んだ。
――現在の新型コロナウイルスに関する政府の情報発信はどうでしょうか。
◆発信量が少なすぎる。国民が一番聞きたいと思っている「今感染がどのような状況にあるのか」「なぜ、この政策判断に至ったのか」ということについて、まったく説明していない。また、発信者が一人ではないため、混乱が起きている。昨年春の党首会談では「発表はワンボイスにすべきだ」ということも提案した。現状は、発信者が官房長官、経済再生担当相、厚労相、さらに専門家もいて、だれの話を優先すればよいのか分からない。司令塔の話と同じで、だれかが責任を持って、毎日繰り返し発信しなければ、国民へ必要な情報が届かない。
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