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10万枚の「#関東雪結晶」 市民がスマホで撮影、降雪予測の精度向上

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 大雪が降ると、特に首都圏の交通網は大混乱ということも珍しくない。実は太平洋側の雪に関するデータは十分でなく、未解明な部分も多いのだとか。データ収集のため、気象庁の研究員が考案したのが市民参加型研究プロジェクト「#関東雪結晶プロジェクト」だ。開始から約4年。研究成果も見えてきた。

 仕組みはわりと簡単。市民にスマートフォンなどで降った雪の結晶を撮影してもらう。この画像をツイッターに「#関東雪結晶」のハッシュタグを付けて撮影日時と場所と共に投稿してもらう。これを研究に活用する。考案したのは、雲研究者でアニメ映画「天気の子」(新海誠監督)で気象監修も務めた気象庁気象研究所研究官の荒木健太郎さん(36)だ。参加手法の手軽さがうけて、これまでに10万枚以上の画像が集まった。開始した2016年は関東甲信地方限定だったが、19年から対象地域を全国に広げた。

 きっかけは、首都圏を直撃した14年2月の大雪だった。「2週連続の大雪で交通機関はマヒしました。この時、気候学や雪氷学、災害情報学など、多分野の研究者とともに首都圏の雪の研究を始めました」。荒木さんは全体の取りまとめと低気圧や雲の現象などを担当した。だが観測データが少なすぎて、分からないことが多かったという。

 そもそも日本海側と太平洋側では大雪のメカニズムが違う。日本海側では、西高東低の冬型の気圧配置が強まった時に、大陸から流れ込む寒気が日本海で暖められて大気に水蒸気が供給される。海上に筋状に並んだ積乱雲が発生し、それが次々と陸地に入って雪をもたらす。20年12月に日本海側に降った大雪もこうしたメカニズムで起きた。

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