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アラブ失われた春

「アラブの春」は幻だったのか。10年後の今を報告する。

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アラブ失われた春

民主化運動から10年 エジプト、革命の夢遠く 民主化停滞、政治熱冷め

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タハリール広場で戦車に上りムバラク政権打倒を叫ぶデモ参加者=カイロで2011年1月29日、和田浩明撮影
タハリール広場で戦車に上りムバラク政権打倒を叫ぶデモ参加者=カイロで2011年1月29日、和田浩明撮影

 2010年12月にチュニジアで始まった中東の民主化要求運動「アラブの春」は翌11年、地域大国エジプトにも波及した。1981年から長期独裁政権を維持してきた軍出身のムバラク氏(20年死去)は市民のデモを抑えられず、11年2月に大統領を辞任。だがエジプトはその後、イスラム組織「ムスリム同胞団」主体のモルシ政権を経て、再び軍出身のシシ大統領による統治が長期化しつつある。革命は既に遠い記憶となったのか。【カイロ真野森作】

 「ムバラク辞任の日、私は涙を流しました。幸福感だったか驚きだったか分からないけれど」。元学生活動家で大学助手の女性ヌーランさん(30)はこう振り返る。デモの中心地となった首都カイロのタハリール広場に何度も足を運び、言論の自由などを求めて声を上げた。デモ行進中、警官隊と軍部隊に挟み撃ちにされそうになるなど危険な場面も切り抜けた。

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