東日本大震災10年 被災した子どもや保護者の心はどう変化したか?
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災害で親を亡くした子どもたちへの精神的ケアのために何が求められるのか。一般社団法人「東日本大震災子ども・若者支援センター」(仙台市)代表理事の足立智昭・宮城学院女子大教授(発達心理学)と、理事の柴田理瑛(みちあき)・東北福祉大講師(同)に聞いた。【聞き手・関谷俊介】
――東日本大震災から2021年3月で10年を迎える。被災した子どもや保護者の心の状況をどう見るか。
足立 19年に震災孤児を対象とした調査に参加したところ、メンタルヘルスは良好とは言えず、2割ほどが気分障害か不安障害に分類されるレベルだった。通常の2倍の水準である。どのような支援が役に立ったか尋ねたところ、「経済的支援」と答える人が多かった。一方、中高生の時にどういう支援があったら良かったか尋ねると、「不安なく話せる場所があったら良かった」「両親がいないので祖父母や親戚に相談できないことを相談できる場が欲しかった」「同じ境遇の人たちと話せる機会が欲しかった」などの回答が多かった。「心のケア」の案内はあっても参加するにはハードルが高い。「よかったら来てください」では、なかなか参加できない。震災孤児であっても心の支援につながっていたと思われる人は半分ほど。十分な治療を受けられず、10年たっても苦しんでいる人たちがいる。それでも子どもはまだ学校を通して心の支援につながる機会があったかもしれないが、保護者にはそのような機会は乏しかったと推察される。
柴田 震災後、私たちが「心のケアをやります」と言っても子育てに忙しい親が来ることはめったになかった。20年に、宮城県内で0~8歳の子どもを持つ親を対象に子育て講座をしたが、育児に対する思いやストレスを「ようやく話せました」という参加者もいた。終わってから「こういう場所を求めていた」と言って、参加者同士で連絡先を交換し合っていたのが印象的だった。このように平時においても小さな子を育てている親はソーシャルサポート(人とのつながり)を求めている。災害直後はコミュニティーが分断され、ソーシャルサポートは殊更希薄になる。心の治療が必要な人には医療を中心とした「治療」を、治療の必要がない人にはソーシャルサポートの提供を中心とした「心のケア」を、きちんと線引きして対応することを今後の教訓にしてほしい。
――10年で子どもや保護者の心はどう変化したか。
足立 少なくとも私たちが見ている限り、一つ局面が変わったと思うのが、…
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