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2020大阪都構想

2020年11月1日投開票の大阪都構想住民投票を巡る動きを追います。

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政令市と道府県、都市像違い浮き彫り 連携構想の議論深まらず 大都市制度アンケ

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 大都市制度を巡るアンケートでは、政令市と道府県が目指す都市像の違いや、新型コロナウイルス対策を巡る連携面での課題が浮かんだ。「大阪都構想」を評価する声がある一方、各地の政令市と県の連携構想の議論は深まらず、立ち消えになっているのが現状だ。

 権限や財源を巡る政令市と道府県の対立は長年続く問題だ。1947年施行の地方自治法で府県から独立する「特別市」が規定されたが、府県側が猛反発。56年の法改正で導入された政令市は、あくまで道府県の下に位置する形になった。「大阪都構想」はその政令市を無くし、インフラ整備など広域行政の権限を府に一元化する。アンケートでは12政令市が、逆に市の権限を強める「特別自治市」の制度化を求めた。

 特別自治市は国以外の全事務を市で担当し、市域では都道府県の存在を無くす仕組みで、指定都市市長会が2010年に提唱。実現には法整備が必要だが、岡山市(大森雅夫市長)は「基礎自治体(市区町村)優先の原則に基づき、広域自治体(都道府県)との2層制を解消すべきだ」と評価した。横浜市は13年、「横浜特別自治市大綱」を策定。市域の事情に応じた政策を市が一元的に実施することで、経済の活性化や二重行政の解消を目指すといい、林文子市長は「県は特別自治市以外の地域に、限られた人的・財政的資源を投入することができ、メリットがあると確信している」とした。

大阪は地方自治史上、初の政令市消滅となるか

 都構想の是非を問う住民投票で、賛成が1票でも上回れば、日本の地方自治史上、政令市が消滅する初めてのケースになる。立命館大の森裕之教授(地方財政)は「政令市は、市外からも人が集まり、経済活動をすることで周辺自治体にも富の分配を広げるという『母(ぼ)都市』の役割を果たす。その中枢機能を失えば、関西全体に与える影響は大きい」と話す。

 一方で知事からは都道府県境を越えた広域連携を提案する声も。広島県(湯崎英彦知事)は国内を10程度の地域に分けた「地域分権型の道州制の導入が必要」と回答。静岡県(川勝平太知事)は持論の「四つの洲(くに)」を紹介し、「国、洲、基礎自治体の3層構造が望ましい」とした。兵庫県(井戸敏三知事)は既にある「関西広域連合の活用」を提案した。

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