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核被害の悲惨さを訴え続ける被爆者の声に耳を傾け、平和と核廃絶を求める思いを伝えます。

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’15秋/2 川野浩一さん 9条守る、これからも

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長崎に原爆が投下された日にちなんだ毎月9日の「反核」座り込みに参加する川野浩一さん=長崎市で2015年11月9日、津村豊和撮影
長崎に原爆が投下された日にちなんだ毎月9日の「反核」座り込みに参加する川野浩一さん=長崎市で2015年11月9日、津村豊和撮影

<千の証言に寄せて documentary report 190>

 晩秋の9日昼、長崎市の平和祈念像前に市民が集まった。長崎に原爆が落とされた8月9日にちなみ、毎月9日に核廃絶を訴えて座り込みをする。その輪の中に、原水爆禁止日本国民会議議長の川野浩一さん(75)の姿が見られた。

 「(安全保障関連法の)反対運動は持続させていきましょう。もっと声を上げていかないといけません」。マイクを握り、訴えた川野さんの表情は厳しい。安保関連法が成立して2カ月もたたないうちに、世間の話題や関心が政府の経済対策などに移り、焦りに似た思いが募っていた。

 被爆時は5歳。爆心地から3・1キロの長崎市の自宅近くの路上にいて、上空を飛ぶ米軍のB29爆撃機をふと見上げた直後、原爆による爆風で10メートル以上吹き飛ばされた。幸いけがはなく、家族も無事だった。防空壕(ごう)では祖父母が「大やけどして男か女かわからない人がたくさん通っている」と子供たちを奥にとどまらせた。この夜、別の大きな防空壕に向かう途中、山の上から見た市街地が真っ赤に燃え上がっていた。

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