多様化する声優の仕事、チャンスは広がっている？　マルチに活動する小松美智子さんに聞く

視野を広げ、人間としての「幅」を広げるのに有利な環境

　一方、活躍の場が幅広くなっていることは、とらえ方次第では有利な環境だと、小松さんは話します。

「アニメへの出演だけにこだわっていると、自らを高めるチャンスはなかなか広がらない可能性もあります。さまざまな分野の仕事に挑戦していくことで、より多くの学びや気づきが得られますし、仕事の幅が広がるだけでなく、人間性そのものも深まり、自身の芝居にも生かされていくでしょう」

　小松さん自身は、テレビ局に所属するアナウンサーとしてキャリアをスタートさせ、「情報を分かりやすく伝える」というアナウンサーの仕事をするなかで、人間の心や感情を表現する仕事への興味が高まり、養成所に通って声優の仕事に挑戦。そこから精神保健福祉士やキャリアカウンセラーのような、直接人の心や人生と向き合う仕事へ……というように、自らの関心を深めて追究することで現在の多彩な活動につながってきたといいます。

　現在は、若年層のキャリア支援や、新人へのボイストレーニング指導なども手がけ、声優を目指す若い世代とも普段から接している小松さん。

「『アニメが好きだから』『有名になりたいから』『芝居をしたいけれど容姿に自信がないから』など、声優になりたい理由は人それぞれ。彼らのなかには、自身が辛い状況に置かれ心がゆらいだときにアニメ作品に元気づけられた経験から、『今度は自分が誰かを元気づけられたら』という思いを持つ人も。ひとつのジャンルに固執することなく、でも自分の軸や方向性を見失わずに活躍してもらえたらと願っています」と話しています。

（マグミクス編集部）

●小松美智子（こまつ・みちこ）
フリーアナウンサー・声優・ナレーター

広島市生まれ。成蹊大学法学部卒業後、日本海テレビジョン放送（2001年4月～）、広島ホームテレビ（2004年4月～）、テレビ愛知（2005年4月～）でアナウンサーとして勤務。現在はフリーアナウンサー、声優、ナレーターのほかに精神保健福祉士、キャリアカウンセラーとして活躍。2019年より先行劇場上映予定の『蒼穹のファフナー THE BEYOND』に出演。