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実践!プレスリリース道場

東京ドーム、取材を呼び込む年3回発行の「ニュースレター」を分析

井上岳久(井上戦略PRコンサルティング事務所・代表)

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新聞や雑誌などのメディアに頻出の企業・商品のリリースについて、配信元企業に取材し、その広報戦略やリリースづくりの実践ノウハウを紹介する「リリース道場」。今回は、東京ドームシティが年に3回発行しているニュースレターを紹介します。

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これまで当連載では数多くのプレスリリースを取り上げてきましたが、今月は応用編として、その集合版というべき「ニュースレター」を取り上げます。参考にするのは複合エンターテインメント施設「東京ドームシティ」のニュースレターです。

前提としてニュースレターとは何かを説明しておきますと、年に数回程度、自社の最近のトピックスをまとめて紹介する広報資料で、枚数が多くなるため、小冊子状に綴じて配布している企業もあります。

東京ドームシティでは現在、2月末に春号、5~6月に夏号、10月末に冬号と、年に3回ニュースレターを発行しています。春は東京ドーム球場で野球が始まりますし、春・夏・冬には子どもたちの長期休暇があり、冬にはクリスマスもあります。エンターテインメント産業にとってかき入れ時で、東京ドームでも多くのイベントが重なる直前の時期に発行していることが分かります。宣伝広告部PRグループ長の荻野雅之さんによれば、かつては月に一度ニュースレターを発行していたのが、2009年から現在のスタイルに落ち着いたそうです。

カタログ編集のセンスが必要

では実際のニュースレターの構成を見ていきましょう。まず1枚目はダイジェストとして、春号に載せている話題の一覧を掲載しています。先述したとおり、ニュースレターは枚数が多くなるので、最初に全体像が見渡せるよう、目次の役割を担っているのです(Point1)。プレスリリースでも最初に全体のダイジェストを提示することはありますが、目次などは付けませんから、ここが大きく異なるところです。読み手が興味のあるページにたどりつきやすいよう、話題がそれぞれ何ページに載っているか、ページ数まで具体的に表示してもいいでしょう。

全体構成はこの目次ページ(表紙)と、カテゴリーごとに分類したそれぞれの話題の説明(本文)、最終ページの企業概要(結び)と、シンプルかつ分かりやすい3部構成になっています(Point2)。これも長年ニュースレターを制作する中で行き着いた究極の形かもしれません。

さらに細かく見ると、本文にあたる各商品やイベントの表示が、タイトルと内容解説、料金などの必須項目と分かりやすく定型化されています。(Point3)もしこれが、話題ごとに構成要素や項目の順番が異なっていたら、非常に煩雑な印象を受けるのではないでしょうか?あとで書きますが、ニュースレターの編集はそれぞれの部署から、様々な状態で上がってきた情報をまとめる作業になります。各部署からバラバラにやってくる情報を読み手に見やすく編集するのが広報の手腕。通常のニュースリリースほど詳しく書くこともできないため、カタログ編集的なセンスが要求されるのです。

小ネタももれなく把握

ではこのニュースレターづくり ...

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