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【破竹の勢いで再生】竹の活用方法とSDGsへの可能性

公開日: 更新日:2023.12.22
【破竹の勢いで再生】竹の活用方法とSDGsへの可能性


「竹」という自然の贈り物は、ただの植物以上の意味を持ちます。

竹は、成長が早く、伐採後も再び生えてくることから、持続可能な素材として注目されています。また、竹は、さまざまな用途に活用できることから、近年その活用が広がっています。

竹は、SDGsの達成に貢献する可能性を秘めた素材です。
その可能性を探ることで、私たちの生活や社会にどのような変化をもたらすことができるのか、考えてみましょう。


竹林の変容とSDGs

竹林

竹林管理と環境問題

竹は、1年で数メートルもの成長を遂げ、伐採後も切り株から再び生えてくるという驚異的な再生力を持つ植物です。

そのため、適切な管理がなされないと、他の植物の生育を妨げるなど、環境問題を引き起こす可能性があります。
しかし、適切に管理された竹林は、CO2の吸収や土壌の保全に貢献し、生物多様性の保護にも役立ちます。

日本では竹林の適切な伐採が行われ、持続可能な林業の一環として位置づけられています。
このように竹林管理は、環境保全と経済活動のバランスを取る重要な要素となっているのです。

しかしながら、近年、竹林の面積は減少傾向にあります。その理由としては、農地転用や過放置などの人為的な要因と、温暖化や干ばつなどの自然要因が考えられます。

竹林の減少は、さまざまな環境問題を引き起こします。

生物多様性の減少:竹林は、さまざまな生き物が住む生息地となっています。竹林の減少は、これらの生き物の生息地を奪い、生物多様性の減少につながります。
温室効果ガスの増加:竹は、成長過程でCO2を吸収し、大気中のCO2濃度を下げる効果があります。竹林の減少は、この効果を低下させ、温室効果ガスの増加につながります。
土壌流出の増加:竹林は、土壌の保水力を高める効果があります。竹林の減少は、土壌の保水力が低下し、土壌流出の増加につながります。


SDGsへの竹の貢献

竹は、その持続可能な特性により、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に大きく貢献しています。

竹製品はプラスチックの代替として注目されており、環境負荷の低減に一役買っています。
また、竹は成長が早く、農薬や化学肥料を必要とせず、環境への影響が少ないため、サステナブルな素材として重宝されています。
さらに、竹を利用した地域経済の活性化は、SDGsの「貧困をなくそう」や「産業と技術革新の基盤をつくろう」などの目標達成に寄与しています。

具体的には、以下のSDGsの目標の達成に貢献することができます。
15番目の目標:陸上生態系の保全、回復及び持続可能な利用
竹林は、さまざまな生き物が住む生息地となっています。竹林の再生は、生物多様性の保全に貢献します。
12番目の目標:持続可能な消費と生産のパターンを確立する
竹は、成長が早く、伐採後も再び生えてくるという特徴があります。そのため、資源の枯渇を防ぎ、循環型社会の実現に貢献することができます。
13番目の目標:気候変動に具体的な対策を、世界全体で実施する
竹は、成長過程でCO2を吸収し、大気中のCO2濃度を下げる効果があります。そのため、温室効果ガスの削減に貢献することができます。


サステナブルな竹利用法

竹の利用法は多岐にわたり、サステナブルな社会構築に貢献しています。

家具や建築材料、日用品など、幅広い製品に竹が使われています。
竹は丈夫で軽く、美しいデザインを実現できるため、家具などのインテリア製品に特に適しています。また、竹炭は土壌改良材や水質浄化材として利用され、環境保全にも一役買っています。

これらの利用法は、資源の有効活用と廃棄物の削減につながり、サステナブルな消費と生産を推進しているのです。

竹をサステナブルに利用するために、以下の点に注意する必要があります。

持続可能な管理を行う
竹林の持続的な利用のためには、適切な管理が必要です。竹林の過放置や乱伐は、竹林の減少や生態系の破壊につながります。
加工技術を向上させる
竹は、加工が難しいという課題があります。加工技術の向上により、竹製品の品質を向上させ、さまざまな用途に活用しやすくなります。
新たな活用方法を開発する
竹の新たな活用方法を開発することで、竹の利用範囲を拡大することができます。例えば、プラスチック代替品としての活用や、医療・健康分野での活用などが検討されています。


資源としての竹活用

ラタン家具

竹製品の多様性

竹は、軽量で丈夫、加工しやすいという特徴を持つ、優れた素材です。そのため、建築材、家具、日用品、食品など、さまざまな用途に活用されてきました。
近年、竹加工技術の進歩により、竹製品の品質が向上し、その多様性と革新性で注目を集めています。

建築資材:竹は、軽量で強度が高いため、建築資材としても活用されています。例えば、竹でできた柱や梁は、コンクリートや鉄に比べて軽量で、耐震性にも優れています。
家具:竹は、軽量で加工しやすいため、家具としても人気があります。竹でできた椅子やテーブルは、見た目にも美しく、使い心地も良いと評判です。
日用品:竹は、丈夫で耐久性が高いため、日用品としても活用されています。例えば、竹でできた箸やスプーンは、使い込むほどに味わいが増すとされています。
食品:竹は、食用としても活用されています。たけのこは、春の味覚として親しまれています。

これらの製品は、耐久性が高く長持ちするため、経済的でありながら環境に優しい選択となります。


エコ素材としての竹の魅力

竹はその驚異的な成長力で、持続可能な資源管理に大きく貢献しています。

わずか1年で数メートルも成長し、伐採後も切り株から再び生えることで資源の枯渇を防ぎ、循環型社会の実現に一役買っています
また、成長過程でのCO2の吸収と酸素の放出は、その環境への利益をさらに高めます。特に、竹の高いCO2吸収能力は、地球温暖化防止に重要な役割を果たし、温室効果ガスの削減にも貢献しています。
さらに竹は、加工しやすいという特徴もあります。そのため、さまざまな用途に活用しやすい素材と言えます。

このように、竹は環境保全と資源の持続可能性の両面で、私たちの未来に希望をもたらしているのです。


地域発展に貢献する竹活用

竹は地域発展にも大きく貢献しています。例えば、竹を使った商品の生産は地域経済を活性化させる要因となります。

雇用創出:竹の加工や流通、販売など、竹の活用にはさまざまな雇用創出効果があります。
地域産業の振興:竹は、地域の伝統や文化と結びついた素材でもあります。そのため、竹の活用は、地域産業の振興にもつながります。
環境保全:竹林は、さまざまな生き物が住む生息地となっています。竹林の保全は、地域の環境保全にも貢献します。

竹の栽培や加工に関わる職人や小規模事業者は、地域の雇用創出に寄与しています。また、竹林の管理は地域の環境保全にも役立っており、観光資源としての竹林は、自然と文化の魅力を結びつける新たな観光スポットとなり得ます。

このように、竹の活用は、地域経済と環境の両面で貢献しているのです。


竹の新たな可能性

竹食器

代替品としての可能性

竹はその持続可能性から、多くの製品の代替素材としての可能性を秘めています。特に、プラスチック製品の代わりとなる竹製品は環境に優しく、使い捨て文化への良い代替案です。

プラスチック代替品:竹は、プラスチックに比べて、CO2の排出量が少なく、リサイクルしやすいという特徴があります。そのため、プラスチックの代替品として、さまざまな製品に活用されています。例えば、竹でできたストローや箸、容器などがあります。
木材代替品:竹は、木材に比べて、成長が早く、伐採後も再び生えてくるという特徴があります。そのため、木材の代替品として、建築材や家具、日用品などに活用されています。
紙代替品:竹は、紙に比べて、強度が高く、耐久性が高いという特徴があります。そのため、紙の代替品として、包装材や雑貨などに活用されています。

竹ストローや食器などは、プラスチックごみの削減に貢献し、海洋汚染問題の解決に一役買っています。
また、竹製の衣料品やアクセサリーも市場で注目を集めており、環境への影響を抑えた持続可能なファッションの選択肢となっています。


竹炭と環境負荷軽減

竹炭は、竹を高温で炭化させたもので、多孔性の高い構造を持っています。竹炭は、化学物質を含まない自然素材で、消臭や調湿、空気清浄、吸着などの効果があり、さまざまな用途に活用され、環境負荷の軽減に大きな役割を果たしています。

【消臭・調湿】
竹炭は、空気中の有害物質を吸着し、ニオイを消臭する効果があります。また、湿気を吸収し、室内の湿度を調節する効果もあります。そのため、トイレや下駄箱、冷蔵庫などの消臭・調湿に活用されています。

【吸着】
竹炭は、水や油などの汚れを吸着する効果があります。そのため、水質浄化や土壌改良、油汚れ対策などに活用されています。これにより、農業や水産業において化学肥料や殺虫剤の使用を減らし、環境に優しい生産活動が可能となります。

【デトックス】
また、多孔性構造と吸着能力の高さから、美容分野ではデトックス効果や肌の清浄化に利用されることもあります。

竹炭は自然環境だけでなく、日常生活の質の向上にも貢献しているのです。


医療・美容への応用

竹はその環境に優しい特性と成長の速さで知られていますが、最近では医療と美容の分野でもその可能性が注目されています。
竹には、以下の特徴があり、それらの作用を活用した製品の開発が進められています。

【抗菌・抗ウイルス作用】
竹の繊維には、抗菌・抗ウイルス作用があると言われています。そのため竹を使ったマスクや手袋、食品包装材などが開発されています。これらの製品は、新型コロナウイルス感染症などの予防や拡大防止に貢献することが期待されています。

【抗酸化作用】
竹の成分には、抗酸化作用があると言われています。そのため、竹を使った製品には、老化の抑制や肌のターンオーバーの促進、紫外線によるダメージから肌を守ったりする効果が期待され、化粧品や日焼け止めなどが開発されています。

【鎮痛・消炎作用】
竹の成分には、鎮痛・消炎作用があると言われています。傷の痛みや炎症を抑える効果のある包帯や湿布などが開発されています。

これらの特性により、竹は天然のスキンケア製品や健康補助食品の原料としても利用され、環境に配慮しつつ人々の健康と美容を支える新たな素材として期待されています。


持続可能な街づくりと竹

竹建築

竹を活用した都市開発

竹は、都市開発において持続可能な街づくりを実現するための理想的な素材として注目されています。

急速に成長し、大量のCO2を吸収する竹は、都市部の緑化に不可欠な役割を果たしています。
その結果、竹は都市の景観向上だけでなく、地域の気候調節にも貢献しており、都市部の持続可能な開発と自然環境の調和に一役買っています。

特に、竹は以下のようなメリットを持っています。
CO2の吸収・固定能力に優れ、成長過程で大気中のCO2濃度を下げることにより、温室効果ガスの削減に貢献します。
また、伐採後も再生するため、資源の枯渇を防ぎ、環境負荷の低減にも繋がります。この再生能力は、竹を用いた建築材料や都市設計において、木材や鉄などの他の資源の消費を抑える効果を持ちます。
さらに、竹は緑豊かな景観を生み出す効果があり、竹製の歩道や公園の施設など、竹を使った街づくりは都市の景観を向上させ、居住者の生活の質(QOL)向上にも寄与します。

これらの特性を活かした竹の利用は、都市部における持続可能な開発への道を切り拓いています。


サステナブルな建築と竹

竹はサステナブルな建築素材としての多くの利点を持っています。

竹の構造はエコフレンドリーな建築物の構築に貢献し、また、その再生可能性は建築廃材の削減につながります。竹を用いた建築デザインは自然と調和し、美しい空間を生み出すことで住環境の質を高めます。

竹の建築における具体的なメリットには、以下のような点が挙げられます。
まず、竹は強度と耐久性に優れており、建築資材としての活用が可能です。さらに、軽量であるため、耐震性にも優れ、地震のリスクが高い地域での使用に適しています。
竹は加工しやすく、施工のしやすさも大きな利点です。また、木材や鉄に比べてコストが安いため、経済的な建築プロジェクトにも適しています。

これらの特性を活かした竹の利用は、環境に優しく、コスト効率の高い、サステナブルな建築への道を開いています。


地域文化振興への竹の役割

竹は、古くから日本や中国などの東アジア地域で、さまざまな用途に活用されてきました。そのため、竹は地域の伝統や文化と結びついた素材と言えます。

竹細工竹の工芸品は、日本や中国など東アジア地域の古くからの伝統文化と深く結びついており、地域固有の技術やデザインを現代に伝えています。これらの工芸品は、地域の観光資源としても非常に重要で、地域経済の活性化に大きく寄与しています。

竹の活用は、地域の伝統や文化との結びつきを強化し、さまざまな雇用創出効果を生み出しています。竹の加工、流通、販売に関わる活動は、地域の雇用を支える重要な要素となっています。
さらに、竹を使った製品の開発や竹を活用した観光振興など、地域産業の振興にも大きく貢献しています。

竹林を活用したイベントや祭りは、地域コミュニティの絆を強化し、文化の継承と発展に貢献しています。例えば、竹林を舞台にした音楽祭や、竹林を散策しながら竹細工を作るワークショップなど、さまざまなイベントや祭りが開催されています。



このように、竹はその持続可能な特性を活かし、地域文化振興のみならず、都市開発や建築など様々な分野で持続可能な社会の実現に寄与する可能性を秘めています。

今後も竹の活用がさらに進むことで、多岐にわたる分野での持続可能な発展が期待されます。



【参考】

林野庁:竹の利活用推進に向けて

農林水産省 aff(あふ):竹のおはなし 2013年1月号                

一般財団法人 竹文化振興協会 (kyoto-inet.or.jp)

一般社団法人 竹資源研究所





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この記事を書いた人

中川

環境開発学を専攻し、大学時代に交換留学で訪れた北欧でエコライフに目覚めました。帰国後、国内外のエコプロジェクトに参加し、サステナブルな食文化や食品ロス削減のヒントを発信しています。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。