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いちごの等級はどれぐらいある?

公開日: 更新日:2024.01.05
いちごの等級はどれぐらいある?

いちごの等級はいくつある?

かごに入ったいちご

いちごの等級

日本のいちごには等級があります。全農(日本農業協同組合連合会)による出荷規格での等級分けがよく知られています。

全農の指針によれば、いちごは「特A」「A」「B」の3つの等級に分けられます。これらのカテゴリーは非常に重要で、消費者がいちごを選ぶ際の参考情報にもなります。

等級は、いちごの外観、形状、大きさ、糖度など多くの要素で決定されます。農家もこれらの等級を意識して、高品質ないちごを生産する努力をしています。したがって、全農の等級は、農家、販売者、消費者にとって参考になる重要な基準となっています。


等級ごとの特徴

特A(特上):この等級のいちごは、形が均一で大きさも大きく、鮮やかな赤色をしています。また、風味や糖度も非常に高く、食べた瞬間にその品質の良さがわかるでしょう。
これらの特性から、特Aのいちごは贈答用や特別な場で楽しむために選ばれます。

A(上品):A等級のいちごも非常に高品質ですが、特Aほどではありません。糖度は高いものの、形や大きさに多少のバラつきがあることもあります。
しかし、それでも風味は非常によく、一般的なデザートや料理に使われます。

B(普通品):B等級のいちごは、多少の形や色の不均一性があるものの、味自体は悪くありません。
一般的には、この等級のいちごはジャムやスムージー、料理に使われることが多いです。


いちごの価格

いちごの価格は、等級によって大きく異なり、消費者がいちごを選ぶ際の重要な指標となっています。

特Aはその品質からも非常に高価で、高級スーパーや専門店でよく見かけます。特に、ギフトや贈答用としていちごを購入する際には、多くの人々が特A等級の高価ないちごを選びます。
A等級のいちごは、特Aに比べると手が届きやすい価格帯であり、スーパーマーケットでも多く販売されています。日常的な消費であれば、A等級のいちごでも十分な品質があり、コスパも良いとされています。
B等級は最もお手頃な価格で、大量に購入して加工食品にする方々には最適です。等級が低いと価格も安くなるため、家庭での加工用やジュース、スムージー作りには低等級のいちごが選ばれることも多いです。

このように、等級と価格は密接な関係にあり、消費者の選択に大きく影響を与えています。特に日本では、いちごは季節商品ともされ、旬の時期や品種によっても価格が変動するため、等級と併せてこれらの要素も考慮する必要があります。


いちごの等級と販売

子どもがいちごを食べている

パックわけの基準

いちごが消費者に届く前には、等級に基づいてパックわけが行われます。この段階でいちごは「特A」「A」「B」のいずれかのラベルがつけられます。

パックわけは非常に重要で、等級によって選別されたいちごはそれぞれ異なる用途や市場で販売されます。特A等級のいちごは主に高級スーパーや専門店、またはオンラインショッピングで高価に販売されます。A等級のものは一般的なスーパーマーケットや食品店で見かけることが多く、B等級は加工用に回されることが多いです。

さらに、等級別にパックのサイズや形状も異なる場合があります。例えば、特A等級のいちごは大きなパックに少量ずつ丁寧に配置され、その豪華さが強調されることが多いです。一方で、B等級のいちごは大量に詰められることが一般的です。

このように、パックわけはいちごの品質だけでなく、消費者がいちごを選ぶ際の重要な要素でもあります。


ショップごとの等級表記

ショップによっては全農の等級をそのまま採用している場合もありますが、独自の表記を用いる場合も少なくありません
例えば、あるスーパーマーケットでは「プレミアム」、「スタンダード」、「エコノミー」といった表記がされていることもあり、これはそれぞれ「特A」、「A」、「B」に対応しています。
このように、店舗ごとに表記が異なる場合がありますので、消費者としてはそのショップ独自の等級表記を理解する必要があります。

また、専門店や高級スーパーでは、「特A」等級でもさらに上質なものを選び、「特選」や「極上」といった独自のラベルを付ける場合もあります。
このような独自の表記は、特定の消費者層に訴求するためや、その店舗ならではの価値を高める戦略として用いられます


発送時の等級変化

いちごは繊細な果物であり、発送過程での衝撃や温度変化によって品質が変わることがあります。特に長距離の輸送では、発送時と到着時で等級が下がる可能性も考慮されます。

一部の生産者や販売業者は、この問題に対処するために、発送時には一つ以上高い等級のいちごを使用するといった工夫をしています。これにより、消費者が購入する際の品質を一定に保つことが可能です。

発送時の等級変化は、特にオンラインショッピングでいちごを購入する際には注意が必要です


品種によって等級の数は変わる?

いろんな種類のいちご

あまおうの特徴と等級

"あまおう"は日本で特に人気のあるいちごの品種で、大粒で甘味が強く、その美味しさから多くの人々に愛されています。
一般的に「エクセレント」、「デラックス」、「グランデ」の3つの独自等級により、分類されます。

「エクセレント」は、糖度が14度以上、サイズは直径3.5cm以上、重量20g以上あるものです。赤色が濃く光沢があり、果実が大きく、形が整っている、ヘタがついているものがこのカテゴリーに分類されます。
「デラックス」は、糖度が13度以上で、サイズは直径3cm以上、重量15g以上あるものです。ほぼエクセレントに近い品質を持ちながら、わずかに形状で劣る中粒のものが分類されます。
「グランデ」は、サイズが直径2.5cm以上、重量10g以上で、品質が一定水準以上あるものです。赤みがややくすんでいたり、形が整っていない、デラックスよりサイズが小さいものが分類されます。また傷があってもよい等級です。

あまおうにはこのような独自等級が設定されているため、あまおうを購入する際には、この独自等級も参考にすると良いでしょう。


いちごの品種と等級の関係

いちごの品種と等級には直接的な関連性はありません

全農の等級は、個々の果実の品質に基づいて決定されるため、同じ品種であっても等級は異なる場合があります。
例えば、ある品種が特に大きな果実をつける性質がある場合、その品種のいちごは「特A」や「A」に分類されやすいかもしれません。しかし、それはあくまで一般的な傾向であり、例外も多々存在します。

また、特定の品種が特定の用途に使われることが多いため、その品種が多く出回る市場や店舗によって、等級の分布も変わる可能性があります。


代表的な品種の等級比較

いちごの品種は多種多様で、それぞれの品種が持つ特性—サイズ、糖度、酸味など—は等級にも影響を与えます。

例えば
とちおとめ:大きな果実が多く、甘さと酸味のバランスが良い。多くが「特A」や「A」等級。
さちのか:果実は小さめだが、糖度が非常に高い。多くが「A」等級。
もういっこ:中程度の大きさで、非常に甘い。等級は「A」や「B」が多い。

一般的に、大きな果実と高い糖度は「特A」や「A」等級に分類されやすく、小さな果実や低い糖度は「B」等級になる可能性が高いです。
しかし、これはあくまで一般的な傾向であり、各農家の栽培技術や環境条件によっても大きく変わる可能性があります。


いちごの等級の歴史と変遷

いちごがなっている

いちご等級制度の成立と背景

いちごの等級制度が日本で導入されたのは、品質基準を明確にして消費者への信頼を高め、また生産者にとっても品質を一定以上に保つ目標を提供するためです。
当初は、いちごは規模の小さな農家で作られることが多く、その品質はまちまちでした。特に戦後、いちごの需要が増えるにつれて、品質のばらつきは消費者からの信頼を損なう要因となりました。

このような背景から、全農(全国農業協同組合連合会)をはじめとする関連機関が等級制度を整えることで、消費者にとっては品質が分かりやすく、生産者にとっては品質向上の目指すべき方向が明確になりました。
時間と共に、この等級制度は更に洗練され、特定の品種ごとに独自の等級が設けられるなど、多様化しています。


等級制度の変遷と現代

等級制度は、その後も日本国内外の市場環境や消費者のニーズに応じて進化を遂げています。
例えば、環境に配慮した農法で作られたいちごに対する評価基準や、特定の地域で作られたいちごに地域ブランドとしての等級を付けるなど、より多角的な評価が行われるようになっています。

さらに、近年では持続可能な農業に焦点を当てた等級も登場しています。これにより、消費者はただ甘くて美味しいいちごを選ぶだけでなく、その生産背景に至るまで考慮するようになりました。
これは、いちごだけでなく、農産物全体の品質と信頼性を高めるための大きな一歩と言えるでしょう。


いちごの等級と食品ロス問題

いちごジャム

等級基準と食品ロスの関係

いちごの等級基準が存在する一方で、これが食品ロスの一因ともなっています
等級が低い、または規格外とされたいちごは、消費者に手に取られにくく、結果として捨てられることが多いのです。日本においては年間で数万トン以上の食品が捨てられており、その一部が規格外のいちごである可能性が高いです。

こうした食品ロスを減らすためには、消費者が等級にとらわれず、低等級や規格外のいちごも積極的に購入することが一つの方法です。
また、生産者や販売業者が低等級のいちごを加工品に回す、あるいは地元で販売するといった取り組みも有効です。いちごを使用したジャムやスムージーなどは、外見の美しさよりも味が重視されるため、低等級のいちごでも十分に活用できます。


持続可能な取り組みと食品ロス削減

食品ロス削減のためには、生産から販売、消費に至るまでのプロセス全体での取り組みが求められます。
一例として、一部の生産者は規格外のいちごを地元の学校給食に提供しています。これによって、食品ロスを減らすだけでなく、地元産の新鮮ないちごを子どもたちに提供することが可能です。

また、近年ではスーパーマーケットやオンラインショップで「規格外野菜」を扱う取り組みも広がっています。いちごにおいても、特設のコーナーで低等級や規格外の品を販売して、消費者が手軽に購入できる環境を整えることが重要です。
このような取り組みによって、食品ロス削減と持続可能な消費が促される可能性があります。


このように、いちごの等級と食品ロス問題は密接に関わり合っています。等級制度が品質の確保と消費者の選択を助ける一方で、規格外や低等級のいちごが生む食品ロス問題にも目を向け、持続可能な解決策を考える必要があります。



農林水産省いちごの品種、増加中!(aff 2019年12月号)

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この記事を書いた人

村上

サステナブルライターとして、SDGsや生活の知恵を発信しています。育児をしながら、子どもと一緒に地球に優しい生活を目指し中。趣味は料理と美術館巡り。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。