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【インタビュー・秋川雅史】18年歌い続ける『千の風になって』「人間の究極の響き」が感動を呼ぶ

2023/8/29

インタビュー

秋川雅史コンサート 大阪2023

130万枚以上のシングル売り上げを記録した『千の風になって』をはじめ、クラシック、歌謡曲、演歌、ポップスなど幅広いジャンルを網羅するテノール歌手・秋川雅史。55歳の今、歌声の成長を最も感じているという頼もしい彼が、10月22日に『秋川雅史コンサート 大阪2023』で、毎年楽しみにしているという大阪のステージに立つ。現在も選曲中という本コンサートへの意気込み、2年前に始めたYouTube公式チャンネル「秋川雅史クラシック」の裏話、さらに歌に向かうときの意外なポリシーまで、色々と語ってくれた。

――コンサートで毎回歌われるという『千の風になって』。長年歌い続けられるなかで、発見や変化はありましたか?

「もう18年も歌っているのですが、最初は自分の魅力や、クラシックの声の魅力を皆さんに伝えたいがために、不必要に声を張り上げ“声自慢”になっていました。今は秋川雅史という歌い手を世の中が認知してくださり、この曲のあるべき姿を自然に表現すればいい、という考えに。昔と比べると、力をそぎ落として歌うようになっています。」

――いつもどのような想いを込めて歌われるのでしょうか?

「私はどの曲もそうですが、“想いを込めないようにして歌う”というのがポリシーなんです。想いを込めれば込めるほど、歌の感情は自分に向かってきます。人に届けるには感情を込めず、声の響きを聴いてくださる人の心の中に届けるという作業をするんです。すると気づかぬ間にお客様は感動してくださっています。分かりやすく言うと、カラオケで歌の苦手な人がすごく感情を込めて歌っていると、周りが引きますよね。あれは感情が自分に向かっているから。聴いている人との間に壁ができてしまうんです。だから『もっと自然に』と心掛けると、歌の感情は聴き手の心に響いていきます。」

――そうなのですね。2021年12月には『千の風になって』の訳詞・作曲を手掛けられた芥川賞作家・新井満さんがお亡くなりになられましたが、この曲にとってひとつの転機に?

「はい。新井満さんはそれまでお元気な印象だったので、僕にとっては突然の訃報でしたが、満さんらしいなとも思いました。『私のお墓の前で泣かないでください』という言葉が、満さんのメッセージのようにも聞こえて……。満さんは風になったんだなと、スッと(心に)入ってきました。」

――今回のコンサートでは、ほかにどのような曲を歌われるのですか?

「前半がクラシックの曲、後半は誰もが知っているポピュラーなヒット曲、というプログラムを考えています。久しく歌っていなかったのですがお客様の評価が高かったカンツォーネの名曲『禁じられた音楽』、イタリアのトスティ『最後の歌』など、あまり知られていない作曲家の曲もクラシックとしてぜひ聴いてもらいたいと思いました。滝廉太郎の『荒城の月』も予定しています。ポピュラーな曲では、松田聖子さんの『瑠璃色の地球』などを歌います。壮大なオーケストラのようなピアノアレンジで歌うので、聖子さんとはまた違った世界観になると思います。」

――秋川さんは約2年前にクラシックの曲だけを歌う、YouTube公式チャンネル「秋川雅史クラシック」を始められましたが、やはりクラシックへの強い思いが?

「YouTubeで“秋川雅史”と検索すると、歌謡曲を歌う秋川ばかりが出てきて、『これはいかん!』と思いました(笑)。メジャーからマイナーな曲まで、クラシックだけを歌うチャンネルを立ち上げ、自分でビデオカメラを回して収録し、編集して公開、とすべて一人でやっています。いつも隔週の金曜日の夕方に公開するようにしているのですが、時々忘れていて焦ることがあります。」

――お一人ですごいですね(笑)。そのチャンネルで公開されている、ご子息のピアニスト・秋川風雅さんとのトゥーランドット『誰も寝てはならぬ』は“エネルギーのぶつかり合い”という感じで感動しました。

「あれは収録が大変だったんですよ! 彼がうまく弾けたときは自分がうまくいかず、逆のケースもあって、何回も歌いました。」

――ジャンルレスに様々な曲を歌われる秋川さんも素敵ですが、特にクラシックに力を入れられるのは理由があるのですか?

「やはりお客様に届けたいのは“クラシックの歌声の魅力”。それは普段の喋り声とはかけ離れたところで、人間の声を響かせるトレーニングを日々行い、作り上げていく声なんです。持ち声のいい人が2、3年やって出来上がる歌声ではなく、10年20年とかけて作り上げる芸術的な響き、人間の究極の響き。だからコンサートでは、マイクを使わず生の声を届けます。会場の響きを利用して、さらに自分の声をホールに響かせていくんです。そういう意味では、住友生命いずみホールは秋川の声が一番よく響くホールなので、生の歌声のエネルギーを体感していただけると思います!」

――日々のトレーニングは、どのようなことをされているのですか?

「歌の練習はもちろん欠かさず、毎日家の周りを2.5キロほどジョギングし、週に一、二度は水泳をして肺を鍛えています。今55歳なのですが、一番歌が上達している実感があります。昨年よりも伸びていますね。それは難しい曲が歌えるようになったりすることで分かります。」

――その歌声はもちろん、秋川さんのコンサートはMCを楽しみにされている方も多いですよね。

「準備では歌よりトークのことを考えているほうが長いです(笑)。クラシックは知識があるほど楽しめるので、池上彰さんのニュース解説のように、『そうだったんだ!』というような話を挟み、予備知識なしでも楽しめるコンサートにしています。今回はプライベートで起こった出来事も盛り込もうと思っていますので、楽しんでいただけたら嬉しいです。」

取材・文 小野寺亜紀

  

秋川雅史コンサート 大阪2023

|日時|2023/10/22(日) 15:00
|会場|住友生命いずみホール

▶▶公演詳細
▶▶オフィシャルサイト

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