トゥールビヨンのオーバーホールについて解説【機構の詳細から料金相場まで】

「トゥールビヨンの腕時計が調子悪いからそろそろオーバーホールに出したい」
「トゥールビヨンの仕組みについて知りたい」
「そのうえでトゥールビヨンのオーバーホール料金がいくらかかるのか知りたい」

この記事は、上記のような疑問に答えていく内容となっています。

「トゥールビヨン(フランス語で「渦」の意)」とは、「永久カレンダー」「ミニッツリピーター」と並ぶ腕時計の「世界3大複雑機構」の1つです。

機械式時計を高精度にするため、非常に複雑で繊細な作りとなっているのです。

そんなトゥールビヨンの腕時計でも、使用における経年劣化は避けられません。

そして、劣化の進行による故障を防ぐためにも、オーバーホールが必須となるのです。

この記事では、トゥールビヨンを搭載した腕時計のオーバーホールについて、機構の詳細から依頼先別の料金相場などを解説していきます。

最後まで読んでいただくと、以下のようなメリットがあります。

「トゥールビヨンの仕組みや種類についてわかる」
「トゥールビヨンのオーバーホール料金や納期の相場がわかる」
「トゥールビヨンの腕時計のオーバーホールについてわかる」

ぜひこの記事を参考に、トゥールビヨンの腕時計をオーバーホールしてみてください。

トゥールビヨンについて

「トゥールビヨン」は、もともと懐中時計の精度を向上させるため19世紀初頭に開発された機構です。

開発したのは、腕時計ブランド「ブレゲ」の創設者である天才時計師「アブラ・アン・ルイ・ブレゲ」で、1801年に特許を取得しています。

懐中時計は12時を上にしたときと6時を上にしたときでは、精度が異なってしまいます。

そんな重力による精度の変化を克服した、革命的な機構なのです。

組み上げるのはもちろん、修理にも非常に高度なスキルを要します。

トゥールビヨンの仕組み

時計の部品が受ける重力の影響を平均化することで、どんな姿勢のときでも安定した精度を維持できるようにしています。

時計は文字盤の向きによって重力のかかる度合いが変わり、精度に誤差が生まれます。

そこで、精度調整の要である調速・脱進機構を、「キャリッジ」と呼ばれる小さなケージに収めて常に回転させておくのです。

キャリッジを回転させることで、時計がどんな姿勢のときでも安定した精度を維持することが可能となるのです。

トゥールビヨンの種類 3選

トゥールビヨンは歴史が長く、技術の発展に伴いあらゆる種類の機構が誕生しました。

①ノーマル・トゥールビヨン
②フライング・トゥールビヨン
③ジャイロ・トゥールビヨン

ここでは、主に3種類のトゥールビヨン機構について解説していきます。

①ノーマル・トゥールビヨン

「ノーマル・トゥールビヨン」は、トゥールビヨンの基本的な形態です。

「ガンギ車」「アンクル」「テンプ」などの調速・脱進機構をキャリッジに収め、キャリッジそのものを回転させてブリッジで固定しています。

キャリッジは文字盤から見えるよう、主に6時位置や9時位置に設計されています。

これにより、時計の内部機構が動く美しさと複雑さを視覚的に感じられるのです。

②フライング・トゥールビヨン

「フライング・トゥールビヨン」キャリッジを固定するブリッジが見えないデザインで、近年において主流のトゥールビヨンとなっています。

「ノーマル・トゥールビヨン」では、キャリッジの表と裏の両面からブリッジで支えています。

フライングトゥールビヨンでは、キャリッジを裏側のみで支えているため、まるで浮いているように見えるのです。

文字盤側のブリッジがないぶん、トゥールビヨンの動きをより直感的に確認できます。

ただし、片側だけからキャリッジを支えるデザインは、制作や修理においてより高度な技術が要求されます。

③ジャイロ・トゥールビヨン

時計ブランドの「ジャガールクルト」が開発した「ジャイロトゥールビヨン」は、時計製造における最高傑作とも呼ばれる「3D球体トゥールビヨン」です。

通常のトゥールビヨンのキャリッジは、時計回りに回転します。

ジャイロ・トゥールビヨンではキャリッジが球体になっており、前後左右と立体的に回転します。

重力の影響を最小限に抑えられるのはもちろん、視覚的にも美しい仕上がりです。

トゥールビヨンを搭載している時計ブランド5選

トゥールビヨンは、あらゆる時計ブランドで実用化されています。

ここでは、トゥールビヨン搭載モデルを発表している時計ブランドを5つに絞ってご紹介します。

①IWC

『搭載モデル』
・ポルトギーゼ
・ポートフィノ
・ダ・ヴィンチ
・パイロットウォッチ

IWCのトゥールビヨン搭載モデルは、4種類のラインナップです。

IWC本来の洗練されたデザインに、トゥールビヨンによるラグジュアリーさがプラスされたデザインが特徴です。

ポルトギーゼやポートフィノには「フライング・トゥールビヨン」も採用されており、IWCの技術力が遺憾なく発揮されています。

②オメガ

『搭載モデル』
・デ・ヴィル

日本でも人気のオメガは、「デ・ヴィル」に搭載されたトゥールビヨンモデルが存在します。

手巻きと自動巻きのムーブメントタイプがあり、オメガ初のマスタークロノメーター(特別なテストをクリアした超耐磁性かつ高精度ムーブメント)モデルです。

オメガの中でも、特にスキルの高い職人しか手掛けることができません。

③タグホイヤー

『搭載モデル』
・カレラ

タグ・ホイヤーは1,000万円でも珍しくないトゥールビヨンを、200万円台という驚くべき低価格で提供しています。

『タグホイヤーのトゥールビヨンモデル値段一例』
・カレラ トゥールビヨン クロノグラフ=¥2,805,000
・カレラ ポリクローム トゥールビヨン クロノグラフ=¥2,904,000
・フォーミュラ1 クロノグラフ マリオカート トゥールビヨン クロノグラフ=¥3,091,000
※2023年10月現在

これらの時計はすべて自社製のキャリバーを使用しており、クロノグラフ機能も搭載しています。

また、ケース素材にはチタンやセラミックが採用されており、軽量性や耐久性を兼ね備えています。

タグ・ホイヤーのトゥールビヨンは高級感と機能性を備えながら、比較的手頃な価格で提供されているのです。

④ブレゲ

『搭載モデル』
・クラシック
・マリーン
・トラディション

「アブラ・アン・ルイ・ブレゲ」はブレゲの創始者にして、トゥールビヨンの発明者でもあります。

初代のトゥールビヨンは懐中時計でしたが、腕時計としては「クラシック」に搭載されたのが最初となります。

シンプルからメカニカルまで、機械式時計と複雑機構の魅力が詰まったデザインが特徴です。

220年以上の歴史とそれに伴った技術力は、まさにトゥールビヨン機構の代名詞と言えます。

⑤ジャガールクルト

『搭載モデル』
・レベルソ
・マスター
・デュオメトル
・ハイブリス
・メカニカ

ジャガールクルトはトゥールビヨンの製造において、革新的な技術力を発揮しました。

元々は、1946年に懐中時計にトゥールビヨンを搭載したところからスタートします。

1993年からは腕時計にも取り入れ、2004年に「ジャイロ・トゥールビヨン」が発表されたのです。

搭載モデルも多く、マニュファクチュール(自社一貫生産)のブランドとして高度なスキルを発揮しています。

トゥールビヨンのオーバーホール料金と納期【相場を解説】

時計の修理工房
時計の修理工房

トゥールビヨン搭載の腕時計は、値段が非常に高額です。

それに伴いオーバーホール料金が高額になるのは、複雑機構の宿命ともいえます。

またその複雑さゆえ、必ずプロに依頼しなければいけません。

ここでは、トゥールビヨン搭載モデルのオーバーホール料金や納期の相場について解説します。

トゥールビヨンにおけるオーバーホールの重要性

トゥールビヨンにおいて、オーバーホールはより不可欠と言えます。

そもそもオーバーホールとは、定期メンテナンスによって内部を最適な状態にすることです。

腕時計の長寿命化にもつながる、重要な作業なのです。

特にトゥールビヨンは精度を司るパーツなので、メンテナンスしないと精度に悪影響を及ぼします。

「腕時計の長寿命化」「高精度の維持」の2点を念頭において、オーバーホールを依頼する必要があります。

内部に使用される潤滑油のおおよその耐用期限である、3〜5年を目安に依頼しましょう。

ブランドの正規サービス

・オーバーホール料金=20~40万円
・オーバーホール納期=1ヶ月半~6ヶ月

一般的な機械式時計だと、舶来ブランドでも安くて2〜3万円で納期は約3〜4週間です。

トゥールビヨンはオーバーホール料金と納期共に、ブランドによって非常に前後しますが桁違いとなっています。

理由として、トゥールビヨンは非常に複雑な構造かつ繊細なパーツで構成されています。

通常のオーバーホールでさえ熟練の技術が必要になりますが、それに加えて複雑なトゥールビヨンの修理スキルまで必要になるのです。

そのため、オーバーホールの作業と時間が大幅にプラスとなるのです。

ブランドによっては、初めからスイス送りにしているところもあります。

そうなると、納期は数ヶ月かかることになります。

腕時計の修理専門店

・オーバーホール料金=10~20万円
・オーバーホール納期=1ヶ月~

腕時計の修理専門店は、正規サービスと比べて「安く」「早く」なっています。

まず修理におけるコストが、正規サービスと異なります。

正規サービスは腕時計の修理だけでなく、制作と販売にもコストを割かなければいけません。

対して、修理専門店は修理作業のみなのでコスト面で有利となるのです。

国内にある自社の工房で対応するので、納期も早くなります。

しかし、点検次第では見積もりでメーカー送りを提案されることもあります。

トゥールビヨンのオーバーホールを依頼する方法

オーバーホールを依頼する方法は、主に2通りあります。

・来店受付
・宅配サービス

上記について、詳しく解説していきます。

来店受付

『来店受付の流れ』
①修理したい腕時計と保証書を用意する
②修理窓口に来店する
③スタッフと相談しながら修理受付
④見積もりの連絡
⑤修理作業
⑥修理完了の連絡
⑦再来店して会計

「来店受付」は最も基本的な依頼方法です。

そのため、依頼先の選択肢は多岐にわたります。

・ブランドのカスタマーサービス
・ブランドの正規販売店
・腕時計の修理専門店
・家電量販店
・百貨店

スタッフにその場で相談できる安心感と、窓口の選択肢の多さがメリットです。

宅配サービス

『宅配サービスの流れ』
①Webで修理受付をする
②指定の住所に宅配キットが送られる
③腕時計を入れて送り返す
④見積もりの連絡
⑤修理作業
⑥修理完了の連絡
⑦指定の住所に返送
⑧代引きやカード払いで会計

宅配サービスは、来店しなくても修理受付ができます。

主に「正規サービス」と「修理専門店」で実施されています。

送料に関して言えば、正規サービスは基本的に無料ですが修理専門店ではかかる事が大半です。

しかし、修理専門店はオーバーホール料金が安いので、トータルで言うと損とは言えません。

依頼から支払いまでが自宅で完結する、非常に便利で効率的なサービスです。

K’s factory(ケイズファクトリー)の宅配修理

K’s factory(ケイズファクトリー)では、時計専門店様から数多くの難しい依頼を受けてきた経験豊富な技術者が皆様のご愛用の腕時計を的確に診断・修理いたしております。また、ほぼ全ての修理工程を自社工房内で完結しており、厳重なセキュリティシステムで責任をもって皆様の大切な腕時計をお預かりしております。

内部(ムーブメント)のオーバーホールはもちろんのこと、外装部の点検・修理なども含めたトータル修理も賜っております。一部修理後のご相談やベルトの交換などのご依頼も対応しておりますので、ぜひK’s factory(ケイズファクトリー)の宅配修理をご活用ください!

まとめ

トゥールビヨンのオーバーホールについて、機構の詳細から料金相場まで解説してきました。

この記事の要点をまとめると、以下になります。

・トゥールビヨンとは機械式時計の精度を維持する機構
・時計技術の発展に伴いブランド独自のトゥールビヨンが開発されている
・舶来ブランドを中心にトゥールビヨン搭載モデルが実用化されている
・トゥールビヨンは「腕時計の長寿命化」「高精度の維持」においてオーバーホールが非常に重要
・「ブランドの正規サービス」「腕時計の修理専門店」でオーバーホール作業ができる
・依頼方法は「来店受付」か「宅配サービス」

当記事の結論としては、「スキルの高い修理専門店に宅配サービスで依頼する」ことをオススメします。

理由は「ランニングコストと手間の削減」です。

トゥールビヨンのオーバーホールは高額なうえ、3〜5年の頻度で必要になります。

修理専門店に依頼することで、ランニングコストが削減できるのです。

宅配サービスを利用することで、受付から引き取りまでが自宅で完結します。

ただし、複雑機構であるトゥールビヨンのオーバーホールなので、スキルの高い修理専門店に依頼する事が重要となります。

そのため、以下のポイントを押さえましょう。

・「時計修理技能士1級」の資格を保有しているスタッフが在籍している
・トゥールビヨンのオーバーホール実績がある

トゥールビヨンの腕時計を定期的にオーバーホール依頼する習慣を身につけ、長期にわたって愛用できるようにしてください。

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