勝浦(市)(読み)かつうら

日本大百科全書(ニッポニカ) 「勝浦(市)」の意味・わかりやすい解説

勝浦(市)
かつうら

千葉県南東部、外房(そとぼう)海岸にある市。1955年(昭和30)勝浦興津(おきつ)2町と上野、総野(ふさの)2村が合併し、1958年市制施行。勝は潟(かた)、浦は海浜を意味する。JR外房線と国道128号が屈曲した美しい海岸部を通り、内陸へは国道297号が走る。平安中期、上総介(かずさのすけ)興世(おきよ)王が八幡岬(はちまんざき)に築いたと伝える勝浦城はのちに里見氏の家臣正木氏の居城となった。江戸時代、徳川家康の家臣植村泰忠(やすただ)が3000石で入封し、1682年(天和2)4代忠朝(ただとも)のとき1万1000石に加封され勝浦藩が成立したが、江戸中期には幕府直轄地や旗本領となった。植村氏は現在に残る朝市を開設し、地域産業の振興に尽くした。西部の興津は東北地方と江戸を結ぶ東廻(ひがしまわり)航路の拠点として栄えた。勝浦港は千葉県有数の漁港で、イワシ、サバの水揚げが多かったが、近年漁港施設が整備されて遠洋漁業の基地ともなり、魚種もカツオ、マグロ中心へと変化した。上総丘陵中の内陸部は夷隅(いすみ)川上流域にあたり、米、野菜、乳牛生産の複合的農業経営が行われる。

 観光産業は漁業とともに勝浦市の主要産業であり、南房総国定公園に属していて海水浴場が散在し、また景色のよい鵜原理想郷(うばらりそうきょう)、海中展望塔をもつ勝浦海域公園、守谷洞窟(もりやどうくつ)、おせんころがし景勝地、勝浦城址のある八幡岬公園などが分布する。戊辰(ぼしん)戦争のとき、勝浦沖で難破した官軍船の遭難者を祀(まつ)る県指定史跡官軍塚がある。面積93.96平方キロメートル(境界一部未定)、人口1万6927(2020)。

[山村順次]

『『勝浦市郷土史料集1』(1963・勝浦市)』


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android