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弁護士コラム

2021年03月15日
  • その他
  • 書類送検

刑事事件における書類送検とは? 逮捕とはどのような違いがあるのか

刑事事件における書類送検とは? 逮捕とはどのような違いがあるのか
刑事事件における書類送検とは? 逮捕とはどのような違いがあるのか

刑事事件のニュースなどで、よく「書類送検」という単語を耳にする機会があります。「書類送検」は比較的軽微な処分というイメージを持っている方も少なくありませんが、書類送検は軽微でもなければ処分でもありません。

本記事では、書類送検の概要や逮捕との違い、どのような流れで手続きが進むのか、さらにはご家族がとるべき具体的な対処方法について解説します。

1、書類送検とは? 逮捕との違いは

平成31年4月に起きた池袋暴走事故で、88歳の元病院長が過失運転致死傷罪の疑いで書類送検されたところ、「なぜ逮捕されないのか」と多くの批判を集めたことは記憶に新しいところでしょう。では、具体的に逮捕される場合と逮捕されずに書類送検される場合とで何が違うのか、両者の違いと概要について解説します。

  1. (1)書類送検

    書類送検とは、警察が事件の捜査を検察官へ引き継ぐ手続き(送致)のひとつです

    警察が事件を捜査するにあたっては、捜査報告書や被害届、供述調書などの多くの捜査書類が作成されます。書類送検では、これらの書類や証拠のみが検察官に引き継がれることになります。

    つまり、書類送検とは警察から検察官へという捜査機関サイドの事務処理上の手続きであり、被疑者に向けられた刑事処分ではありません。

  2. (2)書類送検と逮捕

    逮捕とは、被疑者に行われる最初の強制的な身柄拘束です。身柄拘束という重大な負担を被疑者に強いることから、逮捕には一定の要件が必要です。

    【逮捕の必要性】
    罪を犯したと疑うに足りる相当な理由がある場合には「逮捕の必要性」が認められます。さまざまな状況から見て、その人が犯罪を行ったに違いないと認められることが必要です。
    また、逮捕には「逃亡または罪証隠滅のおそれ」があることを要します。被疑者が逃亡したり証拠を隠滅したりするおそれがある場合には、捜査やその後に控えている裁判の妨げになるため、身柄を拘束する必要があります。

    【身柄拘束の必要がない書類送検】
    逮捕の要件を満たさない場合、事件の捜査のためには捜査書類を送れば足りることになり、身柄は拘束されません。

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2、書類送検されるとどうなるのか?

身柄を拘束されないとしても、刑事手続きから解放されたわけではありません。その後はどのような影響があるのでしょうか?

  1. (1)検察官からの取り調べを受ける

    刑事訴訟法では、被疑者を起訴するかしないかの判断を検察官にゆだねるという「起訴便宜主義」がとられています(刑事訴訟法第248条)。そこで、警察から書類送検されてきた事件について、検察官は、被疑者を起訴して裁判を維持し最終的には判決までたどり着けるかという視点や、逆に、この被疑者に対してそこまで行う必要があるのかという視点で取り調べを行います。

  2. (2)前科がつくのか?

    前科とは、検察官による起訴後、刑事裁判において有罪判決が言い渡されたという事実のことです。
    書類送検がされただけでは、まだ起訴・不起訴の決定もされていませんので、逮捕と同様、前科としては扱われません。これに対して、警察による捜査の対象となったという事実は認められるので、逮捕されると「前歴あり」となります。

  3. (3)有罪判決になるのか?

    刑事事件を起こして有罪判決を受けるのかを判断するには、検察官による起訴・不起訴の判断と、裁判官による判断が重要です。

    検察官は書類送検された事件について、犯行にいたった事情や被疑者の年齢・境遇・性格、さらには犯行後に示談が成立しているなどの事実を総合的に考慮し、起訴・不起訴の判断をします。不起訴と判断されれば、すぐに身柄が解放されますが、起訴されるとさらに身体拘束を受けて、裁判の手続きに移行します。

    起訴されると、裁判官は刑事裁判において容疑者が有罪か無罪かを審判します。有罪と審判を下した場合は、その量刑も判断します。刑事裁判に発展した場合でも、実際には犯行に及んでいないのであれば、効果的な弁護活動によって無罪判決が得られる可能性もあるでしょう。

    いずれにしても、書類送検をされたからといって必ず起訴されたうえで有罪判決になるとは限りません。

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3、書類送検された後の流れ

書類送検された後、具体的にはどのような流れで進められていくのでしょうか?

  1. (1)書類送検後の流れ

    書類送検されると、事件を担当する検察官から書面や電話で呼び出され、検察庁で取り調べを受けることになります。都合が悪い場合には日時の調整に応じてくれることもありますが、無視したり逃げたりするのは厳禁です。度重なると、逃亡や証拠隠滅のおそれありとして改めて逮捕されかる可能性があります

    検察官による取り調べは、軽微な犯罪であれば1回で済むこともありますが、複雑な事案であれば数回呼び出されることもあるでしょう。
    被疑者が逮捕されて勾留請求がなされていれば、被疑者が送検されてから最大21日の間に検察官は起訴・不起訴の判断をする必要があります。しかし書類送検の場合はこのような時間制限はなく、最終的な決定までに数か月かかることも珍しくありません

    検察官は被疑者の取り調べと並行して、警察の集めた証拠が不十分な場合には警察による補充捜査を指揮するほか、自ら捜査にあたることもあります。このようにして集めた証拠や被疑者らの供述から、起訴するかしないかを判断することになります。

  2. (2)起訴と不起訴

    書類送検されてきた事件について、検察官は必ずしも被疑者を起訴するとは限りません。検察官は次にあげる事情が認められる場合には、起訴しない(不起訴処分)とすることがあります

    • 親告罪だが告訴が取り消されたなど、訴訟を維持するための条件を欠いている
    • 被疑者が犯行当時に刑事未成年(14歳未満)であるなど、そもそも犯罪とならない
    • 証拠が不十分のためその人が犯罪を行ったかどうか不明である
    • 嫌疑はあるが被疑者の性格や年齢および境遇、さらには示談成立などの被害の回復状況からみて起訴・処罰の必要性がない


    特に「嫌疑はあるが起訴・処罰の必要性がない」と認められる場合については検察官の裁量の幅が大きく、被疑者のおかれた状況や実際に刑罰を与えたことによるメリット、デメリットなどを踏まえて総合的に判断されます。

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4、書類送検されたら弁護士に相談を

逮捕はされずに書類送検だけされるとひとまず安心するかもしれませんが、直ちに弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)被害者がいる場合、被害者側との示談交渉を対応してもらえる

    書類送検された時点では、まず不起訴処分に向けて積極的に動く必要があります。もっとも効果的なのが示談の成立です。検察官はいわば被害者に代わって加害者を訴える立場にあり、その被害者が「許す」との意思を持つにいたれば、起訴する必要性が格段に減少します。さらに告訴の取り下げも期待できるでしょう。したがって、起訴を回避するには被害者との示談交渉が非常に重要です。

    もっとも、犯罪の加害者が被害者と交渉を行うというのは現実的でなく、面会すら困難なことも少なくありません。そこで、弁護士が代理人として示談交渉にあたります。第三者的立場から被害者の恐怖や怒りを柔軟に受け止めつつ、示談成立に向けて粘り強く交渉します。

    仮に起訴されたとしても、判決においても示談成立は被疑者にとって有利な資料となります。示談の成立が量刑を軽くし、また執行猶予をつきやすくする傾向があるからです。

  2. (2)不起訴を目指す弁護活動を依頼できる

    わが国の司法制度では、起訴されたときの有罪率は99%を超えています。厳しい刑罰を避けるには、できるだけ起訴されないことを目指す必要があります。示談交渉もその方策のひとつですが、弁護士はそれ以外にもさまざまな弁護活動で不起訴処分の獲得を目指します。

    まず、被疑者本人の反省をアピールするための弁護活動が期待できます。
    悔悛(かいしゅん)、反省の情が認められて、もう罪を犯すことはないであろうと判断される場合には、その後の裁判・判決・刑の執行という手続きに乗せる必要性が減少します。弁護士は、被疑者本人に直筆の反省文を書いてもらい、これを検察官に提出します。

    また、再犯防止策のアピールも重要です。家族や職場の上司など被疑者の身の回りの人に被疑者の監督を約束する内容の誓約書を書いてもらいます。犯罪の背景に依存症や病気が認められる場合には、治療を受けるとの誓約書も作成し、併せて検察官に提出します。

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5、まとめ

書類送検は、警察から検察官へと捜査が引き継がれる手続きです。刑事処分ではないため、書類送検だけで前科がついたり、有罪判決となったりすることはありません。しかし、その後に検察官から取り調べを受けて起訴か不起訴かの処分が判断されます。起訴されると裁判となり、その場合には有罪判決を受ける可能性は高いと言わざるを得ません。厳しい刑罰を避けるためには、起訴や有罪・実刑判決の回避に向けてできるだけ早く準備することが重要です。ご家族が書類送検された場合は、刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所にご相談ください。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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