城蛍(Hotaru Tachi)個展「食卓にて孕む」

この度、biscuit gallery karuizawaでは2023年7月8日(土)より、城蛍による個展「食卓にて孕む」を開催致します。

城蛍は、これまで絵画と木彫を組み合わせた作品を発表してきました。本展のタイトルに含まれる「食卓」には、家具、人、食事という三要素が内包されていて、本展では家具を支持体として制作しております。また、「孕む」という言葉は、身籠るという意味が主に用いられますが、「植物の穂が出ようとして膨らむ様子」という意味もあります。本展作品を通して城蛍が表現する「食卓にて孕む」の世界を是非お楽しみください。

以下、城蛍による本展に対する思いです。

「私が木を扱った作品を制作をする理由は、あくまでも額という概念から始まった木彫であり、絵画という枠組みから離れすぎないためである。また、木とは材になった後でも変化、腐食等が起きるものであり、有機物としての認識が私の中に強くあるのだ。そう、私の作品が外側に拡張していく為には、この有機物という要素が重要になってくる。

そして今回、支持体になってくる使い古された家具類。それらは長年にわたって人と生活を共にしてきたものであり、それ故に、彼らは持ち主の生活の記憶を内包している事になる。つまり、使い古された家具は私の作品が住み着くにはうってつけの、より色気の増した有機物であると私は考えた。

家具を含む廃棄物を扱った作品制作をおこなう青野文昭という作家がいる。彼は、ものを「なおす」行為によって、ものに宿る念を引き出すことを制作としている。

それに対し私は、そのものがそのものであったということを尊重した上で、私の作品をものに「寄生させる」行為を企て、ものに宿る念に、制作という念を居住させることにした。

冬虫夏草という、古来から東洋医学の生薬として重用されてきたキノコが存在する。彼らは菌として昆虫に寄生し、やがて絶命させ、その体を養分にして成熟する。

かくして、ものという支持体は制作が進むにつれ、次第に変形を進め、訪れる終着地点は完成ではなく、もしかしたら生命が尽きる瞬間なのかもしれない。ひょっとしたら、今ここに存在する私の作品は、まだ寄生して間もなく、孕むという変態を依然として続けている最中なのかもしれない。」

本展は、biscuit galleryとして2店舗目となる「biscuit gallery karuizawa」での柿落としとなります。
軽井沢という地で、作家城蛍の魅力をご堪能ください。

会期初日の7月8日(土)に、作家在廊予定です。

 

展示風景

 

アーティストプロフィール

城蛍|Hotaru Tachi

1996 愛知県生まれ
2015 愛知県立旭丘高等学校 美術科卒業
2020 東京都内にてアーティスト活動開始

主な展示歴(近年)
個展
2020 「淡く目映く」Gallery Camellia / 東京
2020 「あじさいと沐浴」MAKII MASARU FINE ARTS / 東京
2021 「海に食べられる」MAKII MASARU FINE ARTS / 東京
2021 「デフォルマシオンの庭」長亭ギャラリー / 東京

グループ展
2022 「Lovely」OIL by 美術手帖 / 東京
2022 「grid」biscuit gallery / 東京
2022 「ART TAICHUNG」333GALLERY / 台湾

「負を抱えること、違和感を持ち続けること。私の考えでは、それは物体に無理をさせ、歪みを生じさせます。だからこそ、結果として絵画は大きく変形し、半立体の奇形へと変態します。しかし、私は、そこに優しさ、静けさ、穏やかさといった装いを与えることで、負の光景に安らぎをもたらします。そうすることによって、否定されがちな負という存在を、私たちは肯定することができるのかもしれません。」

詳細プロフィール:https://biscuitgallery.com/hotaru-tachi/

 

開催概要

城蛍 個展「食卓にて孕む」

会期:2023年7月8日(土)〜8月6日(日)
時間:12:00〜18:00 ※火・水休み
入場:無料
主催:biscuit gallery karuizawa

※会期前日の7月7日(金)の14:00〜16:00にオープニングレセプションを開催します。
是非お気軽にお立ち寄りください。

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