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藤井隆6年ぶりのニューシングル発売インタビュー!

自分に興味を持って下さってる方に、
「自分が本当に好きな物がこれです」というのを
今回はちゃんと届くようにしようと思ってます。

藤井隆の6年ぶりのニューシングル『She is my new town / I just want to hold you』。これは、ここ数年、洋楽イベントを行なっていた彼の集大成的な二曲だ。しかも作詞、作曲、プロデュース、そしてコーラスは彼がディーバと崇める松田聖子で、90年代の香り漂うエレクトロ・ポップをアダルトに仕上げた逸曲となっている。自分の好きな物がこの曲に詰まっているいるという彼に話を聞いた。

ーー6年ぶりのシングルリリースです。

 
 そうですねぇ。でも、あぁ6年も経ったんだぁという意識はあまりなくて。歌に関しては、この6年の間にレイザーラモンRGくんと椿鬼奴さんと一緒に『Like a record round! round! round!』っていうイベント(80年代から90年代をメインに、自分たちが影響を受けた洋楽をひたすらカラオケで歌うというもの)をやっていて、そちらの方に気持ちが向いていたというのもあって、気が付けば6年かぁって感じですね。でもその間にも、僕のことを気にかけてくださってる方々からの、「曲は出さないんですか」「コンサートはしないんですか」というメッセージが凄くあったんです。そのこともあり、自分が今やりたいことをやるなら、やっぱり歌なのかなと思い動きだしたって感じです。
 
ーー作詞、作曲、プロデュースは松田聖子さんですね。
 
 『Like a record~』というイベントを通して、今回は自分の好きな洋楽のイメージでやりたい!と決めていました。そして、楽曲をどなたにお願いしようかと思った時にやっぱり聖子さんかなと思ったんです。昔から大、大、大好きな方だし、縁あって番組などを通して親しくさせていただいて『真夏の夜の夢』という曲でデュエットまでさせていただいたりしましたからね。わがままな僕の要望に応えていただけるのはやはり聖子さんかなぁと。実際、「洋楽を意識した曲をお願いしたいんですけど…」とお伝えしたら、「具体的にどういう感じがいいですか?」と聞いて下さって、そこで自分もさらに火がつきましたね。
 
 

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ーーその後、聖子さんへ具体的にどうやって依頼したんですか?
 
 まず、自分の好きな1990年代から2000年頭くらいまでの曲をお伝えしようと。それで、曲を選びながら“ここのAメロが好きです”とか“この転調の感じが好きです”“サビのここらへんが好きです”などとメモしていったら、なんだかんだと気がついたら40曲くらいなってしまったんです(笑)。でもせっかくだからと、それらの曲とメモ全てをお渡ししました。また、自分がアメリカのヒットチャートよりも、兄の影響でUKチャートの方が好きだったみたいなこともお話しすると、「わかりました」って、ものすごく抽象的な自分のイメージを受け止めて作業に入って下さったんです。その姿に、本当に感謝の気持ちでいっぱいになりました。
 
ーー出来上がった曲を聴いていかがでしたか?
 
 素晴らしかったですね。まずイントロでやられました! 本当にお渡しした40曲をちゃんと聴いて、消化して、完成させて下さったという感じがビンビン伝わって…。そして歌詞も、ループする部分がとても心地よく、僕の表現したかった90年代の洋楽感のことも踏まえてもらっていて。ピンポイントでひとつやふたつの感情の揺らぎを書いて下さったのも嬉しかったですね。実は2曲を作って下さって、どちらかを選んで下さいって言われたんですけど、できなかったんです……。それでお願いして2曲とも歌わせていただくことになったんです。
 
 

_DSC0593_w300.jpg あと、デビュー曲の『ナンダカンダ』は、沢山の方に聴いて頂く機会を頂きました。ですが一方でファンの方から、「『ナンダカンダ』が好きで、初めて行ったのが藤井さんのコンサートでした。でもその後も曲出してはったんですね」とか、「『ナンダカンダ』とTommy february6さんが作った『OH MY JULIET!』は知ってたけど、キリンジさんが作った曲は知らなかったです」と言われたんです。リリースしてお届けしきれてない事を知り、とても残念に思いました。もちろん宣伝のやり方とかいろいろ不足があるんですけど、実はしっかりと届いてないんだなぁって反省の気持ちがあって。それで今回に関してはそういうのはなしにしようと。『ナンダカンダ』でデビューした頃に比べると、最近はミリ単位で自分でこうしたい、ああしたいというのを言っていて。今回も制作に関しては、ちゃんと対峙して本気で向き合って細部にまで積極的に関わっていこうと決めたんです。僕に興味を持って下さってる方には、もれなく自分がやっていることをきちんとお届けしたい、しかも曲を作って下さったのが松田聖子さんだって、しっかり伝えたいなと思ったんです。

 
 
 
ーープロモーションビデオには、1979年に公開されたサンリオの人形ファンタジー映画『くるみ割り人形』の映像が使われていますね。(※PVはこちら!→「She is my new town」「I just want to hold you」)
 
 歌ができる前は、プロモーションビデオを自分で撮ろうと思ってたんです。でも、歌入れしてできあがってきたものを何度も聴いてイメージを膨らませていくうちに、だんだん自分が不在に思えてきて。さらに聴いてると、フッと『くるみ割り人形』の主人公、クララが暗い街の中を歩いているシーンが浮かんできたんです。それで、どうしてもその場面を使わせてもらいたくなって、なぜ自分が『くるみ割り人形』を好きなのか、なぜこの曲で使わせてもらいたいのかという想いの丈をスタッフの方に伝えたら、OKの返事をいただいたんです。これは本当に嬉しかったですね。

 

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ーー『くるみ割り人形』には格別の思いがあるみたいで、今年開催された『沖縄国際映画祭』でも藤井さんがチョイスして上映されていましたね。
 
 『くるみ割り人形』は小学生の頃に観たんですけど、当時、本当に感動したんですね。キャラクター、そして美術の素晴らしさはさることながら、簡単に好きになるモノは簡単に手放さなきゃいけない日が来る。その代わり、本気で好きになると、手放さないために必死で気持ちが動く。それを大事にしなさいってことをこの作品が教えてくれたんです。子ども向けなのに、それを伝えるためにあえて残酷な部分も描いてたりするところが凄いなぁと。その後、この映画の人形アニメーターの真賀里文子さんはたくさんコマーシャルも作ってらっしゃると知って、真賀里さんの作品をいろいろと追っかけたりしましたもん。映画祭で上映したのも、そういった気持ちを共有できたらなぁって思ったのと、何より大画面で皆さんにこの素晴らしい作品を観てもらいたかったからなんです。桂三度さんや、博多大吉さんと一緒に観たんですけど、「藤井くんがこの映画好きなの、なんとなくわかる」と言って下さいました(笑)。今回、プロモーションビデオも1曲だけの使用許可だったんですけど、2曲とも使ってもいいと許可してくださって。それだけに、この2曲とこの映像を合わせるチャンスなんてこれ以後はきっとないと思って、編集にも最初から立ち会わせてもらいました。それこそ一コマ一コマ、すっごい時間がかかったんですけど、納得いくものができたと思います。さらに嬉しいことに、7月23日に『くるみ割り人形』が初ブルーレイディスク化されることになったんです! ぜひ、曲と併せて楽しんでいただきたいと思います。

 

 

 

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 取材・文 仲谷暢之
 写真  奥村達也

 

 

 




(2013年5月31日更新)


Check

Release

『She is my new town / I just want to hold you』
作詞:松田聖子
作曲:松田聖子&小倉良
6月5日(水)発売
よしもとアール・アンド・シー 
1000円 YRCN90216

『くるみ割り人形』(Blu-ray)
7月23日(火)発売
監督:中村武雄
人形アニメーター:真賀里文子
声の出演:杉田かおる、志垣太郎、西村晃、
益田喜頓、坂上二郎、愛川欽也ほか
サンリオ 3150円 V-1552

Profile

ふじいたかし…1972年、大阪府生まれ。サラリーマンを続けながら吉本新喜劇プロジェクトに通い、『テレビのツボ』でテレビデビュー。その後、吉本新喜劇で本格的に活動。オカマキャラでブレイクし、全国的に活動するように。2000年『ナンダカンダ』で歌手デビューし、同年の『紅白歌合戦』に出場。以後、浅倉大介、松本隆、筒美京平やキリンジの堀込高樹、Tommy february6、つんく、松田聖子など個性的なアーティストとの楽曲で歌手活動を行ないつつ、東京、ルミネ・ザ・よしもとで吉本新喜劇はもちろん、最近は三谷幸喜、野田秀樹、井上ひさし作品の舞台でも活躍中。


Stage

『うかうか三十、ちょろちょろ四十』
チケット発売中 Pコード 427-516
▼6月13日(木)19:00
サンケイホールブリーゼ
S席7500円 ブリーゼシート5000円
ブリーゼチケットセンター■06-6341-8888

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