レビュー

「お湯洗濯」ってやっぱイイ! “縦型初”温水洗濯機の実力を、洗濯王子がチェック

今回使用するパナソニック「NA-FA120V1」。デザイン性の高い縦型洗濯機ということでも注目されています

今回使用するパナソニック「NA-FA120V1」。デザイン性の高い縦型洗濯機ということでも注目されています

こんにちは! 洗濯家の中村祐一です。今回は、縦型洗濯機で初めて(※1)温水専用ヒーター式の温水洗浄を搭載しながら、洗濯容量は業界最大クラス(※2)の12kgという、パナソニックの洗濯機「NA-FA120V1」を使ってみました。
※1 国内家庭用縦型全自動洗濯機インバーター式において。2018年6月1日発売。以下同
※2 国内家庭用縦型全自動洗濯機において。2018年4月5日現在。以下同

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“見せたくなる”パナソニックの新・縦型洗濯機は黄ばみも落とせる実力派!

「温水」×「縦型」は、洗濯の質を高める理想的な組み合わせ

これまで縦型洗濯機に温水洗浄機能が付いているものはなかったのですが、「NA-FA120V1」は温水洗浄を搭載した初の縦型洗濯機ということで、個人的に非常に注目をしていました。なぜなら、「水温」と「水量」というのは洗濯の質を決めると言っても過言ではなく、「温水」×「使用水量の多い縦型」は、洗濯の質を高める理想的な組み合わせだからです。

洗濯で起こる問題の8割は、お湯洗いで解決!

洗濯には常温の水を使用している家庭がほとんどだと思いますが、洗濯の専門家である僕からすると、お湯で洗うことこそが常識なのです。お湯で洗わないと日常の汚れ(特に皮脂汚れ)が落ちにくく、残った皮脂によって黄ばんだり、部屋干しした時に嫌なニオイが発生したりします。汚れ落ちが悪い、洗剤が溶け残るなど、洗濯で起こる問題の8割はお湯洗いで解消できると言っても過言ではありません。

ちなみに僕は、自宅の洗濯機用の水栓を混合栓にし、お湯を洗濯機に入れて洗濯をしています

ちなみに僕は、自宅の洗濯機用の水栓を混合栓にし、お湯を洗濯機に入れて洗濯をしています

ドラム式洗濯機は、水量が少ないのがネック

本来はすべての家庭にお湯洗濯をおすすめしたいのですが、日本では洗濯機用の水栓は水にしか対応していないことがほとんどでしょう。そこで選択肢に入れたいのが、温水洗浄のできる洗濯機です。最近はドラム式洗濯機に温水洗浄が搭載されることが多くなってきていますね。ただ、ドラム式は縦型に比べて使用する水量が少ないので、汚れがひどいものを洗う時には、汚れが服に戻りやすいという側面があります。

洗濯とは、「洗い」の時に洗剤によって汚れを水になじみやすいカタチにし、それを「すすぎ」で薄めていく作業と考えていただけるとよいと思います。なので汚れが多い時には、水量を増やして対応するとよく、これができるのが、縦型洗濯機がすぐれている点。ドラム式は衣類の量が変わっても水量はあまり変わらないのです。

温水洗濯の洗浄力を見てみた

さて、洗濯における「水温」と「水量」の大切さがわかっていただけたところで、「NA-FA120V1」を使っていきたいと思います。まずは、いろいろな種類の汚れを付けた布を用意し、温水洗濯の洗浄力をチェックしてみました。

今回使用したコースは、「温水泡洗浄W」の「約40 ℃おまかせコース」。専用ヒーターで酵素が活性化する温度まで洗剤液を温め、それを泡にすることでより洗浄力を高めるそうです。通常(常温の水)の「おまかせコース」で洗ったものと汚れ落ちを比較します。

左上から、ラノリンオイル(人の皮脂に似た成分が含まれています)、卵、赤ワイン、人工汚染布、泥汚れ

左上から、ラノリンオイル(人の皮脂に似た成分が含まれています)、卵、赤ワイン、人工汚染布、泥汚れ

条件が一定になるように、「負荷布」という布(2kg分)と一緒に洗います

条件が一定になるように、「負荷布」という布(2kg分)と一緒に洗います

洗い上がりを見てみると、常温の水で洗ったものに比べ、やはり「約40 ℃おまかせコース」で洗ったほうが、全体的に汚れが落ちの効果が高くなっているのがわかります。

特に左上のラノリンオイル(皮脂汚れに近い脂)が落ちずにかなり残っています。この残った脂が黄ばみの元になってしまうのです

温水洗濯は時間がかかるので、洗濯時間に工夫を

常温での洗濯に比べ、「温水泡洗浄W」の洗浄力が高いことがわかりましたが、汚れが落ちやすい半面、水を温めるための時間が必要になります。そのため、どうしても洗濯の時間が長くなり、どのコースも3時間前後かかってしまうのがネック。日常的に毎回の洗濯で使う場合には、運転時間を考慮して、たとえば夜寝ている間に行うなど工夫が必要だと思います。また、洗濯できる量も減ってしまうので注意が必要です。

「NA-FA120V1」の洗濯容量は12kgですが、「温水泡洗浄W」は最大で6kgまで。これ以上容量を増やすと水を温めるのにさらに時間がかかってしまうので、致し方ないところでしょう

最大容量12kgで、まとめ洗いや大物洗いもしやすい

「NA-FA120V1」は、洗濯容量が12sと大きいところもポイントです。今回は、3歳の息子が保育園で使っているお昼寝用の敷布団を「おうちクリーニングコース」で洗ってみたところ、洗濯槽にスポッと収まり、難なく洗えました。

サイズは80×130cm。「NA-FA120V1」には化繊100%、綿100%の毛布や掛け布団が洗える「毛布コース」が搭載されていますが、この布団は「弱洗い」指定のため、「おうちクリーニングコース」で洗いました

洗濯槽にスポッと収まりました。「NA-FA120V1」は投入口が円形でかつ広いのが魅力。大きな洗濯物も引っかかることなく出し入れしやすいです

ドラム式洗濯機のような「たたき洗い」の形式だと、弱めのコース設定で洗っても中綿が片寄ってしまうことも多いのですが、縦型の洗濯機はそういった片寄りが起こりにくいのもいいですね。これは、大容量の縦型洗濯機ならではのメリットだと感じました。さすがに大人用の布団は無理かと思いますが、洗える座布団などは十分に洗えるのではないかと思います。

洗濯は「お湯洗い」を標準に

僕は常々、洗濯に関するアドバイスをする時にお湯で洗う洗濯をおすすめし、住宅メーカーなどにも、「洗濯機の給水は混合栓を標準仕様にして、お湯が使えるように」と提言をしています。それほど、お湯洗いには効果があります。今回使用した「NA-FA120V1」のように、温水洗濯機能が付いた縦型洗濯機が増えることでお湯洗いの効果が浸透していけば、日本の洗濯環境もお湯洗いが常識になる日も近いかな、と期待をしています。

「NA-FA120V1」に関しては、温水洗濯(「温水泡洗浄W」)の場合、どうしても洗濯に時間がかかるのがネックです。しかしその部分を除けば、温水洗濯がたっぷりの水で行えるという点で、洗濯物や汚れ物が多い子育て世代の家庭などにとって、強力な相棒となるのではないかと思います。

【関連リンク】
《2018年》おすすめのドラム式洗濯乾燥機、縦型洗濯機7選! 本当の狙い目はこれ

中村祐一
Writer
中村祐一
国家資格のクリーニング師で、洗濯アドバイザー。“洗濯王子”の愛称で呼ばれ、テレビや雑誌などの各種メディアでも活躍中。自身のホームページ(http://www.sentaku-yuichi.com/)でも、洗濯に関する相談などを受け付けている。
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