特別企画

楽天モバイルが「月額料金0円」を廃止、新プランでは何が変わる?

楽天モバイルのWebページ

楽天モバイルは2022年5月13日に新しい料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VII」を発表しました。この料金プランは現在提供されている「Rakuten UN-LIMIT VI」に代わるもので、2022年7月1日から提供が始まります。

「VI」から「VII」への移行で一番の変化は、毎月の通信量が1GB以下だった場合の月額料金「0円」の区分が廃止されることでしょう。しかし、「Rakuten UN-LIMIT VII」にはほかにもいくつかの変更点があります。

そこで今回は、楽天モバイルの料金プランが「Rakuten UN-LIMIT VII」に移行することで、これまでとはどこが変わるのかをチェックしてみたいと思います。

※記事中の価格は特に断りがない限り税込です。記事の内容は2022年6月5日時点での情報をもとにしています。

楽天モバイルの新料金プランでは何が変わる?

以下の表は、現行の料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」と新しい料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VII」について、月額料金やデータ利用量、通話料金といった主な変更点をまとめたものになります。

「Rakuten UN-LIMIT VI」と「Rakuten UN-LIMIT VII」の主な変更点の比較

「Rakuten UN-LIMIT VI」と「Rakuten UN-LIMIT VII」の主な変更点の比較

楽天モバイルは実際の通信量に応じて月額料金が変化する段階制の料金プランを採用しています。区切りとなるデータ利用量は、現行プランの「Rakuten UN-LIMIT VI」では1GB(条件あり、後述)/3GB/20GB、新プランの「Rakuten UN-LIMIT VII」では3GBと20GBです。

今回のプラン改定で最も注目されている「0円廃止」とは、具体的には「同一楽天IDで契約している1回線目の月額料金のうち、毎月の通信量が1GB以下だった場合の料金区分が廃止される」ことを指します。

楽天モバイルは同一楽天IDで最大5回線まで契約することができます。現行プランの「Rakuten UN-LIMIT VI」では、このうち1回線目のデータ利用量のみ「1GB」の区切りが設けられていて、通信量が1GB以下だった月は月額料金が0円になるという仕組みでした。2〜5回線目には「1GB」の区切りが設けられておらず、たとえ通信量が1GB以下だったとしても、その月の通信量は3GB以下と同じ1,078円でした。

新プランの「Rakuten UN-LIMIT VII」では1回線目の「1GB」という区切りが廃止され、これまでの2〜5回線目と同じように月額料金の下限が1,078円になります。新プランへの移行後は1〜5回線目がすべて同じデータ利用量の区切りとなり、月額料金は通信量が3GBを超えると20GBまで2,178円、20GBを超えると3,278円で通信し放題となります。

楽天モバイルで通信量が毎月1GBを超えているユーザーの場合、「0円廃止」の影響は特にないでしょう。しかし、毎月1GBに届かなかいユーザーの場合は決して無視できない影響を受けることになります。

いっぽう、新プランへの移行では標準通話アプリ用のかけ放題オプションも内容が変更されます。

現在「Rakuten UN-LIMIT VI」向けに提供されている「10分(標準)通話かけ放題」は、月額1,100円で国内宛の各通話最初の10分間が無料・SMS送信が無料になるオプションです。このオプションが7月1日からは「15分(標準)通話かけ放題」となり、月額利用料は1,100円が据え置かれたままで、無料通話の対象時間が10分から15分に拡大されます。

また、現在楽天モバイルではキャリアメールが提供されていませんが、7月1日からは「楽天メール」としてキャリアメールの提供も始まります。ドメインは「@rakumail.jp」で、8月からは転出時のメールアドレス持ち運びサービスも提供が始まる予定です。

なお、楽天モバイルでは新プラン「Rakuten UN-LIMIT VII」への移行にあわせて、楽天ポイントの還元率が最大6倍になるキャンペーンを2022年6月1日から始めています。楽天市場で買い物をする際、誰でもポイント還元率が+1倍になり、ダイヤモンド会員なら+1倍で最大6倍になります。

(編集部追記)※同キャンペーンは2022年6月10日エントリー不要に変更されました。それに合わせて記事の内容を一部修正しました。

さらに、現在「Rakuten UN-LIMIT VI」を契約中のユーザーや2022年7月1日までに申し込んだユーザーは、「Rakuten UN-LIMIT VII」への移行後も7月分・8月分は毎月1GBまで月額料金が無料になります(1回線目のみ)。また、9月分・10月分については毎月1GBまでの月額料金に相当するポイントが付与されるため、7月〜10月の4か月分に限り、1回線目は毎月1GBまで実質無料で利用できることになります。

「0円廃止」の影響を受ける・影響を受けないのはどんな人?

先ほども少し触れたように、元々楽天モバイルの通信量が毎月1GBを必ず超えているユーザーの場合、料金プランが「Rakuten UN-LIMIT VII」に移行しても、大きなデメリットはないでしょう。時間制限付き通話定額オプションの「10分(標準)通話かけ放題」を追加しているユーザーの場合、対象時間が15分へ拡大するというメリットがあります。

そのいっぽう、同一楽天IDで契約している回線数が1回線のみで、通信量が毎月必ず1GB以下というユーザーの場合、「0円廃止」の影響を強く受けることになります。値上げ幅は毎月1,078円、1年間では合計12,936円となります。

楽天市場をひんぱんに利用しているユーザーであれば、ポイント還元率がアップされるキャンペーンにエントリーすることで、料金プラン移行にともなうコストアップを少し抑えられるかもしれません。しかし、「1GBまでなら0円で済むから」というコストの安さを理由に現行プランの「Rakuten UN-LIMIT VI」を契約していたユーザーのなかには、新プランへの移行を機に楽天モバイルから乗り換えることを検討している人も少なくないのではないでしょうか。

乗り換え時の目安は「音声通話SIMの月額料金が毎月3GBで1,078円」のラインを下回る料金プランがあるかどうかです。この条件に該当する大手キャリアのオンライン専用プランや格安SIMの料金プランの一例を、以下の表にまとめました。

乗り換え先候補のオンライン専用プラン・格安SIMにおける料金プランの一例

乗り換え先候補のオンライン専用プラン・格安SIMにおける料金プランの一例

たとえば、ソフトバンクのオンライン専用プラン「LINEMO」では、データ通信量3GBの「ミニプラン」が月額990円で提供されています。KDDIのオンライン専用プラン「povo」では、データトッピング「データ追加3GB」を990円で購入可能です(利用可能期間は30日間)。

格安SIMでは、日本通信SIMの「合理的シンプル290プラン」が毎月1GBまで月額290円で提供されています。同プランは実際の通信量に応じて月額料金が変わる段階制の料金プランになっていて、1GBごとに220円が加算されます。毎月3GBまで通信する場合は730円です。上限はユーザー自身で決めることが可能で、1GB〜100GBの範囲内にて1GB刻みで設定できます(初期設定値は10GB)。

また、IIJmioの「ギガプラン」では月額850円の「2ギガプラン」や、月額990円の「4ギガプラン」を選ぶことができます。毎月1GBも通信しないのであれば、「2ギガプラン」で十分かもしれません。

「通話かけ放題やポイント還元よりも、スマートフォンの通信コストを徹底的に安く抑えるほうを選びたい」という人は、こうした他社のオンライン専用プランや格安SIMへの乗り換えを検討してみてはいかがでしょうか。

松村武宏
Writer
松村武宏
信州佐久からモバイル情報を発信するフリーライターであり2児の父。気になった格安SIMは自分で契約せずにはいられません。上京した日のお昼ごはんは8割くらいカレーです。
記事一覧へ
三浦善弘(編集部)
Editor
三浦善弘(編集部)
出版社で月刊誌やWebメディアの編集・記者を経験し、2013年にカカクコム入社。「価格.comマガジン」にて、PCやスマートフォン分野を担当。取材歴は20年以上。現在は「価格.comマガジン」全体を統括する。
記事一覧へ
記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
SPECIAL
ページトップへ戻る