レビュー

とあるシミュレーションゲーマーの「戦場のヴァルキュリア4」プレイ戦記

「戦場のヴァルキュリア」(セガゲームス)というゲームをご存じだろうか。今から10年前の2008年にPS3向けに発売された、アクティブ・シミュレーションRPG(このジャンルに関しては後述)であるが、「CANVAS(キャンバス)」という水彩画風に描かれたグラフィックと世界観、そして「BLiTZ(ブリッツ)」と呼ばれる、戦術とアクションのバランスの取れたゲームシステムで一世を風靡。発売時にはそうでもなかったが、主にクチコミでその面白さが徐々に伝わり、世界的な大ヒット作となったという伝説のタイトルである。

かくいう筆者も、この「戦場のヴァルキュリア」(戦ヴァル)の大ファンである。筆者は、ふだんそれほどゲームを多くプレイするわけではなく、たまに気になったゲームをやるくらい。しかも、アクションゲームはほとんどプレイせず、主にプレイするのは(戦略)シミュレーションかRPG。RPGに関しては、ゲームクリア後のアイテムコンプリートなどには興味がなく、もっぱらゲームクリアまでの課程(バトルなど)を楽しむという偏った嗜好性の人間であるが、その筆者が、本作に限っては、ゲームクリア後も何度も繰り返しプレイし、何年も遊び続けたというほどハマったのだ。

そんな「戦場のヴァルキュリア」に、据え置き型ゲーム機向けとしては10年ぶりとなる「正統」続編の「戦場のヴァルキュリア4」が発売されることを知ったときの興奮たるや、想像してみていただきたい。それからというもの、2018年3月21日の発売日を今か今かと待ちわび、生まれて初めて「限定豪華パッケージ」(10thアニバーサリーメモリアルパック)まで予約購入してしまったほどの、近年まれに見るマイブームとなったのだ。

そんな筆者が、発売日当日に入手し、それから毎日数時間ずつプレイし続けている「戦場のヴァルキュリア4」について、いち「戦ヴァル」ファンとしての目線から、その魅力をいささかマニアックにレポートしたいと思う。

人はなぜ「戦ヴァル」にそこまでハマるのか?

「戦場のヴァルキュリア」(以下、戦ヴァル)に、筆者と同じようにハマった人は少なくない。初代タイトルは100万本を売り上げたというから、かなりの数の人が「戦ヴァル」にハマったのだ。では、なぜ人はここまで「戦ヴァル」にハマるのか? 筆者なりの見解を以下に記したい。

基本的には、各ミッションをクリアしながらシナリオを進めていくゲームシステム。このあたりは完全に「シミュレーションゲーム」の作り方だ

「コマンドモード」の画面。いわゆるヘックスが描かれていないのが、マップ上を自由に動き回れるアクション・シミュレーションたる所以。戦場となるマップは一画面に収まらないほど広い。これが据え置き型ゲーム機での「戦ヴァル」の楽しみのひとつ。なお、ミッション開始時点では一部の敵しか索敵されていない

その前に、まず本ゲームの立ち位置をハッキリさせておかなくてはいけない。セガゲームスによれば、本作は「アクティブ・シミュレーションRPG」というジャンルとなるようだが、筆者はこの言い方は必ずしも的を射ていないと思う。というのも、本ゲームを構成する要素の中で「RPG」的な要素はかなり薄いからだ。もちろん、戦闘によって経験値やお金を溜め、キャラクターや兵器を強化していくという意味では、広義に「RPG」と呼ぶのも間違いではないが、そのゲームシステムの根幹は、あくまでも「シミュレーションゲーム」(より正確に言うなら「戦術級ウォーシミュレーションゲーム」)である。もちろん、単にマップ上のモンスターに立ち向かっていって、Aボタンを連打していれば勝てる類いのゲームではない。本ゲームでは、各ミッションでの戦闘に勝つことが目的となり、勝つためにはそれなりの戦術が求められる。そういう点において、本ゲームは一般のRPGとは全く一線を画する、本格的なアクション・シミュレーションゲームと言って差し支えない。

ただ、「戦ヴァル」が、多くの人が想像するような「シミュレーションゲーム」ではないこともまた確かだ。一般的に(ウォー)シミュレーションゲームと言うと、プレイヤーがじっくり考えたうえでユニットを動かすものばかりで、そこにアクション性はほとんど求められない。「ドラクエ」や「ファイナルファンタジー」などのターン制バトルのRPGも同じだ。こうしたゲームは基本的に、あらかじめ決まっているHPや攻撃力/防御力の関係性から求められたダメージ値に、ランダムな関数の割合をかけ合わせた数字で戦闘の勝敗が決するわけで、言ってみれば、バトルは開始前からある程度結果が見えている。

「戦ヴァル」独自のゲームシステム「BLiTZ」。水彩画のような色彩の風景の中を、兵士が駆け抜けアクションバトルを行う。マンガのような効果音がユニークだが、バトル自体はいたってシビアで、病みつきになる

しかし、本ゲームで採用されるゲームシステム「BLiTZ」は、一般的なシミュレーションゲームのマップに当たる「コマンドモード」に加え、「アクションモード」という「TPS」(3人称視点シューティング)的なモードが存在する。これこそが、「戦ヴァル」がほかの多くのシミュレーションゲームと一線を画している部分であり、「戦ヴァル」独自の中毒性に直接的に結びつくシステムなのだ。このバトルモードでは、プレイヤーが操る各キャラは、銃弾が飛び交う戦場を駆け抜け、遮蔽物に隠れ、敵の隙を狙って攻撃を行う。感覚としてはTPSそのものだ。もちろん銃撃などが外れることもあるし、思った以上に敵兵の攻撃力が高かったり、あるいは援軍が隠れていたりと、必ずしも狙い通りにはいかない。そこで下手をすると、敵側にイニシアチブを取られてしまい、返り討ちに遭うことだってしょっちゅうだ。しかも、ゲーム内でいったん死亡してしまったら、そのキャラはそれ以降使用できなくなる。文字通り、死亡は死亡なのだ。それくらいシビアなのである。

しかし、このシビアさが、戦術級ウォーシミュレーションでは、むしろ心地いいのだ。ゲームには、ある程度のスリルと緊張感がなくては面白くない。ことゲームに関しては、筆者はそういう立場だ。そういう点で、「戦ヴァル」のこの「BLiTZ」というゲームシステムは、本当によくできている。普通のウォーシミュレーションでは、ここまでの緊張感は得られないし、かといって、普通のTPSになるとアクション性が強すぎて、筆者のようにアクションゲームが苦手なプレイヤーにはとっつきづらい。基本的には戦術重視のシミュレーションゲームでありつつも、その戦闘中に起こる予期しないハプニングに対する状況判断が求められる点は、アクションゲーム的にハラハラする。そのいいとこ取りをしたのが、「戦ヴァル」のゲームシステム「BLiTZ」なのだ。

本を模した「ブックモード」。各ミッションの合間には映像だけでストーリーが展開されるエピソードが挿入され、ひとつの大きな物語が展開されていく。シナリオの秀逸さも「戦ヴァル」シリーズの大きな魅力だ

また、一般的なRPGとは違って、「戦ヴァル」は単にラスボスを倒すことが第一の目的ではない。もちろん全体の物語の中ではそれを目指すのだが、筆者に言わせれば、各ミッションをいかに効率よく、高いスコアで(つまり短時間で)攻略するかが、実は一番大きな目的と言っていい。そのためには、簡単にクリアできるようなミッションではつまらないし、数値ですべてが決してしまうようなシステムでもダメだ。実を言えば、「戦ヴァル」では、各ミッションを単純にクリアするのはそれほど難しくない。全20ターン(たいていの場合)内に、決められた目的を達してミッションクリアに持って行くのは、かなり保守的にプレイしてもできなくはないのだが、この場合、戦闘評価ではまず「C」しかもらえない。「戦ヴァル」の戦闘評価は、上から順に「S」「A」「B」「C」と4段階あるのだが、保守的な作戦では「A」すらおぼつかない。「S」ランクを狙うのなら、しっかり戦術を考え、時には、ある程度のリスクを覚悟で突入していくことも必要なのだが、それで返り討ちにあっても、それはそれ。戦場というのは、そういうものなのだ。そうなったら、救援なり何なりまた別の行動を考える。そういう風に状況に応じて頭をフル回転させて、次のアクションを考える。その繰り返しにより、自分の経験値を高め、よりスマートに勝利を勝ち取ることこそ、「戦ヴァル」の最大の楽しみであり、何度も繰り返しプレイしたくなる一番の魅力なのだ。

各ミッションをクリアすると戦績が表示される。終了までのターン数や、倒した敵の数などによって、「S」「A」「B」「C」の4段階で評価されるが、最高評価の「S」を取るのは序盤では楽だが、中盤以降はグッと難しくなる。これがあるせいで、同じミッションでも何度でもトライして、よりスムーズで完璧なバトルを目指したくなる

すぐれたゲームシステムに加え、独特な世界観+骨太なシナリオが高評価

だが、この「BLiTZ」だけでは、「戦ヴァル」の成功はあり得なかっただろう。そもそも、日本のゲーム市場におけるシミュレーションゲーム(特にウォーシミュレーション)の立場は、残念ながら非常に弱い。家庭用ゲーム機向けのタイトルで純粋に発売されるウォーシミュレーションなど、1年に1本もないくらい。しかも、せいぜいが「大戦略」のような「戦略級」ゲームで、「戦術級」となるとまず皆無である。そんな日本のゲーム市場において、上述の「BLiTZ」がいくらすぐれていても、人々はそれほど興味を示さないだろう。

では、「戦ヴァル」はなぜ成功したのか? その答えは「シナリオ」である。これまでに述べたことと若干矛盾しそうだが、「戦ヴァル」はゲームシステムとしてはほぼ純粋なアクション・シミュレーションでありながら、ひとつの物語をプレイヤーが追体験していくというRPG的な要素も色濃く持っている。そして、その物語(シナリオ)が、「戦ヴァル」の場合、秀逸だったのだ。詳細は実際にプレイしていただくとして(幸いなことに、今ならPS4版の「リマスター版」が1,990円(税別)で購入できる!)、初代「戦ヴァル」のシナリオには、多くの人が感動し、涙したはずだ。

「シミュレーションなのにシナリオ?」と、いぶかしむ声も聞こえてきそうだが、ここにも「戦ヴァル」独自のゲームシステムが効いている。本ゲームでは、物語の進行に際し、「ブックモード」という、本を模したインターフェイスでのエピソード展開が用いられており、ここで、登場キャラクターたちの濃密なエピソードが語られるのである。実を言えば、「戦ヴァル」では、バトルの合間合間に挟まれるこのエピソードを見ている時間も結構長いわけだが(この点で賛否が分かれるところもあるだろうが)、この長いエピソードが用意されているおかげで、物語の流れがスッと胸オチする。各章ごとに、現在の状況、目的、各キャラクターの過去などが徐々に明かされていき、全体として大きな物語が作られていく。物語の方向性は完全にリニア(一方向)なのだが、一般的なRPG以上に、物語の展開とバトルとが密接に結びついており、その中で、各キャラクターへの感情移入度も高まっていく。それが「戦ヴァル」のシナリオの効果をさらに高めている。

「CANVAS」を用いた水彩画のような世界観も、「戦ヴァル」シリーズの大きな魅力

「CANVAS」を用いた水彩画のような世界観も、「戦ヴァル」シリーズの大きな魅力

もうひとつ、「CANVAS」という、水彩画のようなタッチで描かれる独特の世界観も、「戦ヴァル」を「戦ヴァル」たらしめる大きな要素だ。一件メルヘンタッチにも見えるデザインだが、その実、シナリオやバトルはやさしくなく、世界の美しさと、戦争の過酷さを同時に伝えている。しかも、バトルモードに至るまで、この「CANVAS」の世界観が展開されているのがすごい。キャラクターの3Dモデルはそれほど精巧というわけではないが、あえてこの「CANVAS」の世界観にしたことで違和感が少なくなる。また、あえてのマンガチックな演出、たとえば「ギュルギュル」といった戦車のキャタピラ音や、兵士が近づいてくる「ザッ、ザッ」という足音、銃を撃ったときの「パン、パン」という銃声など、さまざまな音が擬態語となって表示されるのも、本ゲームならではの楽しさだろう。

とにかく、一度プレイしてみればわかると思うが、一見とっつきやすいゲームシステムでありながらも、バトルはそこそこ戦術的に考えなければ勝つことができないほどハードで、なおかつ重厚なシナリオを持った作品。それこそが、初代の「戦ヴァル」を成功たらしめ、筆者のような中毒者を数多く生み出したその理由なのだ。

ついに、10年ぶりによみがえる、初代「戦ヴァル」の感動!!!(開封の儀)

筆者が予約購入した「戦場のヴァルキュリア4 10thアニバーサリーメモリアルパック」のパッケージ(表/裏)。このような豪華版を購入したのは生まれて初めての体験だ

というわけで、ここまで長々と「戦ヴァル」の魅力を解説してきたが、そんな名作タイトルの正統派続編となる「戦場のヴァルキュリア4」の発売を知ったときの衝撃はすごかった。たかだか1本のゲームタイトルが発売される程度で浮き足だったりすることはそうそうない年齢の筆者ではあるが、そのニュースを聞いたときは、それこそ「ワクワクが止まらない」感を久々に覚えてしまったほど。あまりのうれしさに、すでにPS3で何周もした初代「戦ヴァル」をプレイしたくなり、そのままPS4版の「リマスター版」をダウンロード購入してしまったほどである(しかも、そちらもすでに2周している:笑)。

しかし、この10年間、「戦ヴァル」シリーズに続編が出なかったわけではない。タイトルナンバーからもわかるように、本作はシリーズ4作目となるタイトルだ。では、2作目と3作目はどうなってしまったのか? もちろん、「戦ヴァル」シリーズには「2」も「3」も存在する。ただ、ゲーム機のプラットフォームが、PS3などの据え置き型ゲーム機ではなく、携帯ゲーム機の「PSP」に移っての発売となった点が、今回の「4」とは大きく異なっている。

「戦ヴァル」ファンである筆者は、もちろん、PSP版の「戦場のヴァルキュリア2」も「戦場のヴァルキュリア3」もプレイしている。そして、もちろん単なるゲームクリアにとどまらず、どのタイトルも2周以上はして、「戦闘評価 Sクラス」を極めようとしたのも同じだ。「戦ヴァル2」でも「戦ヴァル3」でも、シリーズの特色である「BLiTZ」を使ったゲームシステムは健在で、携帯ゲーム機でも「戦ヴァル」がプレイできることはそれなりに面白くもあったが、しかし、やはり携帯ゲーム機と据え置き型ゲーム機では、実現できることの幅が違う。ゲーム自体のデータ容量も違うし、グラフィックの解像度も異なる。端的に言えば、「戦ヴァル2」も「戦ヴァル3」も、初代の「戦ヴァル」の世界観はなぞりつつも、その簡易版であるという印象はまぬがれ得なかったのだ。

10年前、多くのシミュレーションゲームファンに大きな衝撃を与えた名作「戦場のヴァルキュリア」(写真はPS4版の「リマスター版」)。当時から「BLiTZ」による戦闘システムは高度に完成しており、最新版の「4」でもほぼそのままの形で受け継がれている

その大きな理由が「マップ」だ。PSP版の「戦ヴァル2」や「戦ヴァル3」では、ハードの性能などもありどうしても1つのミッションでのゲームマップが狭くなってしまう。その小さなマップをいくつかつなげたような構成のミッションが多いが、やはりそれでも初代で感じた、移動も含めた戦略性の面白さは味わえなかった。かつ、ゲームとしての難易度も初代に比べるとだいぶイージーになっており、この点でも、戦略ゲームとしての面白さが今ひとつ感じられなかった。

同様の印象は多くの「戦ヴァル」ファンも持っていたらしく、各種のレビューサイトなどでも、据え置き型での続編タイトルを待ち望む声が非常に多く聞かれていた。しかし、続編はついぞ発売されず、10年が経ったのだ。「もう、『戦場のヴァルキュリア』シリーズは作られないのではないか?」、そんな憶測も流れた。

そこへ突然降ってわいたような「戦ヴァル4」の発売のニュースである。初代を何周もやりこみ、「2」も「3」も若干の物足りなさを感じながらもやはり数周プレイし、次こそは据え置きゲーム機で続編を!という一縷(いちる)の望みを抱いていた我々「戦ヴァル」ファンが狂喜乱舞しないはずはない。しかも、初代タイトルの発売から10周年というメモリアルイヤーである。1万円を大きく超える特別パッケージも、こうなればご祝儀みたいなもんだ。

そして、ついに、その日はやってきた! 以下、「開封の儀」、行ってみよう!

「戦場のヴァルキュリア4 10thアニバーサリーメモリアルパック」のパッケージを開けたところ。左側にゲームパッケージ、右側に過去4作品のサントラ集CDが入っていた。2種類のDLCのダウンロードキーも付いてくる。

このほかに、特製のイラストブックが同梱される。中身は過去4作品にわたる、主要キャラクターや兵器などのイラスト設定集。思わず「懐かしい!」と思ってしまう登場人物なども! 「戦ヴァル」ファンなら持っておいて損はない

「戦ヴァル4」プレイ戦記(9章までプレイ済み)

というわけで、いよいよ「戦ヴァル4」のプレイレビューに移ろう。実を言えば、発売日である3月21日(春分の日)の午前中にパッケージが届いたのだが、写真撮影を終えて、お昼くらいから早速プレイを開始。途中何度か休憩は挟んだものの、気がつけば深夜3時まで、総計10時間以上もプレイし続けてしまった。さすが「戦ヴァル」。恐ろしいほどの中毒症状である。

最初のミッションからいきなり1画面では収まらない広いマップ。マップが広いからこそ、偵察兵の機動性で行くか、突撃兵の火力で勝負するか、戦術をいろいろ考える必要が出てくる。「戦ヴァル」はやっぱりこうじゃなくっちゃいけない

と、このように熱中してしまうくらい、本作の出来はいい。初代があまりにも名作だったため、そして、その後に続いたPSP版の「2」「3」がややイージーな設定だったため、本作ももしかしたら、肝心の戦闘がヌルくなってしまっているのではないか、という危惧も発売前はなくはなかったが、その点はほとんど問題ない。マップの広さや地形の複雑さ、そしてアクションモードでのアクション性なども、まさにあの初代「戦ヴァル」そのままの世界がそこには再現されていたのである。ちなみに、序章から2章までをプレイできる無料体験版がダウンロード可能なので(しかも製品版を買えば、そのままセーブデータを引き継げる)、購入前にぜひ一度プレイしてみていただきたい。

「戦ヴァル4」は、ゲームシステムとしてはほぼ初代をそのまま踏襲していると言っていい。変わったのは、プラットフォームが「PS3」から「PS4」になったことで、メニューの呼び出しボタンが「△」→「OPTION」に変わったことくらい。後は、ほぼ何も初代と変わっていない。しかし、それがむしろファンにはうれしい。筆者などは、今回の「戦ヴァル4」の発売を前に、初代を再度プレイし直していたので、操作方法などはチュートリアルを見なくても、そのまますんなり入り込めたほどだ。

あー、帰ってきたんだなーと、思わず思ってしまう、「CANVAS」による美しいフィールド画面

あー、帰ってきたんだなーと、思わず思ってしまう、「CANVAS」による美しいフィールド画面

バトルの基本は、土嚢などの遮蔽物に隠れつつ、敵の頭を狙うヘッドショット。この基本を忠実に守って進めば、それほど大敗はしない。「ダーン」と表示されるライフル音は、やはり「戦ヴァル」ならでは。思わずアガる!

もちろん無理に突っ込んでいくと、敵の銃弾に蜂の巣にされてしまう。写真はかなりレベルアップした偵察兵なのでそう簡単にはやられないが、レベルの低い偵察兵ならまず瀕死間違いなしのレベル

ただ変わった点もある。まず、兵科に新たに「擲弾兵(てきだんへい)」が加わったこと。これは大きい。主要キャラのひとり(というかヒロイン)であるレイリィがまさにこの「擲弾兵」なのだが、とにかく武器が強力で、離れた場所(直接敵が視界に入らなくてもOK)から擲弾を飛ばして、高所にいる敵でもやっつけられる。しかも、防御ターンでも、エリアに入ってきた敵に対して、容赦なく擲弾を飛ばして迎撃してくれる。「これはチートではないか?」と思わせるほどの最強兵科だ。あまりにも強いので、この後の戦闘が楽勝になっちゃいそうだなーと一瞬思ったが、それは杞憂である。だって、敵側にもこの擲弾兵がいるんだから、味方の兵隊が敵陣に下手に突っ込もうもんなら、たちまち擲弾の雨が降ってきて、吹っ飛ばされてしまう(吹き飛ばされると、耳がキーンとなってしまうあたりもよく作られている)。しかも相手の姿は見えない。これは恐怖である。まずは、ちゃんと偵察兵で索敵を行って、敵の擲弾兵の位置を特定し、この擲弾兵を排除しないことには前進できない。こういう戦略を一歩一歩積み上げていくのも「戦ヴァル」シリーズの楽しいところだが、擲弾兵が加わったことで、また別の楽しさが加わった感じだ。

兵科には新たに「擲弾兵」が加わった。遠方からでも榴弾レベルの攻撃が行えるかなり強力な兵科だが、敵にも当然擲弾兵がいるので、油断はまったくできない。この擲弾兵の運用が戦局を大きく変えるのは間違いない

あと、これについては賛否が分かれるところだが、戦車の行動によるCP消費が一作目の2から1に減った。つまり、これまでなかなか連続行動がしづらかった戦車が、より動かしやすくなったということなのだが、あまり万能な戦車が使えすぎると、やたらと戦車で突撃ということが増えてしまい、戦闘が単調になりかねない。ただ、戦車も無敵というわけではないし、対戦車砲のような兵器も増えていたりするので、それほどゲームバランスは悪くなっていない。

PS4の「トロフィー」にも対応した。エースを撃破したり、ある特定のミッションをクリアしたり、兵器開発を進めたりすると、トロフィーを獲得できる。もちろん、従来のような「勲章」も授与される

戦闘の難易度は、比較的イージーなほうだとは思う(難易度設定は「NORMAL」)。ただ、第4章で、いきなり今回の戦争の雌雄を決する「ジークヴァル会戦」に挑むことになるので、このあたりから一気に難易度がアップする。機銃攻撃は雨あられと降り注いでくるし、相手の戦車の装甲は硬いし、対戦車砲とかで戦車も思い切り活躍できないし、本当に一歩間違えば死、という状況を体感できる。筆者はここまでは、戦闘評価で「S」か「A」を出してきたが(さすがにやりこんできただけはある)、ここで初めて「C」評価となってしまった(「C」はクリアの最低評価)。それでも、現在9章までプレイして、全てが10ターン以内にクリアしているのだから、まだいいほうだとは思うが。

DLC「先行特別作戦」をクリアすると、「戦ヴァル」シリーズではおなじみのイーディが仲間に加わってくれる。これはファンにとっては萌えポイント

現在の戦績。ひとまず9章+断章数章+DLC2章までをクリアしたが、「戦ヴァル」経験者であれば、比較的楽に「S」を取れるミッションもあれば、かなり厳しいミッションも。特に4章からの「ジークヴァル会戦」はかなり厳しい戦いとなった

そんな感じで、いきなり初日にして10時間以上プレイ。続く2日目以降も平日にも関わらず1日数時間プレイして、現在9章までクリア。断章も2つクリアしたほか、パッケージに含まれていたDLC「先行特別作戦」「第7小隊との共同戦線」もクリアした。プレイ時間は25時間程度。そこまでゲームに熱中することはほぼない筆者だが、この数日間は、まさに「戦ヴァル」漬けの日々を送っている。全18章と聞いているから、これでようやく半分くらいか。これはかなりのボリュームだ。早くも追加DLCの情報もアップされているが、本編だけでこれはしばらく楽しめそうだ。今日も早く帰って小隊を指揮したくて仕方ない。

しかし全く何という罪なゲームなんだ、「戦場のヴァルキュリア」ってやつは。しばらくは寝不足の日々が続きそうである。

鎌田 剛(編集部)
Writer / Editor
鎌田 剛(編集部)
1996年にソフトバンクにて複数のパソコン情報誌の編集・立ち上げに携わった後、2002年にカカクコム入社。2006年「価格.comマガジン」を創刊。以降、編集長としてメディア運営に携わる。日経MJにてコラム連載、ラジオ出演なども幅広く行う。家電製品アドバイザー資格保持者。
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