レビュー

日清「特上カップヌードル」どれがいちばんウマい!? 4種類を本家と徹底比較

「今さらプレミアムかっ!」と驚きましたが、それだけ自信があるということなのでしょう。

2023年9月、「特上 カップヌードル」シリーズ4品が発売されました。ご存じ「カップヌードル」と言えば、1971年9月にデビューした世界初のカップ麺。加えて、海外でも有名なインスタントラーメンのNo.1ブランドです。

下段が本家「カップヌードル」シリーズで、上段が「特上 カップヌードル」シリーズ。計8種を食べ比べます

下段が本家「カップヌードル」シリーズで、上段が「特上 カップヌードル」シリーズ。計8種を食べ比べます

そんな同ブランドが、この値上げラッシュが続くこんなご時世に「特上」で挑むとは……。パッケージには「スープも具材も特上」と書かれており、価格も本家より高め。面白いじゃないですか。それに、本企画には過去の成功事例が関係しているとみています。

都内のコンビニにて。本家が税込254円のところ、特上は税込279円でした。公式オンラインでも同価格で販売されています

都内のコンビニにて。本家が税込254円のところ、特上は税込279円でした。公式オンラインでも同価格で販売されています

それは、日清食品が2022年に発売した「日清の最強どん兵衛」のこと。そう、「日清のどん兵衛」のプレミアム版であり、今やすっかり定着しました。

ただし今回の「特上 カップヌードル」シリーズ4品に関してはどうでしょうか。相応の贅沢感やおいしさに仕上がっているのかどうか、製品ごとに本家と食べ比べ、味やスペックを徹底比較します。

「特上 カップヌードル」は明瞭なリッチさが魅力!

やはりトップバッターは、王道の「カップヌードル」の上級版「特上 カップヌードル」から。“特上ポイント”は、「特製トリュフ風味オイル」を加えて仕上げるコク深く上品な味わいと、謎肉が「カップヌードル」史上最大の1.5倍サイズになっていることです。

各スペックは、「カップヌードル」が78g(麺65g)当たり351kcal、炭水化物44.5g、脂質14.6g。「特上 カップヌードル」が78g(麺60g)当たり378kcal、炭水化物41.4g、脂質19.2g

各スペックは、「カップヌードル」が78g(麺65g)当たり351kcal、炭水化物44.5g、脂質14.6g。「特上 カップヌードル」が78g(麺60g)当たり378kcal、炭水化物41.4g、脂質19.2g

「特製トリュフ風味オイル」はフタに別添されており、食べる直前に入れます。封を開けて注ぐと、確かに少量でもインパクトのある香りがムンムンと。これは期待できそう!

「特上 カップヌードル」の謎肉インパクトはデカく、全体的に具たくさんな印象。ただし海老や卵の量は同じか、むしろ「特上」のほうが少ないかもしれません

「特上 カップヌードル」の謎肉インパクトはデカく、全体的に具たくさんな印象。ただし海老や卵の量は同じか、むしろ「特上」のほうが少ないかもしれません

謎肉だけで比べれば、ご覧のとおり「特上」の圧勝

謎肉だけで比べれば、ご覧のとおり「特上」の圧勝

「特上」の味わいは、香りは「本家」よりリッチですし、トリュフ風味によって洋風テイストもアップ。また、別添のオイルにより濃厚さも加わりつつ、塩味も増している印象で、全体的にどっしりとしたスープの味わいに仕上がっています。

「特上」は、麺も本家とは若干違うタッチ。こちらのほうがツルッとしたニュアンスがあり、リッチさを醸し出しています

「特上」は、麺も本家とは若干違うタッチ。こちらのほうがツルッとしたニュアンスがあり、リッチさを醸し出しています

総評としては、トリュフオイルと謎肉のデカさでわかりやすい上級感に仕上がっており、価格差も納得です。特に香りの部分がエレガントなので、その分味わいは“別のカップ麺”と言えるかもしれません。また、麺は「特上」のほうが本家より5g少ないものの、そうは感じませんでした。毎日食べるのは飽きると思いますが、今回の4種の中では最も好みのアップグレードです。

「特上 カレー」はドロドロ好きな人におすすめ!

お次の比較は、2023年で50周年の「カップヌードル カレー」と「特上 カップヌードル カレー」。「特上」は、ビーフの旨味とバターのコク、豊かな香り、別添「特製薫り立つ後かけスパイス」の風味が利いた濃厚なカレースープ、そしてホクホクとした食感の皮付きポテトが特徴です。

「カップヌードル カレー」は87g(麺60g)当たり422kcal、炭水化物50.6g、脂質20.4g。「特上 カップヌードル カレー」は87g(麺60g)当たり425kcal、炭水化物49.0g、脂質21.3g

「カップヌードル カレー」は87g(麺60g)当たり422kcal、炭水化物50.6g、脂質20.4g。「特上 カップヌードル カレー」は87g(麺60g)当たり425kcal、炭水化物49.0g、脂質21.3g

真っ先に本家との違いを感じたのは、お湯の吸水率。これは、「特上」のルウフレークの量が多いからではないかと推測しています。熱湯3分経ってもルウが溶けきらないので混ぜていくのですが、粘度アップとともにお湯をどんどん吸っていき、スープの水位が見えないレベルに。そして、香りも別添スパイスを入れる前から違い、「特上」のほうがギラッと彩度のある仕上がりです。

ルウフレークは「特上」のほうが多い印象ですが、ポテトは本家のほうが多いかも。「特上」の別添スパイスは、カルダモンやクローブの存在が印象的です

ルウフレークは「特上」のほうが多い印象ですが、ポテトは本家のほうが多いかも。「特上」の別添スパイスは、カルダモンやクローブの存在が印象的です

ポテトのサイズだけなら、本家のほうが大。ぶっちゃけ、「特上」の皮付きポテトは皮のありがたみを感じませんし、「どうなんだろう?」と思いました。その理由は後述します

ポテトのサイズだけなら、本家のほうが大。ぶっちゃけ、「特上」の皮付きポテトは皮のありがたみを感じませんし、「どうなんだろう?」と思いました。その理由は後述します

実際に食べてみると、パッケージでうたわれているほど「ビーフの旨味とバターのコク」は感じません。ただ、欧風なテイストなのは確か。そこに別添スパイスが加わることで、少しの辛みと妖艶なアロマが加わります。味も濃厚なのでリッチだとは思いますが、この激しいドロドロ感は、上品とは言えないかも……。

「カレー」や「チリトマト」の麺は、レギュラー味のカップヌードル(醤油)より少し幅が広いタイプ。この幅は「特上 カレー」でも変わらずですが、食感は本家より若干ふっくらしているかも。また、高い吸水率は麺によるものではなく、あくまでもルウによるだと思います

「カレー」や「チリトマト」の麺は、レギュラー味のカップヌードル(醤油)より少し幅が広いタイプ。この幅は「特上 カレー」でも変わらずですが、食感は本家より若干ふっくらしているかも。また、高い吸水率は麺によるものではなく、あくまでもルウによるだと思います

そして、そもそも筆者は皮付きポテトに魅力を感じないという前提があるのですが、ホクホクしたポテトは乳化スープの中で存在感が弱まってしまいます……。よりとろみを演出する意図かもしれませんが、あえてクリスピー感を演出してメリハリを出したほうが好バランスだと思うんですよね。ポテトは比較的、食感がはっきりした「本家」のほうがベターだし、スープや麺との相性もいいと感じました。

とはいえ、「特上 カップヌードル カレー」はドロッとした味が好きな人には非常におすすめ。この濃厚テクスチャーにおいては「特上」の冠にも納得できますし、それだけの金額を出す価値があると思います。

「特上 シーフード」は具材の海老と複雑な重厚感がイイ!

3品目は、2024年で40周年を迎えるシーフード。「特上 カップヌードル シーフードヌードル」は、ホタテ、イカ、エビ、鯛の旨味が詰まった、濃厚でまろやかな白湯スープが特徴です。また、通常の「カップヌードル シーフードヌードル」には入っていない海老が具材として採用されていることもポイント。

「カップヌードル シーフードヌードル」は75g(麺60g)当たり340kcal、炭水化物45.5g、脂質13.6g。「特上 カップヌードル シーフードヌードル」は77g(麺60g)当たり377kcal、炭水化物42.9g、脂質18.6g

「カップヌードル シーフードヌードル」は75g(麺60g)当たり340kcal、炭水化物45.5g、脂質13.6g。「特上 カップヌードル シーフードヌードル」は77g(麺60g)当たり377kcal、炭水化物42.9g、脂質18.6g

「特上 カップヌードル シーフードヌードル」だけは、ほかの「特上」と異なり、調味料などの袋が別添しません。その必要がなかったほど、納得の完成度に仕上がったということでしょうか。開封してみると、確かにルックスは「特上」のほうが海老入りになったことで華やかさも増し、贅沢な印象です。味はどうでしょうか。

本家「カップヌードル シーフードヌードル」(左)のイカとカニカマに加え、「特上」(右)には海老が入ります。また、粉末スープはやや多く、色も褐色が強め

本家「カップヌードル シーフードヌードル」(左)のイカとカニカマに加え、「特上」(右)には海老が入ります。また、粉末スープはやや多く、色も褐色が強め

熱湯を注ぐとこんな感じ。全体的な重厚感も、「特上」のほうがランクアップしている印象です

熱湯を注ぐとこんな感じ。全体的な重厚感も、「特上」のほうがランクアップしている印象です

食べる前は、海老系のダシ感が強くなっているのかなと思いましたが、予想とは少し異なりました。甲殻類に加え、貝類やイカのようなやわらかな旨味のレイヤーが加わり、そこに胡椒系のスパイシーさや動物系のミルキーなコクが合わさっているので、複層的で重厚な味わいが楽しめます。調味料が別添しないからか劇的な変化はありませんが、地味ながら味わいが全体的にボトムアップされているように感じました。

とろみは少々増加。麺はかすかにツルッとした印象にアップ。海老はウマいですが、スープはそこまで“海老海老”していません

とろみは少々増加。麺はかすかにツルッとした印象にアップ。海老はウマいですが、スープはそこまで“海老海老”していません

「特上 カップヌードル シーフードヌードル」は、海老こそ追加されているものの、ぶっちゃけ「レギュラー」や「カレー」ほどのわかりやすいアップグレードは感じませんでした。ただ、「特上 シーフード」は「レギュラー」や「カレー」ほど派手さが少ないので、飽きないおいしさと言えるかもしれません。「シーフードヌードル」ファン、「レギュラー」の海老が好きな人は、ぜひお試しください。

「特上 チリトマ」はメキシカン度がアップ!

ラストは、1982年から愛され続けている「カップヌードル チリトマトヌードル」。「特上 カップヌードル チリトマトヌードル」は、トマトのコクと旨味が豊かなスープに「特製ホットチリ風味オイル」を加えて仕上げる辛みと酸味、ピリッとした唐辛子謎肉がスープの個性に奥行きを与えます。

「カップヌードル チリトマトヌードル」は76g(麺60g)当たり354kcal、炭水化物45.5g、脂質15.4g。「特上 カップヌードル シーフードヌードル」が80g(麺60g)当たり399kcal、炭水化物44.0g、脂質21.0g

「カップヌードル チリトマトヌードル」は76g(麺60g)当たり354kcal、炭水化物45.5g、脂質15.4g。「特上 カップヌードル チリトマトヌードル」が80g(麺60g)当たり399kcal、炭水化物44.0g、脂質21.0g

「特上 カップヌードル チリトマトヌードル」の辛さは、わかりやすいようにパッケージに「レベル2」(MAXは5)と表記。本家「カップヌードル チリトマトヌードル」には辛さ表記がないので、「レベル1」ということなのでしょう。ちなみに、近年の過去製品では「カップヌードル 辛麺」が「レベル4」、「カップヌードル 激辛味噌 ビッグ」や「カップヌードル チリチリ♪チリトマトヌードル」は「レベル5」でした。

全体的な具は、やはり「特上」のほうが豪華。赤いトマトキューブ、いんげん、キャベツは「特上」のほうが量が多めです

全体的な具は、やはり「特上」のほうが豪華。赤いトマトキューブ、いんげん、キャベツは「特上」のほうが量が多めです

本家の白い謎肉に比べ、唐辛子謎肉は褐色が濃いうえにサイズもややアップ

本家の白い謎肉に比べ、唐辛子謎肉は褐色が濃いうえにサイズもややアップ

別添「特製ホットチリ風味オイル」は、タバスコをオイリーにしたようなニュアンス。オイル感やとろみはそこまで変化しませんが、酸味と辛味がアップし、メキシカンな表情が強調されます。辛さの印象は、アタックでもエッジを感じますが、それ以上に余韻の刺激がジワジワと。別添オイルは酸味と相まって、全体をシャープに引き締めるアイテムと言えるでしょう。

カレー同様に、やや幅がある麺

カレー同様に、やや幅がある麺

個人的に評価したいのは、唐辛子謎肉。味付けのインパクトだけでなく、ワイルドな弾力になっていて、強化された麺やスープに負けない存在感を放っています。目立つポイントは酸味と辛みですが、全体的にひと回り成長している印象を受けた本製品。今回の中で最も“優等生な「特上」”と言えるかもしれません。

【まとめ】定番化も期待できるナイスな企画

先述しましたが、本企画で個人的にいちばん好みだったのは「特上 カップヌードル」です。ただ、どれがいちばん好みかは各人の嗜好性によって変わるでしょう。下記は筆者的な順位なのでご参考までに。

1位「特上 カップヌードル」
トリュフ香による劇的変化で「特上」にふさわしいリッチさ

2位「特上 カップヌードル シーフードヌードル」
目立つのは海老だがジワジワうれしい

3位「特上 カップヌードル カレー」
やり過ぎな乳化とポテトが残念だが味自体は好き

4位「特上 カップヌードル チリトマトヌードル」
悪くないけどどうしてもほか3品のほうが好み

熱湯を注ぐ前の「カップヌードル」と「特上 カップヌードル」。具材の増大と、別添の「特製トリュフ風味オイル」がナイスでした

熱湯を注ぐ前の「カップヌードル」と「特上 カップヌードル」。具材の増大と、別添の「特製トリュフ風味オイル」がナイスでした

ちなみに、日清食品のプレスリリースよると、本企画は「近年、節約志向が進むいっぽう、価値を感じるものに対しては『価格が少し高くても購入したい』と考える方が増えています。そこで今回、いつもよりワンランク上のスープと具材が味わえる『特上 カップヌードル』シリーズを発売した」とのこと。つまりは、「今こそプレミアムだ!」ということなのでしょう。

何はともあれ、今回の「特上 カップヌードル」シリーズはナイスな企画だと思いましたし、実際好調に売れている様子。「日清の最強どん兵衛」のような定番化にも期待したいですね!

中山秀明
Writer
中山秀明
食の分野に詳しいライター兼フードアナリスト。雑誌とWebメディアを中心に編集と撮影をともなう取材執筆を行うほか、TVや大手企業サイトのコメンテーターなど幅広く活動中。
記事一覧へ
牧野裕幸(編集部)
Editor
牧野裕幸(編集部)
アイテム情報誌「GetNavi」や映画雑誌の編集者を経て「価格.comマガジン」へ。電動シェーバーやロボット掃除機といった白物家電のほか、加熱式タバコやホビー、フード、文房具、スポーツ、ファッションを担当しています。
記事一覧へ
記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
SPECIAL
ページトップへ戻る