レビュー

売り切れ必至の「生ジョッキ缶」第2弾「アサヒ食彩」は何とプレミアムビール!

アサヒビールは、開栓するときめ細かい泡が自然発生して、飲食店のジョッキで飲む樽生ビールの味わいが楽しめる「生ジョッキ缶」第2弾「アサヒ食彩」を2023年7月11日に発売します。

この商品が発表されたとき、「まだ隠し玉があったんだ!」をちょっと驚きました。ただいっぽうで、「なるほどな」と思った点もありました。

「アサヒ食彩」の発表会にて

「アサヒ食彩」の発表会にて

このタイミングでこのビールとは絶妙!

一連の流れを解説しましょう。

まず2023年10月1日に酒税が改正されます。その結果、ビールの価格は実質安くなり、第3のビール(新ジャンル飲料)は高くなります。この法改正を見すえて、現在各メーカーはビールに注力しており、先の2023年4月にはサントリーが大型新商品「サントリー生ビール」を発売して話題になりました。

「サントリー生ビール」がデビューした背景には、サントリーはプレミアム系ではない、スタンダードビールで存在感を発揮しきれていなかったという側面があります。いっぽう、スタンダードビールの王者と言えば「アサヒスーパードライ」です。

アサヒビールは2021年春にリリースした「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」が絶好調なうえに、秋に「アサヒ生ビール」(通称「マルエフ」)も発売して大ヒットを記録と、いわば盤石な状態なわけ。そのため、同社に「まだ隠し玉があったんだ!」と驚いたのです。

「アサヒ食彩」。ベストな楽しみ方もイラスト付きで載っています

「アサヒ食彩」。ベストな楽しみ方もイラスト付きで載っています

ただ、「アサヒ食彩」の詳細を聞くと、プレミアムビールであり、いったんはコンビニ限定での発売になるとのこと。ここが「なるほどな」のポイントです。

アサヒビールにも既存のプレミアムビールはありますが、「ヱビスビール」や「ザ・プレミアム・モルツ」ほど強いプレミアムブランドがありません。

また、コンビニ限定の理由は、いわばテストマーケティングの面もあるとのこと(発表会で同社は「状況を見つつ、そのあと他業態への拡大を検討したい」と答えていました)。「スーパードライ」や「マルエフ」とキャラクターがかぶらないプレミアムビールで、なおかつ販路をコンビニ限定に絞って世の反響をうかがってみようという思惑があり、しかもデビューのタイミングは10月の3か月前の7月。ビール最盛期である夏に狙い撃ち、話題をかっさらおうというマーケティング手法も絶妙です。

フランス産ホップが放つ華やかで上品な香り

前置きが長くなりましたが、ここからは「アサヒ食彩」の特徴を深掘りしていきます。

まずはスペックから。素材で最も強く打ち出しているのは、フランス・アルザス産の希少ホップ「アラミス」を含む5種類のホップを使用していること。また、高い濃度で麦汁を発酵させることで、華やかで豊かな香りと濃厚なコクを実現しています。

アルコール度数は5.5%。「アサヒスーパードライ」が5%(生ジョッキ缶含む)なので、少しだけボディも強めということですね。プレミアムビールとしての差別化のひとつと言えるでしょう。ちなみに「ヱビスビール」は5%、「ザ・プレミアム・モルツ」は5.5%です。

ということで、いよいよ開栓してテイスティングへ。「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」よろしく、フルオープンエンドのこのフタ、開けるときに毎回ワクワクしてしまうのはきっと筆者だけではないはず。そしてパカッと開けると、やっぱり来ましたよ。数秒でモコモコと!

飲む際は十分冷やすことがポイント。12度以上ではふきこぼれる可能性があるので注意を!

飲む際は十分冷やすことがポイント。12度以上ではふきこぼれる可能性があるので注意を!

飲んでまず感じるのは、シルキーな泡のリッチな口当たり。ゴクッといくと、コク深い麦の旨味がふわっと押し寄せ、優雅なアロマが広がります。

缶がフルオープンになっていることで、香りのポテンシャルがいっそう発揮されている点も見逃せません

缶がフルオープンになっていることで、香りのポテンシャルがいっそう発揮されている点も見逃せません

この香りはフルーティーで上品。どこかマスカットを思わせるような果実味をはらんだハーブのニュアンスがあり、贅沢な気分にさせてくれます。そして、後味はすっきりしていてキレも爽快。これは、キレのあるビールを生み出す能力にすぐれた「318号酵母」を使っているからでしょう。その証拠に、「318号酵母」と言えば「アサヒスーパードライ」。シャープな辛口ビールの代名詞である名作のDNAを「アサヒ食彩」に活用している点から、同社の本気を感じます。

「アサヒスーパードライ」と飲み比べ

では、フルオープンエンド缶第1弾の「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」との違いはどこにあるのか、飲み比べて確かめます。

まずスペックからチェックすると、「アサヒ食彩」のほうがカロリーを始め、全体的にやや高めに作られていることがわかりました。

左の「アサヒ食彩」は、100ml当たり48kcalで糖質は3.7g。右の「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」は42kcalで糖質は3.0g

左の「アサヒ食彩」は、100ml当たり48kcalで糖質は3.7g。右の「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」は42kcalで糖質は3.0g

「そりゃそうだろ」というご意見もありそうですが、しっかり飲み比べてみると、想像以上に味のキャラクターは異なります。「アサヒ食彩」は力強さと懐の広さを兼ね備えた高級感があり、やや変化球的な香りの華やかさも。

どちらも、麦芽やホップのほかに米、コーン、スターチなども使って日本人好みのビールの味に整えています

どちらも、麦芽やホップのほかに米、コーン、スターチなども使って日本人好みのビールの味に整えています

いっぽうの「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」は麦の旨味やホップの苦味、そして香りが好バランスで、直球勝負の爽快感。しかもこの“ど真ん中を行く球”は初速の勢いもあり、ゴゴゴッと伸びながらもスカッと消える魔球的な要素も。

「これだよ、これ!」的な安定感のあるおいしさです

「これだよ、これ!」的な安定感のあるおいしさです

ただ1点、興味深かったのは泡の勢いです。双方を同時に開栓したところ、泡は「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」のほうがスピーディーにふくらみました。今回たまたまだったかもしれませんが、もし同様に試される場合はぜひこの点も比べてみてください。

“食を彩る”という特徴もフードペアリングでチェック!

「アサヒ食彩」のネーミングには、パッケージにも書いてあるように“泡と香りで食を彩る”というコンセプトが根底にあります。発表会でもその旨は開発担当者が話しており、登壇したタレントのMEGUMIさんはうな重と一緒に味わっていました。

ということで、筆者も同様のペアリングを体験。料理の感じ方が「アサヒ食彩」と「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」でどう変わるのかを確かめました。

うな重はスーパーで買ったため重箱ではありませんが、うなぎはうなぎ!

うな重はスーパーで買ったため重箱ではありませんが、うなぎはうなぎ!

うなぎとのペアリングは、ドンピシャな組み合わせです。うなぎ蒲焼きの香ばしさと甘じょっぱい味付けは、重厚なビールのコクとマッチ。なお、山椒はぜひかけて味わいましょう。というのも、ホップのハーバルな香りと心地よい苦味が山椒と仲よく共鳴し合うから。

この蒲焼きのように、濃厚な料理や香草の風味が豊かなメニューには特に合うと思います

この蒲焼きのように、濃厚な料理や香草の風味が豊かなメニューには特に合うと思います

そして「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」も合う! ただこちらは、シャープなキレが口の中をすっきりとリセットする役割。「アサヒ食彩」が食事に彩りを添えるのであれば、「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」は各料理の個性を立たせて、おいしく味わわせる方向性でしょう。

「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」のペアリングでの立ち位置は、オールラウンダータイプ

「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」のペアリングでの立ち位置は、オールラウンダータイプ

【まとめ】手軽に贅沢な一杯を楽しむなら「食彩」!

泡がもこもこ湧き上がるエンターテインメント性と、プレミアムビールの華やかな香りをフルオープンエンド缶ならではの仕様で存分に楽しめる「アサヒ食彩」。香り豊かなビールはグラスに注ぎたいところですが、コンビニで買ってすぐに飲みたい場合など、それが叶わないシーンもあります。その点、「アサヒ食彩」は手軽にそれが楽しめます。

夏祭りや高校野球といったイベントだけでなく、旅行や出張帰りの新幹線の中やアウトドアなど、重宝されるシーンはたくさんありそう

夏祭りや高校野球といったイベントだけでなく、旅行や出張帰りの新幹線の中やアウトドアなど、重宝されるシーンはたくさんありそう

今回も「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」発売時のように大ヒットして、やがてはコンビニ以外でも展開されるのでしょうか。引き続き、注目です!

中山秀明
Writer
中山秀明
食の分野に詳しいライター兼フードアナリスト。雑誌とWebメディアを中心に編集と撮影をともなう取材執筆を行うほか、TVや大手企業サイトのコメンテーターなど幅広く活動中。
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牧野裕幸(編集部)
Editor
牧野裕幸(編集部)
アイテム情報誌「GetNavi」や映画雑誌の編集者を経て「価格.comマガジン」へ。電動シェーバーやロボット掃除機といった白物家電のほか、加熱式タバコやホビー、フード、文房具、スポーツ、ファッションを担当しています。
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