文具対談

ニッチ過ぎ! コクヨのインデックスプリンターは東京五輪で需要増?

本連載は、文房具の専門家2人がそれぞれお気に入りの新製品を互いにプレゼンし合う対談企画。専門家として対談を行うのは、テレビ番組「マツコの知らない世界」にたびたび出演する文具ソムリエール・菅未里さんと、文房具コラムサイト「森市文具概論」編集長のきだてたくさんの2人だ。

第6回は、菅さんが、インデックスを美しく簡単に印刷できるコクヨのプリンター「タイトルブレーン2」をきだてさんに紹介!

【プロフィール紹介】
きだてたく(左)……1973年京都生まれのライター/デザイナー。自称「世界一の色物文具コレクション(3000点以上)」に囲まれながらニヤニヤと笑って暮らす日々を送る。文房具コラムサイト「森市文具概論」では、文房具魔改造講座などピーキーな記事を連発している
菅未里(かん みさと/右)……Webサイト「STATIONERY RESTAURANT」を運営する文具ソムリエールとして活躍。大学卒業後、文具好きが高じて雑貨店に就職しステーショナリー担当に。現在は、文房具の紹介、コラム執筆、商品開発、売場企画などの活動をしている

【関連リンク】
誰でも「TED」式プレゼンができる! リモコン型マウス「Spotlight」が優秀すぎる
真鍮×アクリルの軸が渋すぎ! サクラクレパスがこだわり尽くした珠玉のボールペン
布も段ボールもサクッ! 7,000円の最上級ハサミ「エクスシザース」
40°の角度がミソ! “美しすぎるペン立て”「マルチスタンド」
無抵抗感に目からウロコ! ガラス製「カッターマット」の知られざる実力

インデックスをキレイに作るのは難しい!

菅未里(以下、菅) 今回のオススメ品は、きだてさんから「いや〜、これ昔から使ってたんだよ」とか言われそうなんですけど……。

きだてたく(以下、き) ん? なんだろ。

菅 コクヨの「タイトルブレーン2」なんです。市販の「タックインデックス」やラベルシールに直接印字ができるプリンターですね。

き おおー、こういうものがあるとは知ってたんですが、でも実物をちゃんと見るのは初めてかも。

菅 あれ、意外。

コクヨの「タックインデックス」に直接プリントできる電子タイトルプリンター「タイトルブレーン2」

コクヨの「タックインデックス」に直接プリントできる電子タイトルプリンター「タイトルブレーン2」

き そうなんすよね。僕は字が汚いせいで手書きが超嫌いだし、すべての文字を印字に置き換えたいと思ってる派だから、使っててもおかしくないんですよね。

菅 私は1年前までは存在も知らなくて、コクヨの展示会に行ったとき、地味な事務用機器コーナーでたまたま見かけたんですけど。でもこれ、もう12年前に発売されたものなんです。

き そんな昔の製品でしたっけ。機能としては、さっき菅さんが言ったように、インデックスに印字するプリンターですよね。

菅 それ以外にもいろいろなラベルシールに対応してるんですけど、でもやっぱり1番のポイントはインデックスですよね。

「タイトルブレーン2」で「タックインデックス」に印字。ファイルの見出しインデックスが美しく作れるのがポイント

き ラベルプリンターは他社からも出てるけど、インデックスに直接印字できるのは多分こいつだけでしょう。

菅 私は普段からインデックスをあちこちに貼るためにたくさん使うんですけど、このちっちゃい枠の中にきれいな文字を書くのって大変なんですよね。で、雑に書いたものだと、あとから見返すたびにげんなりしちゃって。

き そうか。ファイルを見ると、どうしたってインデックスは目に入るもんね。

菅 いや、まぁ、自分の字だからしょうがないんですけど。で、たまたま展示会でこれを見つけて「その手があったか」と。

き 機械で解決できるものは機械にやらせたほうがいいんですよ。人間よりできる子なんですから、あいつら。

専用機ならではの「よくできてる感」に感動

菅 じゃあ実際に試してみましょうか。電源入れますよ。

き うわー、モノクロドット液晶が味わい深い。家庭用FAXとか思い出しますね。

菅 ここで「新規作成」を選ぶと、まずシートナンバーの入力画面になります。

き シートナンバーってなに?

菅 コクヨの「タックインデックス」とかラベルシールのパッケージには、シートナンバーというアルファベット2文字が書いてあるんです。たとえばこのインデックスだと「HV」とか、タイトルラベルなら「CU」とか、そんな感じで。

パッケージに記載された2文字のアルファベットにより、用紙設定関連のすべてが完了するシステム

パッケージに記載された2文字のアルファベットにより、用紙設定関連のすべてが完了するシステム

き あっ! そうか、それ入力するだけで用紙設定ができちゃうんだ! 機械とシートが同じメーカーだと、そういうことができるんですね。それ便利だわ。

菅 次に文字の配置とか向き、サイズなんかを決めます。

き インデックスの裏表で違う文字を入れるとか、そういう設定もちゃんと用意されているね。「手書きなら簡単なこともできないのか、この機械は!」ってイラッとすることはなさそう。

菅 その辺はまったく大丈夫です。あと、文字数制限はもちろんあるけど、常識的に考えて読める範囲内で詰め込むぐらいはできるし、段組もOKです。

き 文字サイズはSSとかMとかLって表記なのか。

菅 あ、この「タックインデックス」だと、Mサイズまでしか文字は大きくできないですね。

き へー、さっき入力したシートナンバーがそんな判断にも使われてるんだ。これ、よくできたシステムだな。

キーボードも大きめで、文字は打ちやすい

キーボードも大きめで、文字は打ちやすい

菅 で、文字を入力したら印刷ボタンを押して出力なんですけど、その際に「全ラベル」っていうのを選ぶと、台紙のインデックス全部に一気にガーッとプリントしちゃうんですね。

き 確かに、そんなにはいらない。

菅 そういう時は「台紙のA列1枚目からC列2枚目までプリント」とか、使いかけの台紙を挿して「D列3枚目からプリント」みたいな範囲指定もできます。

シートのどの位置から印刷するか、といった範囲設定も簡単

シートのどの位置から印刷するか、といった範囲設定も簡単

き それ、ラクでいいね。「タックインデックス」なんか、だいたい使いかけのシートがありますからね。指示しやすくていいわー。

菅 じゃあこれで出力しますね。(ポチッ)

き ……うーん、この「ウィーン! ジーッ!」て印字音がレトロだね。これ、インクリボン式ですか?

菅 そうです。専用のリボンカセットを本体うしろにセットしています。……あ、刷り上がりましたよ。

細かな設定は不要。電源を入れてから刷り上がりまでの作業時間が短く、実用性は高い

細かな設定は不要。電源を入れてから刷り上がりまでの作業時間が短く、実用性は高い

き おおー、使いかけのシートでもぴったり位置合わせしてプリントできてます。当たり前の話なんだけど、やっぱり手書きよりキレイでいい。こういうキチッとしたインデックスがついてるだけで、仕事をしてる気になるよね。

インデックスとオリンピック需要

き とはいえ、冷静に考えたら「パソコンでいいじゃん」ってならない? 実際問題、僕はPCのプリンター対応ラベルシートで出力してるんですけど。

菅 プリンター対応ラベルシートって基本的にA4サイズいっぱいに面付けされてるじゃないですか。そんなにいらないんだよなー、って。インデックスだと、1回に貼りたいのはせいぜい2〜3枚だったり。

き うーん、どっちもどっちか。A4まるまるインデックスいらんわ! っていうのと、わざわざ専用の機械はいらんわ! っていうのと、両方あるなー。

「自分の部屋に置いとくとラクなんですよー」と菅さん

「自分の部屋に置いとくとラクなんですよー」と菅さん

菅 それはわかります(笑)。あと、個人的な環境の話なんですけど、私の自宅はプリンターが別の部屋に置いてあるので、インデックスみたいなちまちましたものをプリントして、わざわざ歩いて取りに行くのがイヤなんですよ。だったら自室にインデックス専用プリンター置いとけばいいや、ってことで。

き ……ちなみにこのタイミングで聞いちゃうけど、これ、おいくらします?

菅 定価だと、税別で39,700円です。

き わりと結構なお値段!

編集・牧野 価格.com最安価格は25,790円です(2018年2月26日時点)。

き この値段設定だと、本来は個人向けじゃなくて、企業向けですよね。

菅 というか、そもそもなぜ12年前に発売された機械が2017年に展示会で展示されていたかということなんですが……、オリンピックが近いじゃないですか。

き はい、2020年の東京オリンピックが。

菅 オリンピックがらみで建築関連会社が仕事をする場合、役所に書類をいっぱい出さなきゃいけないんですけど、その書類にはインデックスを貼っておくルールがあるらしくて。

き へー!

菅 そういう時に、きれいなインデックスだと印象がいい、ということで需要が増えてるんだそうです。

き なるほど、知らないところに需要ってあるんだな。

菅 あと、以前の職場である雑貨店では、文房具メーカー各社のカタログを頻繁に使ってたんですけど、あの分厚いカタログにインデックスを貼っておくと、仕事がめちゃくちゃ速くこなせるんですよ。

き わかる!

菅 もちろん手書きインデックスでももちろんいいんですけど、でも、その手書きを読めるのが書いた本人だけ、ってことも十分にあり得るじゃないですか。

き そうですね。それはまったく他人事じゃない……。

菅 やっぱり、職場で共有してるものはこうやって印字したものを使うほうがいろいろと効率的なんですよ。きれいな字で手書きしてあったとしても、出力した文字のほうが認識しやすかったりするので。なので、私としてはもっと早くにこれに出会いたかったなと。

き あと、企業の総務部あたりで字がきれいな人がいると、ラベルとかインデックス書く作業が全部その人に回されちゃうんだよね。どんなに忙しくても「ついでにこれも書いといて」ってノリで頼まれちゃって。

菅 ありますねー。

き だから、そういう人も社内で購入稟議を書いてこれ買っちゃうべきかもしれない。字が汚い人にも、きれいな人にもありがたいプリンター。

菅 対応してるラベルシール自体は100種類以上あるので、それなりに使える局面は多いと思いますしね。小さい会社とか事務所ほど、これ1台持っておくと、いろいろと応用がきいていいんですよ。

【本日の逸品をおさらい】
コクヨ
タイトルブレーン2
価格.com最安価格25,790円(2018年2月26日時点)。

「タックインデックス」など、コクヨ製のラベルシール100種類以上に直接印字ができるラベルライター。使いたいラベルのシートナンバーを入力するだけで、自動的に文字サイズやピッチ、印刷範囲を設定できるため、簡単に美しいインデックスが作成できる。電源には、同梱の専用ACアダプターか、別売の単3形アルカリ乾電池6本を使用。

【関連リンク】
誰でも「TED」式プレゼンができる! リモコン型マウス「Spotlight」が優秀すぎる
真鍮×アクリルの軸が渋すぎ! サクラクレパスがこだわり尽くした珠玉のボールペン
布も段ボールもサクッ! 7,000円の最上級ハサミ「エクスシザース」
40°の角度がミソ! “美しすぎるペン立て”「マルチスタンド」
無抵抗感に目からウロコ! ガラス製「カッターマット」の知られざる実力

きだてたく
Writer
きだてたく
最新機能系から雑貨系おもちゃ文具まで、何でも使い倒してレビューする文房具ライター。現在は大手文房具店の企画広報として企業ノベルティの提案なども行っており、筆箱の中は試作用のカッターやはさみ、テープのりなどでギチギチ。
記事一覧へ
牧野裕幸(編集部)
Editor
牧野裕幸(編集部)
アイテム情報誌「GetNavi」や映画雑誌の編集者を経て「価格.comマガジン」へ。電動シェーバーやロボット掃除機といった白物家電のほか、加熱式タバコやホビー、フード、文房具、スポーツ、ファッションを担当しています。
記事一覧へ
記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
SPECIAL
ページトップへ戻る