2017年1月24日掲載
株式投資の始め方
株式市場とは?取引時間、証券取引所などを解説
株式市場と聞いて何を思い浮かべますか? 「野菜や魚介類のように株も売買できる市場がある」といえばそのとおりですが、実際は全国津々浦々の市場で取引されているわけでなく、ごく限られた場所で、決まった取引時間の間でしか株を売買できません。
ここでは、株式投資についてもっと理解を深め、身近に感じられるよう、株式市場や証券取引所の仕組みについて解説します。
株式市場って何だろう?
企業が発行している「株式(株)」を売買する場所を、株式市場(かぶしきしじょう)といいます。株式市場は大きく分けて「発行市場」と「流通市場」で構成されます。
発行市場は新規株式公開(新規上場、IPO)や公募増資などで新しく発行される株式、流通市場ではすでに発行されている株式をそれぞれ売買します。「銀行株が値上がりした」など、私たちが見聞きする株価は、流通市場での売買価格です。
証券取引所の役割とは?
株式市場で株を売買する投資家の間に立ち、取引の仕切り役となるのが「証券取引所」です。証券取引所は、証券会社が投資家から受けた売買注文を相手方につなぎ、売買を円滑にする役割があります。いわば、資金を調達したい企業と株を買いたい投資家、売りたい投資家を結ぶパイプ役です。
証券取引所は、投資家が安心して売買できるよう、株式を発行する企業にさまざまな義務を課しています。企業がIPOするときは「上場審査」という厳しい品質チェックをします。IPOした後にも、定期的な業績の公表など、情報開示を求めます。
こうした対応を取ることで、証券取引所や株式市場への信頼性が高まり、投資家が売買しやすくなります。
証券取引所の役割
証券取引所の種類
国内には東京、名古屋、福岡、札幌という4つの証券取引所があり、東京と名古屋の証券取引所に上場する企業は、企業規模の大きさなどで第1部、第2部と、2つの市場に分かれます。このほか、株価指数先物などデリバティブを扱う大阪取引所もあります。東京証券取引所は大阪取引所とともに「日本取引所グループ」を形成しています。
それぞれの証券取引所には、メインの市場(本則市場)のほかに、創業して間もなかったり、事業規模が小さかったりする企業が上場する市場もあります。東京はマザーズとジャスダック、名古屋はセントレックス、福岡はQボード、札幌はアンビシャスという名前が付いた市場です。
証券取引所が開設している市場と上場企業数(2016年12月末時点)
証券取引所 | 開設している市場 | 上場企業数 |
---|---|---|
東京 | 本則市場(1部、2部)、マザーズ、JASDAQ、プロ向け市場 | 3541 |
名古屋 | 本則市場(1部、2部)、セントレックス | 77 |
札幌 | 本則市場、アンビシャス | 15 |
福岡 | 本則市場、Qボード | 29 |
- (注)名古屋、札幌、福岡の上場企業数は単独上場分
証券取引所の上場審査は、新興企業など向けの市場よりも第2部、第2部よりも第1部のほうが厳しいです。たとえば、東京証券取引所の第1部には『トヨタ自動車(証券コード:7203)』や『NTTドコモ(9437)』など、日本を代表する企業がたくさん上場しています。こうした企業が選ばれる市場だからこそ、簡単には上場できません。
ただし、いったん第1部に選ばれると、厳しい審査をくぐり抜けた優良企業というお墨付きが与えられ、企業のアピールポイントになります。そのため、知名度向上や取引先からの信頼獲得などを目的に、多くの企業は第1部に上場することを目指します。
海外の証券取引所
世界を見渡すと、証券取引所は米国や欧州といった先進国・地域だけでなく、中国やインド、ブラジル、トルコなど新興国にもたくさんあります。世界取引所連盟には、世界中のおよそ80の証券取引所が加盟しています。
中でも、名だたる大企業が数多く上場し、企業規模の大きさを表す時価総額が2016年11月時点で19兆ドルと世界全体の3割弱を占めるのが、米ニューヨーク証券取引所です。上場企業数が最も多いのはインドのムンバイ証券取引所で、およそ5,800社あります。
日本で暮らしているため、どうしても国内に目が向かいがちですが、株式市場は世界各地にあり、日々、株式が売買されています。投資家が資産運用したり、企業が成長したりする場所として、証券取引所はどの国においても、なくてはならない存在になっています。
世界の主な証券取引所の上場企業数と合計時価総額
- 世界取引所連盟調べ(2016年11月時点)
株の取引時間
株は取引できる時間が決まっています。日本で一番大きな東京証券取引所の場合は、9:00〜11:30と12:30〜15:00で、午前を「前場(ぜんば)」、午後を「後場(ごば)」といい、この時間内で取引します。取引時間を「立会時間(たちあいじかん)」とも呼びます。
立会時間は証券取引所によって違い、たとえば、名古屋証券取引所は後場の立会時間が12:30〜15:30と、東京証券取引所よりも30分だけ長くなっています。
売買するのが「実際の株(現物)」か、ある商品が特定の日にいくらになっているかを予想して取引する「先物」かによっても立会時間は異なります。株価指数先物などデリバティブ(金融派生商品)を扱う大阪取引所は8:45〜15:15が日中の立会時間、16:30〜翌日5:30が夜間取引の時間で、いずれの時間でも売買できます。この間、休憩時間はありません。
現物や先物などの代表的な取引時間
また、土曜日、日曜日、祝日は証券取引所が休みになるため、売買できるのは平日のみです。年末はおおみそかの12月31日が休みで、年始は1月4日から取引がスタートします(年末、年始に休場が重なる場合を除く)。年末の取引最終日を「大納会(だいのうかい)」、年始の取引初日を「大発会(だいはっかい)」とも呼びます。
ネット証券なら24時間注文できる
売買は取引時間中しか成立(約定、やくじょう)しませんが、注文自体は取引時間でなくても出せます。ネット証券であれば、システムメンテナンスの時間を除く24時間、いつでも発注できます。
たとえば、18時ごろに注文を出したとしましょう。現物であれば、取引時間が終わった後の注文は翌営業日分として扱われ、早ければ翌営業日の9:00に約定します。もちろん、取引時間内の発注であれば、すぐに約定させることも可能です。このほか、1週間など期間を区切り、約定するまで同じ注文を出し続けることもできます。
株の取引は、先に発注した投資家の注文を優先的に約定させる「時間優先の原則」と、売りたい場合はより安い価格を、買いたいときはより高い価格を提示した投資家の注文が優先される「価格優先の原則」に基づいて取引されます。
「PTS」を使えば夜間取引もできる
企業の決算や買収、合併など株価を大きく動かすニュースは、取引時間が終わった後に発表されるケースが多いです。こうしたニュースを見聞きすれば、すぐにでも株を売買したいと考える投資家もいるでしょう。
一般的に、取引時間が終わった後に発注した分は、早くて翌営業日の9:00に約定します。しかし、「PTS」という民間会社がつくった私設取引所では夜間に売買でき、約定させることも可能です。国内には2つのPTSがありますが、個人が売買できるのはSBI証券を通じて発注できる「ジャパンネクストPTS」だけです。
ジャパンネクストPTSで取引できる時間帯は、日中が8:20〜16:00、夜間は19:00〜23:59です。この時間内であればいつでも注文できます。日中は東京証券取引所などを通じて売買できるため、メリットが大きいのは夜間取引といえるでしょう。
ただし、PTSで気を付けたいのは「売買参加者が少ないこと」です。売買ボリュームは東京証券取引所の数%程度で、銘柄によってはまったく取引相手がいないことも多いです。自分が売買したい株を必ずしも希望する価格で取引できるとは限りません。想定外の価格で約定するリスクがある点を踏まえ、取引しましょう。
まとめ
株を売買するためには、投資家の注文をつなぐ証券取引所に、証券会社を通じて発注しなければいけません。証券取引所は世界中にあり、先進国だけでなく、アジアやアフリカなど新興国にもたくさんあります。
証券取引所であればいつでも売買できるわけでなく、日本の証券取引所では9:00〜15:00が一般的な取引時間となっています。ただし、民間会社がつくった「PTS」という私設取引所であれば、より長い時間、売買することができます。
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