時期や熨斗、お礼のことなど……今さら聞けないような、お中元にまつわるマナー・基礎知識についてご紹介。
お中元はお世話になっている方に対して行うものだからこそ、お相手に失礼がないようにポイントを押さえましょう。
お中元について、
まず知っておきたい前知識
お中元とは
お中元とは、夏のごあいさつとして、日頃お世話になっている人に贈り物をするという年中行事のひとつです。その年の初めから夏まで、半年間の感謝の気持ちを込めたお礼の品として贈ります。
基本的にお中元もお歳暮も、一度贈ったお相手には毎年贈り続けるのが礼儀とされています。それゆえ、感謝の意を込めた夏の贈り物であっても、1回きりに
するならば、お中元ではなく、暑中見舞いや夏ギフト、お礼などの名目にする
ほうがよいでしょう。
【お相手】お中元って、そもそもどういう人に贈るもの?
両親や義理の両親、親戚、家族ぐるみでお世話になっている方、仕事でお付き合いがある方、恩師が一般的には多いです。
【時期】お中元って、いつからいつまでに贈るの?
お中元の時期は地域によって差があり、主に、関東と関西で大きく異なります。
- 関東:7月上旬〜半ば頃まで
- 関西:8月上旬〜15日まで
お中元を贈る人が
押さえておきたいこと
【予算の目安】いくらぐらいのものを贈ればいい?
お相手との関係性にもよりますが、3,000〜5,000円の価格帯が一般的な相場です。特別にお世話になっている方がいる場合は、
1万円程度を上限として考えてもよいでしょう。
【表書き】熨斗(のし)紙には、なんて書く?
熨斗(のし)紙の中央にある水引の上に「御中元」あるいは「お中元」と書きます(表書き)。そして、水引の下に贈り主の名前を書きましょう(名入れ)。書く道具は本来毛筆が好ましいとされていますが、今では手軽に扱える筆ペンを使用するのが一般的です。
熨斗紙のかけ方は、贈り物の包装紙の内側にかける「内のし」と、外側にかける「外のし」の2つがあります。表書きを目立たせず控えめな印象にしたいときや、熨斗紙が擦れたりするのを避けたいときに、内のしにする方が多いようです。
【お届け方法】相手宅に持参するほか、配送も一般的に
本来はお相手の自宅へ持参するのがマナーとされていますが、今は配送業者を利用して送るのが一般的です。通販サイトでお中元用のギフト包装サービスを行っているところも多く、通販サイトで購入した品をそのまま相手宅に届くよう手配するのも主流になってきています。
なお、すでに手元にあるお中元ギフトをお相手に届ける場合、一筆箋による短い文章でもよいので、手書きによる心のこもったメッセージを品物と一緒に梱包するといっそうよろこばれますよ。
- ※直接口頭で伝える場合、品物と同梱できない場合、すでに事前の送り状で同じような内容を伝えている場合など、不要なこともあります。
【配送手続き後のマナー】お相手に、送ったことを伝えておきましょう
送ったら送りっぱなしにせず、お相手に確実に受け取ってもらえるように、「近いうちに品物が届く」ということを連絡しましょう。
お届け予定日がわかれば、こちらも記載を。とりわけ生鮮食品や冷蔵・冷凍品のギフトはスムーズに受け取ってもらえるよう、しっかり配慮したいものです。
連絡方法は、儀礼的な形式を重視するなら手紙(送り状)が好ましいですが、昨今は暑中見舞いはがきにその旨を書いて送ったり、メールで伝えたりすることも多いようです。
なお、送り状の文章は、お中元の連絡のほか、夏のあいさつや日頃の感謝、健康の気遣いなどもお忘れなく。また、親しい間柄であれば、形式ばったものではなく、わかりやすくてやさしい文章のほうが好まれる場合もあります。お相手の視点でよろこばれる文章を考えられるといいですね。
【選び方】よろこばれるための心配りをしましょう
迷ったら定番や老舗のものを選ぶのが安心です。お相手の家族構成や年齢、仕事の取引先に贈る場合は部署の人数なども考慮して、気持ちよく受け取ってもらえるように考えましょう。
<よく重視されるポイント>
- 常温で保存できるもの
- 賞味期限が長いもの
- 旬のおいしいもの(主に産地直送品)
- ほかの人とかぶりにくいもの(夏季限定・新発売の商品・地域限定品など)
- 仕事相手に贈るなら……職場で配りやすく、片手で気軽に食べられるもの(個包装のお菓子や缶ジュースの詰め合わせなど)
お中元をもらった人が
押さえておきたいこと
【お礼の基本】お中元をもらったら、お礼を伝えましょう
お中元を手渡しでもらったらすぐにお相手にお礼を言えますが、配送で受け取った場合、「お礼をどうやって伝えよう?」と迷われる方は多いのではないでしょうか。基本的にお礼の仕方は、お礼状を書いて郵送するか、電話をかけるかの2通り。お礼状を書かないなら、お相手に電話をかけ、「無事に届きました」「うれしいです」ということを伝えましょう。電話がつながらなかったり、お相手が多忙だったりする場合は、メールでもよいでしょう。
【お礼状の書き方】礼儀を重んじる関係性の方には、封書のお礼状を
仕事の関係者や義理の両親、恩師など、ていねいな印象を与えたいお相手には、お礼状というフォーマルなお礼の伝え方を選択するのが一般的です。なお、儀礼的な手紙においては句読点を打たずに一文字分あけて書くのが慣例とされており、この点を押さえておくと、きっと一目置かれますよ。(句読点があったほうが読みやすいため、句読点を付けても失礼にあたらたないという考え方もあります)
ここでは、お礼状の文例を3つご紹介します。
CASE1:ビジネスシーンのお中元に
- ポイント
- 一般的に、上司といったビジネスシーンでの上の立場の方に対しては、夫の代わりに妻がお礼状を書くケースが多いようです(妻と面識がある場合に限る)。奥さんからお礼状が届くと、「しっかり者の奥さんがいる」ということで、夫の評価を上げることにつながりやすいでしょう。また、縦書きの場合は、お相手の名前を最後に記すのが正式なマナーとされています。
CASE2:義理の両親からのお中元に
- ポイント
- 義理のご両親からお中元をいただいた場合、まずは電話やメールでお礼を伝え、後日封書のお礼状を送るのがベストです。手紙には、お礼の気持ちに加え、いただいたものに対する具体的な感想も入れましょう。差出人の名前は配偶者を先に記し、自分を後ろに。
CASE3:親戚のおばさんに
- ポイント
-
親しい間柄の人であれば、封書ではなく、暑中見舞いはがきや残暑見舞いはがきを使ってお礼を伝えるのもおすすめです。
イラスト入りのはがきを使う場合は、イラストに文字が重なって読みづらくならないように配慮して、適宜改行を入れるようにしましょう。
【お返しの贈り方】お中元はお返し不要だが、それでも「何か贈りたい」場合
お中元をもらったら「お返しの品は何にしよう?」と考えがちですが、基本的にお返しは不要です。しかし、そう理解しつつも、何か
お返しの品を贈りたいという場合は、お中元の時期の後に、暑中見舞いや残暑見舞いのギフトとして贈ることが多いようです。
あるいは秋まで待って、秋に旬を迎えるおいしいものを贈るというのもひとつの手ですよ。
また、お中元をもらってからすぐにお返しの品(ほんの気持ちばかりとして)を宅配で贈るという方もいます。その場合、お中元の
お礼を伝えるお礼状のなかに、本来送り状で伝えるような「別便にて送りました」という旨を書き添えてもいいですね。
なお、これらはあくまで親しい関係性のお相手に限った話。人によってはマナー違反にとらえられる可能性があることを頭に入れておきましょう。