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人工知能を搭載した人型ロボット!
介護ロボットの進化について解説します!

今回のテーマは介護ロボットの中で一番にイメージされる、「AIを搭載した人型ロボット」ついて解説します。

前回のコラムでは「見守りセンサー」を中心にご紹介しましたが、本題の前に「AI=人工知能」について少し触れたいと思います。

人工知能について

「AI=人工知能」と聞いて、実際の生活には、まだまだ縁遠いと感じていませんでしょうか?たしかに、「介護は人の手」という言葉からも、AIというと無機質な印象があり、介護現場での活用のシーンをイメージしにくいやもしれません。

ですが、皆様の身近なところで、実際に多く活用されていますので、分かりやすい事例をいくつかご紹介致します。

一番代表的な例として、ネットショッピングなどの取引(=Eコマース)や各種ポイントカードビジネスなどが挙げられます。ネットでお買い物された後に、関連付けされたWebサイトの広告などが多いなどと感じられたことはありませんでしょうか? これはAI(人工知能)が、過去の大量なWeb閲覧履歴などから分析し、「購買するという成果物」に対して、最適な情報内容と提供するタイミングを人工知能が導き出しています。

また、自動車保険などを扱う損害保険会社などでは、急速にAI活用が進んでいます。以前は、「事故の過失割合」は、過去の判例を元に調査したり、「損害額」は実際に修理工場に出向いて、妥当な修理金額かどうか現地確認するなど、人的工数が多くかかっていました。いまでは、AIの分析により膨大な過去データから瞬時に適切な答えを導きだすことで、大幅な業務効率化に寄与しています。

 上記の事例に共通することは、「答えである成果物」が数値や具体的な対象であり、人工知能が得意とする分野になります。このように、実際の生活の場にもAIの活用は進んでいます。

人型=ヒューマノイドについて

さて、少し脱線致しましたので、本題に戻りたいと思います。「ロボット」と聞いて、一番イメージされるのが、「人型=ヒューマノイド」だと思いますが、人は誰しも「擬人化した」形に親近感を覚えます。昨今の高齢化社会ではご利用者様に寄り添った個別ケアを実践するために、現場職員様が日々奮闘されています。今後、「人型ロボット」が支援してくれることが珍しくない時代が、そう遠くない未来にやってくると考えています。

業務負担を改善する手段として、介護ロボットの中で、「見守りセンサー」や「移乗介助支援」など、直接介護業務に直結する機器が注目されがちですが、「人工知能を有した人型ロボット」が活躍している事例を2つご紹介したいと思います。

介護支援AIロボット~アイオロス~

アイオロス ロボティクス社の介護支援AIロボット「アイオロス」は、介護職員が行う「直接介助業務」以外の付帯間接業務を行うことができます。

付帯間接業務をAIロボットが行うことで、本来の業務に職員が集中できることが「介護業務の効率化」と「介護サービスの質の向上」につながります。具体的な例として、自律走行ができることで、「洗濯物や排泄物の運搬」やエレベーターの階などを判断し自律移動し、人に代わって施設内の除菌作業も行うことができます。

また、夜間巡回ではロボット自身がエレベーターに乗って、フロアを移動、ドアを開けて室内を確認し、異常発見(転落など)時には職員のスマホへ通知することもできます。付帯間接業務を介護ロボットに任せることで「人でなければできない直接介護業務」に職員が注力できる環境が実現される時代がもうここまできています。

人型のコミュニケーションロボット~PALRO~

もう1つの事例は富士ソフト株式会社が提供する人型のコミュニケーションロボット「PALRO」です。

介護施設では、職員は限られた人員で複数人を同時にケアしなければならず、フロア全体で行う介護レクレーションと個別の介助業務を両立することはとても大変です。PALROは、ご利用者様が毎日楽しみにされている「介護レクレーション」を司会進行から主体的に行ってくれることで、職員の細やかな対応を可能とし、集団レクと個別介助の両立と、ケアの質の向上を助けます。 また、365日、日替わりのレクメニューを提供し、個々の職員ではバリエーションに限界があるレクリエーションのマンネリ化を防ぎます。介護レクだけではなく、AI機能により100人以上の人の顔と名前を覚え、実際に名前を呼びながら日常会話をすることも得意とし、送迎や入浴前後などのふとした時間に活用することで、職員様がマンツーマンで関われない時間帯にご利用者に寄り添った会話ができます。

 コロナ禍の状況もあり、発声を伴う活動は制限されている中で、このように「介護レク」や「日常コミュニケーション」をPALROが補完してくれることで、介護職員も本来の業務に専念でき、1500箇所を超える多くの介護施設で導入されています。

今後の展望について

具体的に人工知能を有した人型ロボットの事例を2つご紹介致しましたが、よく巷では「職員が減らされ、介護ロボットが増えるの?」という声をお聞きします。決してそのようなことはありません。両事例でもわかるように、現場職員様が「本来の直接介護業務」に専念できることが、結果、業務負担軽減につながり、総じて質の高い個別ケアの提供につながるものと確信しています。

 介護保険制度の厳しい財政状況の中、介護職員の人材定着につながるべく、行政も積極的に介護ロボット導入を支援しています。今はまだ過渡期ですが、介護ロボットを有効活用する現場風景が珍しくない時代がすぐにやってくるものと確信しています。

執筆者プロフィール

& Consulting Firm 代表 沖本 崇(静岡市)

前職、介護ソフトメーカーにて営業企画及び広報活動を主に従事。
各業界団体依頼のセミナー講師対応、業界紙の連載コラム記事執筆などに携わる。
2022年5月に独立起業し、介護事業所向けの「ICTに特化したコンサル支援」を中心とし、各業界団体依頼のセミナー講師対応のみならず、静岡県の訪問相談事業業務(※)ほか多数の 公益事業に専門家として対応。生産性向上と業務革新が注目される介護業界において、ICTを中心とした具体的な内容で解説できるエバンジェリストとして、業界有識者をはじめ介護業界全体で注目されている。