ITエンジニアの将来性は?現状と注目すべき職種、転職のポイント

ITエンジニアは業界全体で人手不足であり、企業もとりわけ採用に力を入れています。ITエンジニアを取り巻く現状や、将来性のあるエンジニアの職種、転職のポイントなどを解説します。これからエンジニアとして転職を目指す人は参考にしてみましょう。

ITエンジニアに将来性はある?

システムエンジニア

(出典) pixta.jp

さまざまな職種がある中で、ITエンジニアは特に人材需要が高い仕事として知られています。まずは、ITエンジニアの将来性について確認しておきましょう。

IT技術の進歩でエンジニアの需要も高まる

国内のIT市場の規模は右肩上がりに増加している状況です。IT関連技術が日々進化する中で、企業のエンジニア需要も増しており、今後さらに優秀な人材の獲得競争が激しくなると予想されます。

従って、将来性の面でいえばITエンジニアはかなり有望な職種で、第一線で活躍できる経験・スキルを有していれば、安定した収入を期待できるでしょう。

IT業界はもちろんのこと、近年は多くの業界の企業がDXに力を入れており、企業にデジタル技術の導入・定着を図れるエンジニアが広く求められています。

エンジニアに将来性がないといわれる理由

事実として、ITエンジニアの需要は高まっているものの、エンジニアには将来性がないと考えている人もいます。その理由としては、体力的にきついため長く働くのが難しいといった意見や、海外の安い労働力が入ってくるといったものがあります。

かつてエンジニアの「35歳限界説」がささやかれたように、肉体的にも精神的にも負荷がかかりやすい仕事ではあります。実際、長く続けるのが難しいと考えていたエンジニアは、これまで決して少なくありませんでした。

しかし、近年はエンジニアの労働環境はかなり改善されています。業界全体がエンジニア不足の背景もあり、優秀な人材にいかに長く働いてもらうかが、多くの企業にとって課題となっているのです。

労働環境の整備で在宅勤務やテレワークなどを含めて、柔軟な働き方を可能にする企業も増えています。業界全体として、エンジニアが活躍できる場が広がっている状況といえるでしょう。

「AIに仕事を奪われる」は本当か?

エンジニアに将来性がないという意見として、AI(人工知能)に仕事を奪われるといった予想をする人もいます。確かに定型業務を繰り返す職種をはじめとして、将来的にAIに仕事を代替される可能性のある仕事は少なくありません。

しかし、そもそもAIを開発しているのはエンジニアであり、エンジニアの存在なくしてAIの発展はあり得ません。AI自体の開発に携わるエンジニアはもちろん、AIを活用して、企業の業務効率化やDXに寄与するエンジニアの需要は、今後さらに高まっていくでしょう。

ITエンジニアの現状

ITエンジニア

(出典) pixta.jp

ITエンジニアの現状について、エンジニアの数や人材ニーズの観点から、もう少し掘り下げて見てみましょう。IT業界はもちろん、それ以外の業界でもエンジニアは多くの需要があり、副業に従事する人やフリーランスとして独立する人も増えています。

業界全体が人手不足の傾向

エンジニアの活躍しているIT業界全体で、慢性的な人手不足の傾向が続いています。近年はエンジニアの正社員としての求人倍率は15倍を超えるといった統計情報や、経済産業省による1つの試算(IT人材需給に関する調査)ではありますが、2030年には約79万人のIT人材が不足するといった報告もあります。

人手不足の影響が強いため、ある程度のエンジニアとしての経験・スキルを有していれば、ほかの職種に比べて転職しやすいでしょう。とりわけ経験豊富で、優秀なエンジニアは引く手あまたであり、ほぼ売り手市場の状況となっています。

出典:IT人材需給に関する調査(概要)|経済産業省

IT業界以外の需要も高い

エンジニアは主にIT業界で活躍している職種ですが、IT業界以外でも需要が大きく高まっています。その背景としては企業のDXへの意識の高まりや、人手不足解消のためのIT活用などが挙げられるでしょう。

IT技術を利用して業務効率化や社員の生産性をアップさせたい企業は、業界・業種にかかわらず増えています。さらに、ITの力で現状の人手不足の解消を試みる企業も多く、社内に独自の管理システムや、ネットワークの導入を進められるエンジニアを欲する企業が急増しています。

副業従事者やフリーランスも増加傾向

近年はエンジニアの働き方も多様化しており、フリーランスとして活動する人や、土日だけエンジニアとして案件を請けるなど、副業に従事する人も増えている状況です。

もともとエンジニアは在宅ワークやテレワークがしやすいため、正社員からフリーランスに転身する人が珍しくない職種といえます。そこにコロナ禍を機にテレワークを導入する企業が出てきたため、より柔軟な働き方を求めて、独立を考えるエンジニアも増えたのです。

企業側も、今後エンジニアの正社員としての雇用だけではなく、副業人材やフリーランスとの契約を検討するところが増えると考えられます。

将来性のあるエンジニアの職種3選

IT企業のオフィス

(出典) pixta.jp

ITエンジニアは全体として人材の需要が高く、将来性があると考えて問題ありませんが、一言でエンジニアといっても、具体的な職種や業務範囲はさまざまです。

ここでは数あるエンジニアの職種の中で、特に将来性のあるものを紹介します。エンジニアとしての就職・転職を考えている人は、以下の職種を含め、将来性を見据えた上で目指すべき道を検討しましょう。

AIエンジニア

すでに説明したように、AIの発展に伴ってAIの開発に携わるエンジニアの需要が高まっています。主にPythonを用いてAI開発に直接携わるエンジニアはもちろん、既存のAIを業務システムに組み込んだり、AIによる自動化を業務フローに取り入れたりする人材が求められています。

AIは今後さらに進化していくのは間違いないため、企業の生産性の向上に、AIの側面から関わるエンジニアの需要は高まり続けるでしょう。実際、多くの求人サイトでは、AI関連のエンジニアの募集案件が目立っています。

ネットワークエンジニア

企業ネットワークの根幹を作り上げるネットワークエンジニアは、業界・業種にかかわらず必要とされるのが主な役割です。ITサービスの基盤を支える存在であるため、細かいトレンドに流されづらく、将来性が高いといえるでしょう。

またネットワークエンジニアを含め、より広い概念であるインフラエンジニアも同様です。クラウドサービスの台頭により、物理的なサーバーの構築・運用などの案件は減少傾向にある一方で、クラウド技術を身に付けたエンジニアは活躍の場が広がっています。

セキュリティーエンジニア

あらゆるITサービスにおいて、セキュリティーの部分を担当するエンジニアです。顧客に安全なサービスを提供するためにセキュリティーへの配慮は必須であり、どういった形であれ、企業に必ず求められるエンジニアといえるでしょう。

企業の正社員として社内システムのセキュリティーを担当する人はもちろん、外注のエンジニアとして活躍している人も多くいます。

フリーランスのエンジニアが受注できるセキュリティー案件も、近年は増えている状況です。IT技術の進展に伴い、高いセキュリティーが求められるので、将来性のある職種の1つといえます。

ITエンジニアのキャリアパス

システムエンジニア

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ITエンジニアのキャリアパスとしては、専門分野を突き詰める道や、ほかの領域のエンジニアとして活躍する道などがあります。また前述のように、フリーランスとして独立する人も少なくありません。

専門分野を突き詰めてプロフェッショナルを目指す

まずは自分の専門領域を決め、その分野を徹底的に突き詰めてプロフェッショナルを目指す道が考えられます。

特定の分野でエンジニアとしての信頼を得られれば、案件を優先的に回してもらえる可能性が高いでしょう。社内の開発チームのまとめ役として、キャリアアップできるケースもあります。

実際、エンジニアからプロジェクトマネージャーに昇進する人も多く、開発の上流工程のみならず、将来的に企業のマネジメントに関わるようになる人も珍しくありません。

ほかの領域のエンジニアに挑戦する

特定分野の経験やスキルを生かして、ほかの領域のエンジニアに転身するキャリアもあります。より自分に合った分野の仕事ができれば、生産性も向上し、さらなるキャリアアップもしやすくなるでしょう。

例えば、システムエンジニアとして十分な経験を積んだ後、ネットワークエンジニアやデータベースエンジニアなどに転身する人は多くいます。また、企業に最適なシステム環境を提案するITコンサルタントや、ITアーキテクトなども、エンジニアのキャリアパスとして注目されています。

ITエンジニアの転職のポイント

パソコンを操作する手元

(出典) pixta.jp

実際にITエンジニアとして転職を目指す際には、以下のポイントを意識しましょう。

ほかの職種に比べて人材ニーズが高く転職しやすい状況にありますが、自分に合った職場を選ぶためにも、入念な情報収集に加えて、転職のタイミングも見計らうことが大事です。

事前準備と情報収集を怠らない

自分なりに転職理由を明らかにした上で、必要な準備を進めておきましょう。当然ながら、転職の目的によって応募するべき企業は大きく変わってきます。

事前に徹底した情報収集をして、応募する企業はもちろん、どういったアピールをするかも決めておきましょう。企業が求めている人材や職場の雰囲気を確認するために、企業サイトだけではなく、SNSなどをチェックするのも1つの方法です。

転職する時期もよく考える

転職に踏み出すタイミングも熟慮しましょう。求人数は年度末にあたる2〜3月、あるいは上半期が終わる9〜10月に増える傾向があります。

必ずしもこのタイミングがベストとは限りませんが、できるだけスムーズに転職できる時期を見計らうことで、余計な手間やコストをかけずに転職が可能です。たとえ転職に自信があったとしても、事前に入念な計画を立てる必要があります。

将来性のあるエンジニアとして転職を目指す

パソコンを持っている男性

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ITエンジニアの将来性や考えられるキャリアパス、転職のポイントなどを解説しました。ITエンジニアは企業のDX推進やAIの発展などを背景として、今後も高い人材需要が予想されます。ほかの職種と比べても、かなり将来性は明るいといえるでしょう。

十分な経験やスキルを有していれば、転職はしやすい状況になりますが、まずは自分の目指すべきキャリアを明確にして、進むべき道を慎重に検討することが重要です。

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