米でロボット生産、現地事業強化へ300億円投資検討=安川電機社長

[東京 30日 ロイター] - 安川電機 (6506.T), opens new tabの小川昌寛社長は、米国が自国内に供給網を整備する動きを強める中、ロボットの現地生産を検討する考えを示した。人手不足やインフレで自動化需要は強いとみて、新工場建設を含め約300億円の投資を視野に米国事業を強化する。ロイターとのインタビューで明らかにした。
小川社長は「米国で完結できる供給体制を構築し、安心と信頼を得る」と説明。中国との対立を背景に、米国が半導体調達を中心に経済安保を強化する中、米国事業の一段の成長には、現在日本から供給しているロボットなどの現地生産が不可欠と判断したという。
工場の建設地は選定中だが、「米国拠点近くの優先順位が高い」と述べた。オハイオ州、イリノイ州、ウィスコンシン州に拠点がある。今後2―3カ月で決定するとした。補助金の申請なども検討していく。
現状、米国でのロボット需要の多くは自動車産業向けで、競合のファナック (6954.T), opens new tabが強い。しかし、小川社長は農業を含めた食、医療、サービスの分野などでロボットの活用範囲が広がり、拡大余地があると見込む。インフレや人手不足により進む自動化の流れを背景に、ロボットの需要はますます高まると説明した。
安川電機は精密に動きを制御するサーボモーターで世界シェア1位。同社のサーボモーターは振動が少ないとされ、先端半導体を手掛ける大手製造装置メーカーに製品を供給している。これまでサーボモーター単体で提供していたが、複数個組み合わせてモジュール化するなど付加価値を高めたい考え。
米国にはアプライド・マテリアルズ(AMAT.O), opens new tabやラムリサーチ(LRCX.O), opens new tabなど大手の半導体製造装置メーカーが複数あり、先端半導体の技術開発が進んでいる。安川にとって米国事業の強化は重要性が高く、ロボット工場建設のほか、サーボモーターのモジュール化への投資も視野に入れる。
安川は人工知能(AI)を活用したロボットの開発も進めている。30日に都内で始まった国際展示会には、自律式ロボットを出展。簡単な作業の指示を与えると、自ら環境に合わせて判断して作業を完結する。
*インタビューは29日に実施しました。
(浦中美穂、Sam Nussey 編集:久保信博)

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab