サウジ王室、ムハンマド皇太子の王位継承に一部で反対

サウジ王室、ムハンマド皇太子の王位継承に一部で反対
 11月19日、サウジアラビア人記者ジャマル・カショギ氏の殺害を巡り同国への批判が世界的に高まる中、サウジ王室でムハンマド皇太子の王位継承阻止を模索する動きが一部に出ている。リヤドで撮影。サウジアラビア宮廷提供(2018年 ロイター)
[ロンドン 19日 ロイター] - サウジアラビア人記者ジャマル・カショギ氏の殺害を巡り同国への批判が世界的に高まる中、サウジ王室でムハンマド皇太子の王位継承阻止を模索する動きが一部に出ている。王室に近い関係筋3人が明らかにした。
関係筋によると、同国を支配するサウド家の王子ら数十人が王位継承の見直しを望んでいる。ただ、サルマン国王(82)が息子であるムハンマド皇太子への継承に反対する可能性は低いとみて、国王の生存中は行動を起こさない方針という。
これらの王族は、サルマン国王の弟であるアハメド王子(76)を国王が死去した後に後継に充てる可能性を協議しているという。
関係筋の1人はアハメド王子について、サウド家や治安組織のほか、一部の欧米主要国の支持を得るとの見方を示した。
アハメド王子は海外で2年半過ごした後、今年10月にサウジに帰国した。
サウジ関係筋によると、複数の米政府高官がここ数週間にサウジのアドバイザーに対し、国王の後継候補としてアハメド王子を支持する考えを示唆したもようだ。
これらのサウジ関係筋は、ムハンマド皇太子が実施した社会・経済改革をアハメド王子が撤回することはなく、既存の武器調達契約も維持するほか、王族の結束を取り戻すとの見方を示した。
米政府高官の1人は、米議会の圧力やムハンマド皇太子がカショギ氏の殺害を指示したとの米中央情報局(CIA)の判断にもかかわらず、ホワイトハウスは皇太子と距離を置くことを急いでいないと明らかにした。ただ、トランプ大統領が事件に関する最終報告書を受け取った後に方針が変わる可能性はあるとした。
トランプ大統領は17日、CIAがカショギ氏の殺害はムハンマド皇太子の命令と断定したとの報道について「非常に早計だ」と指摘する一方、CIAがそうした結論を出すことも「あり得る」と述べ、20日に最終的な報告を受けることになっていると明らかにした。
ホワイトハウスの当局者はロイターの取材に対し、トランプ大統領の17日の発言に言及した上で、「現時点で付け加えることはない」とした。
サウジ関係筋によると、カショギ氏殺害事件のほかに、ムハンマド皇太子が最近、国防省に対し武器の代替調達先としてロシアを検討するよう指示したことも米当局者のいら立ちにつながっているという。
サウジ関係筋や外交筋は、同国にとって経済・安全保障面で重要な同盟国である米国が今後の展開を左右する重要な鍵になるとの見方を示した。

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