中国の入国制限緩和、海外旅行サイトの検索が急増

中国の入国制限緩和、海外旅行サイトの検索が急増
 12月27日、中国当局が3年間に及ぶ厳しい入国制限を緩和すると発表したことを受けて、旅行サイトで検索が急増した。写真は北京首都国際空港で撮影(2022年 ロイター/Tingshu Wang)
[北京 27日 ロイター] - 中国当局が3年間に及ぶ厳しい入国制限を緩和すると発表したことを受けて、旅行サイトで27日に検索が急増した。
中国国家衛生健康委員会は26日、入国時の隔離義務を来年1月8日に解除すると発表した。
「ゼロコロナ政策」の転換により新型コロナが中国全土に広がっているが、公式統計では26日までの7日間で死者は1人となっている。
旅行サイト「Ctrip(携程旅行網)」のデータによると、このニュースが流れてから30分で人気の高い旅行先の検索が10倍になった。マカオ、香港、日本、タイ、韓国が特に人気という。
「Trip.com」のデータでは27日の早い段階で、海外行きのフライト予約が前日から254%増えたことが示されている。
中国経済は来年後半に急回復すると予想されているが、今後数週間から数カ月は労働者の感染が増え、厳しい状況になるとみられる。
上海や北京などではここ数日、従業員が出勤できないため多くの店舗が閉店を余儀なくされている。また一部の工場では1月末の旧正月休みを前にすでに多くの従業員が休暇を取っている。
JPモルガンのアナリストは「労働者が感染の影響を受けているため一時的にサプライチェーンにゆがみが生じる懸念が残る」と記した。中国の29都市の地下鉄の交通状況を追跡した結果、ウイルスの広がりを受けて多くの人が移動を制限していることが明らかになったという。
恒生銀行(中国)のチーフエコノミスト、ダン・ワン氏は「海外旅行は急増するとみられるが、(新型コロナ)流行前の水準に戻るにはかなり時間がかかるかもしれない」との見方を示した。
「新型コロナは中国のほとんどの地域でまだ広がっており、業務スケジュールが大きく乱れている。生産性の損失は大きく、需要の急増が供給の回復を上回るため、今後数カ月はインフレ圧力が深刻化する可能性がある」と指摘した。

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