Globetrotting with…アルベルト・アレッシィ

25 Nov 22

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Globetrotting with…アルベルト・アレッシィ

世界に知られるホーム用品ブランド、アレッシィを率いる社長のアルベルト・アレッシィさん に、必需品に絞った旅の荷造り、スイスに対する熱い想い、世界一のマティーニが飲めるバーなどについて語っていただきました。

アレッシィは、アルベルトさんの祖父ジョバンニ ・アレッシイさんが 100 年前に創設したデザイン・プロダクト・カンパニー です。本社は今も、創業の地であるイタリアのピエモンテ州オメーニャにあります。アルベルトさんは 1970 年の入社後、現在のアレッシィのシグネチャー・デザインにつながる有名デザイナーとのコラボレーションを次々に実現してきました。

そこから生まれた商品の数々をきっと皆さんもよくご存じでしょう。例えば、フィリップ・スタルクがデザインした蜘蛛のような形のレモン絞り器、マイケル・グレイブスによるバードケトル、植物の芽吹きを模したステファノ・ジョバノーニのトイレブラシ、そして、人間の形をユーモラスに表現したアレッサンドロ・メンディーニのワインオープナーなど。現社長のアルベルトさんは実にこれまで、300 人を超える世界各地の著名な建築家やデザイナーとコラボレーションを行ってきました。先日のミラノデザインウィーク、ミラノファッションウィーク では、創業 100 周年を記念した展覧会を開催。「Alessi 100 – 001」と題し、アレッシィの歴史と未来を同時に語るインスタレーションを展示しました。そこには 100 年の歩みを記念して特別に作られたアイテムとともに、アメリカのファッション・デザイナー、故バージル・アブローさんとのコラボレーションによるスチール製カトラリーセットも並びました。このセットはすなわち、アレッシィの新たな 100 年に向けた最初のコラボレーションとなるものです。さらに、アレッシィのアーカイブから選び出された歴史的なアイテムがグローブ・トロッターのビンテージケースの上に並び、アレッシィの歩みを旅になぞらえて物語っています。今回は、アルベルト・アレッシィさんが旅に出るときの習慣や、スーツケースに必ず入れて行くものについて、お話を伺いました。

Alessi 100-001

グローブ・トロッター:アルベルトさんはずいぶん広範囲に旅行されていますが、ずっと行ってみたいと思っている場所はありますか?

アルベルト・アレッシィ:ずっと行きたいと思っている旅先というのは、ありません。実を言うと、これまで旅をし過ぎたせいでしょうか、近ごろは自宅にいることがとても快適に感じるようになりました。私の家はイタリア・ピエモンテ州のオルタ湖にあります。所有しているブドウ畑の真ん中に建っていて、たいへん居心地がいいんです。眼下に見下ろす湖にはサン・ジュリオ島という小さな島があり、4 世紀にノバーラの聖ジュリオのために建てられた聖堂も見えます。最近気づいたのですが、湖のほとりや周辺の山々など、自宅の近くにも知らない場所がけっこうあるんですよ。遠くへ出かけなくても、見てみたい場所はまだまだたくさんあります。

Orta Lake

たくさん旅行をされていたころ、どこへ行くのがお好きでしたか?

例えばロンドン、パリ、ローマなどへ行ったら楽しいのは当然ですが、そうした伝統的な街を別にすれば、ルツェルン、チューリッヒ、ローザンヌ、ジュネーブといった極めてスイスらしい街が気に入っていました。理由はうまく説明できませんが……街の雰囲気や空気の清々しさのせいでしょうか。私は、アレッシィ家のルーツはスイスに違いないと思っているんですよ。13 世紀にイタリアのストローナバレーにいた伯爵か何かの奴隷として、スイスから連れてこられたようです。私もその町で育ちました。「アレッシィ」という姓もスイスの「バレー州」に由来しています。 

これまでで最も大冒険だった旅行についてお話いただけますか?

年に一度、妻のラウラと娘のエンマが大規模な家族旅行を計画します。それで6、7 年前に南アフリカに行ったのですが、現地までの移動は飛行機嫌いの私にはまるで悪夢のようでしたね。まず、定期便でイタリアからヨハネスブルグへ飛びます。次に、国内線の小型機に乗り換えて地方の小さな空港に移動します。そこからさらに、3~4 席しかないような小さい機体に乗り換えて、ようやくクルーガー国立公園に到着です。この段階で、私はすでにへとへとでした。しかし現地のワインはおいしかったし、家族も動物を見てとても楽しそうでした。

Kruger_National_Park

これまでに滞在した最高のホテルはどこですか?

チューリッヒのウィダーホテルは、上質な素晴らしいホテルです。魅力は「スイスらしい」ところですね。中世のころから修復・維持されてきた小さなタウンハウス 9 軒をホテルにしているのですが、スイスの上質さが表れたホテルだと思います。

旅行の際の移動手段としては何がお好きですか?

圧倒的に自動車がいいですね。自動車で行けない場合は鉄道で、それすらも難しい場合のみ飛行機に乗ります。船酔いするので船には乗りません。つまり、ここイタリアのピエモンテ州からアルプスを越えてスイス、オーストリア、ドイツに行くのも、フランスの各地に行くのも、すべて自動車です。ブルゴーニュはいいですね。特にワインが素晴らしい。自動車旅行には、昔ながらのリラックス感があると思います。数年間はジャガーに乗っていましたが、今はアウディです。車に対するこだわりは、あまりありません。デザインに対する私の見方は、自動車のデザイナーとはずいぶん違うものですから。

あなたの荷造りスタイルは?

正直に言うと、わりと大ざっぱですね。荷物が非常に少ないせいもあるでしょう。着替えを少し ――シャツを数枚とジーンズを 2 着、そのくらいです。

旅の荷物に必ず入れるものは?これを持たずには出かけられないというものはありますか?

そうですね……パイプを旅先で使うのは大変そうなので、代わりにいつもトスカーノを持って行きます。トスカーノはイタリア・トスカーナ産の葉巻で、味わいは強いですが、キューバ産に比べるとやや手ごろな価格です。これが私の必需品です。

お好きな料理の種類は何ですか?

スイスではチーズフォンデュを楽しみます。私の家はスイスとイタリアの国境に近いので、2 週間に 1 度ほどスイスのシンプロン峠(ここからも近いですよ)に登ります。そこに、チーズフォンデュを出すとても古いレストランがあるんです。私もイタリア人ですからイタリアの家庭料理はもちろん大好きですが、外国の料理にも興味をそそられるんですよ。例えば、フランスではミシュランの星付きレストランをたくさん訪ねました。彼らの料理の技術は本当に素晴らしいと思います。実際、技術の成果である料理以上に、技術そのものに感動することもよくあります。 

世界各地のバーで、特にお気に入りなのは?

ベネチアのチプリアーニ・バーです。非常に辛口の、素晴らしいマティーニを作ってくれます。

アレッシィのコーヒーメーカーは非常に有名ですが、ミラノでおいしいコーヒーを出す店を推薦していただけますか?

サント・スピリト通りにあるホテル・マンゾーニのコーヒーはお勧めです。ここはアイスコーヒーもたいへんおいしいですよ。

uk.alessi.com

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