統計は語る

ペットブームは頭打ち?

 

新型コロナウイルス感染症の感染拡大の時期に、行動制限等により自宅で過ごす時間が増える中、 癒しを求めてペットを飼う人が増加したことを記憶しているだろうか。最近のペット関連の指標をみると、堅調とは言いがたく、むしろ頭打ちあるいはピークアウトかもしれない。今回は、ペット関連について調べてみた。

犬の登録頭数は減少傾向に

犬を飼育するためには、狂犬病予防対策として予防注射と最寄りの保健所あるいは市町村に登録義務がある。犬の登録頭数をみると、2009年度(2010年3月末現在)の688万頭をピークに2021年度末(2022年3月末現在)には、610万頭まで減少している。

猫に関しては、犬のように登録制度が存在しないため、一般社団法人ペットフード協会の令和4年(2022年)全国犬猫飼育実態調査(以下、犬猫調査)によると2020年863万頭、2021年895万頭、2022年884万頭と2021年をピークに減少している。話題になった「ペットを飼う人が増えた」のからくりは、「新たに」飼育する人が増えたようだ。同じく犬猫調査によると、新たに犬の飼育を始めた頭数は、2019年35万頭、2020年42万頭、2021年40万頭、2022年43万頭と2020年以降は40万頭近傍で推移している。同じように猫についてみると、2019年39万頭、2020年46万頭、2021年49万頭、2022年43万頭と2022年は減少したが、3年連続で40万頭を超えているようだ。

ペット・ペット用品販売額は頭打ち傾向

商業動態統計のホームセンターからペット・ペット用品の販売額をみてみる。この「ペット・ペット用品」には、生体としてのペット、ペットフード、ペット用品等が含まれる。ペット・ペット用品の販売額は、2020年度に前年度から212億円増加して2806億円となったが、2021年度、2022年度の販売額は、それぞれ微増、微減となっているようで、頭打ち傾向を見せている。一部のホームセンターでは、生体の取り扱いをやめる報道がありその影響があるのかもしれない。

また、犬猫調査によるとペットフードの入手先の変化があるようで、犬を飼育している人のドッグフードの入手先は、2020年は66.2%がホームセンターやディスカウントストアとなっていたが、2022年には61.0%に減少し、変わってインターネット通販やドラッグストアから入手する人が増えているようだ。猫のキャットフードも同じく入手先がホームセンターやディスカウントストアからドラッグストアに変化する傾向があるようだ。ホームセンターでのペット・ペット用品販売額の頭打ち傾向は、生体の取り扱い中止に加えて、ペットフードの入手先の変化による影響が考えられる。

ペット・クリニックの動向も変化

ペット・クリニック(動物病院)の活動は、第3次産業活動指数からみることができる。

グラフをみると、2016年度から2020年度まで拡大傾向にあるが、2021年度に大きく下落している。2020年度は、新たにペット飼育を始める人が増えた影響も考えられる。

家計調査から支出面をみてみると、ペット・クリニック(動物病院)と同様にペット・他のペット用品も2020年度をピークにしたような似た動きをしているが、ペットフードや他のペット関連サービス(トリミングなど)は、増加している。ペットを飼育するためには、それなりの支出が伴うため、一時的に節約志向が表れたかもしれない。

まとめ

以上をまとめてみると、犬については登録された頭数については減少傾向が鮮明だ。猫については、確かな情報の把握は難しいようだが、犬猫調査によると横ばいのようだ。

一方で、飼育にかかるコスト、つまりペットフード、ペット用品については頭打ちの様相も見えるが減少はしていないように見える。ペットフードも犬用は消費者物価指数によれば、2022年4月から値上がりしている。猫用のペットフードも同様に2023年4月以降急激に値上がりしている。犬猫調査によれば、犬1頭について1ヶ月あたりのペットフード代、医療費等も含めて13,904円ほど必要とされている。同様に猫1頭については1ヶ月あたり7,286円ほど必要とされている。

生体に関しては、公式なデータがないが、2019年頃は人気の高いトイプードルやチワワが一般的なペットショップでは20万から30万円程度で販売されていたが、最近は40万円を超える価格になっている。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大による行動制限をきっかけに始まったペットブームだが、 初期費用と維持費用の負担に加えてペットを飼育する住環境が整った人に限定されていくので、ペットブームも一時的なものとなる可能性が高いように見える。

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