美穂さんは玄関からリビングへ入らず、直接2階の角部屋に案内してもらうことに。義母が布団を敷いてくれて、そのまましばらく横になることになったそうです。
「夫も『大丈夫? ゆっくり寝てなよ』と心配してくれました。名古屋観光で結構歩いたので疲れもあって、その後すぐ眠ってしまいました」
美穂さんが目を覚ますと、部屋には夫の代わりに義父母がいます。
目覚めた時は、まだ頭がフワフワしていた美穂さん。そんな中、そばにいた義父が美穂さんを見て「こりゃ、ちんちこちんだら」と言います。義母も「美穂さん、ちんちんになっとるがね」と続けたそう。
「私、姉妹で育ってきたので『ちんちん』という慣れないワードを大人が発言していることに対して、異常に反応してしまって……。
義父母の話し方も正直、語気が強くてもともと苦手だったんです。熱も高かったし、あの時はまるで怖い夢を見ているかのようで。恐怖を感じて、涙が出ました」
東京育ちの美穂さんにとって、初めての帰省での発熱と慣れない義父母の方言はただただ、“恐怖”だったと言います。
「結局、帰省最終日にようやく熱が下がり、東京に帰ることになりました。義父母には迷惑を掛けてしまって申し訳なかったです」
東京に帰り、元気になった美穂さんは名古屋の方言について調べたそうです。
「『ちんちん』や『ちんちこちん』って、名古屋では『熱い』とか『すごく熱い』という意味の方言だったんです。それに名古屋弁は優しく喋っても、少し怒っているように強く聞こえるみたい。
自分が育った環境と夫の家族が違い過ぎて戸惑うことも多いですが、年に2回の帰省を続けていきながら、少しずつ名古屋弁にも慣れていきたいです」
義娘である美穂さんを気遣い、支度や看病してくれる心優しい義父母。美穂さんが名古屋弁に慣れ、義父母と打ち解けるのも時間の問題でしょう。
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<取材・文/maki イラスト/ただりえこ>