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(写真・琉球新報社)

米軍属女性暴行殺人事件で、殺人や強姦(ごうかん)致死などの罪で起訴されたケネス・フランクリン・シンザト(旧姓ガドソン)被告(32)が、裁判員裁判の管轄を那覇地裁から東京地裁に移転するよう求めていた件で、最高裁第二小法廷(小貫芳信裁判長)は3日までに、請求の棄却を決定した。1日付。公判は那覇地裁で開かれる。

 

ケネス被告側は報道や抗議活動の影響で県民に予断があり、厳罰を望んでいるなどとして、管轄移転を求めていた。

 

最高裁は決定で、裁判員裁判の裁判体は公平・中立性に配慮して選ばれた裁判員と、職業裁判官で構成されると指摘。「法と証拠に基づく適正な裁判が行われることが制度的に十分保障されている」として、請求に理由がないとした。補足意見で千葉勝美裁判官は「沖縄県の特殊事情、県民のさまざまな思いがあったとしても、適正な手続きで選任された裁判員として、法と証拠に基づく公正な裁判の実現を目指すことは十分に信頼できる」とした。

 

ケネス被告の弁護人を務める高江洲歳満弁護士は「不服を申してもしようがなく、決定について何か申し上げることはない」と述べた。一方で、10代のころにケネス被告がうつ病を発症し通院していたと明らかにし、米国から当時の資料を取り寄せているとした。資料を精査した上で、今後2週間程度で精神鑑定を申請するかどうか判断したいとした。

 

管轄移転が退けられたことに対し、被害者遺族らの代理人を務める村上尚子弁護士は「社会的に注目を集め報道される事件は多くある。だが裁判員裁判には職業裁判官も入るため、恣意(しい)的に判断される制度ではない。当然の決定だ」と語る。その上で「東京地裁での審理となれば遺族が参加する場合、負担が大きかったので安心している」と話した。

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