©2020 Third Man Films Pty Ltd

 故郷を遠く離れ、国を背負って、異国の地で闘うということはどんな競技であれ、大変なプレッシャーであり、名誉なことだろう。

 現在、サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会がまさに開催中。というわけで、このタイトルなのか、『チーム・ジンバブエのソムリエたち』はフランスで行われる「世界ブラインドワインテイスティング選手権」にジンバブエ共和国出身の4人のソムリエが挑むドキュメンタリーである。

ジンバブエから南アフリカに逃れてきた難民

 タイトルからして、勝手にスポーツ・コメディ映画『クール・ランニング』みたいなほのぼの展開をイメージしていた。確かにここに出てくるソムリエたちは皆、明るい。けれど、彼らはこれまで想像を絶するような苦労をしてきた。すでに艱難辛苦を乗り越えてこそのポジティブさなのだ。あれ以上の悲劇はない。だから、前を向いている。

©2020 Third Man Films Pty Ltd

 ジョゼフ、ティナシェ、パードン、マールヴィンは南アフリカ共和国で働くソムリエたち。生まれ育ったジンバブエから命からがら逃げてきた難民である。なかには家族に内緒で国を超えた者、家族を国に置いてきた者もいる。

©2020 Third Man Films Pty Ltd

 南アフリカに来ても生活の保証はない。アパルトヘイトが廃止されたとはいえ、ジンバブエ時代の前職はほとんど白人が占めていて、外国人にチャンスはなく、一から働き始めなくてはならない。それでもジンバブエよりはまし。4人は元々、知り合いではなかった。彼らを結ぶ共通点はワインだ。