名誉記者団

2022.06.09

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東京・港区にある韓国大使館前には朝から観光ビザの発給を求める長い行列ができた。写真は6月1日、早朝5時45分、1〜50人目までの様子。この時はまだ混雑していなかったが…

東京・港区にある韓国大使館前には朝から観光ビザの発給を求める長い行列ができた。写真は6月1日、早朝5時45分、1〜50人目までの様子。この時はまだ混雑していなかったが…


[東京=吉岡香織(日本)]
[写真・動画=吉岡香織]

2022年5月1日に、6月1日から韓国の観光ビザ発給が開始されるというニュースが流れました。5月4日の済州島観光ビザ免除措置再開では日本が対象外ということで落ち込んだ方も多かったと思うので、この吉報にいっそう心が躍ったのではないでしょうか。

在日本大韓民国民団ニュースや韓国の中央日報などによれば、6月1日、東京・港区にある韓国大使館前には観光ビザの発給を求める450メートルを超える長蛇の列に約1000人が並んだといいます。実は私もその中の1人なので、観光ビザ申請体験を紹介したいと思います。

観光を含む短期訪問ビザでの韓国入国が可能になることが発表になってから、もっとも早く駐福岡大韓民国総領事館が動き、5月20日からビザ申請の受付を開始しました。ところが、申請者が予想以上に多かったのか、当初は発給までにかかる期間は1週間だったのが、23日には2週間に変更になりました。

その後、東京の駐日本国大韓民国大使館(領事部)でも6月1日から受付が開始されましたが、申請から発給まで3~4週間かかるとのこと。ビザに手が届きそうで届かないもどかしさと、渡韓があと一歩まで迫ってきた喜びが行ったり来たりで心が落ち着きませんが、やはり楽しさや期待感など前向きな気持ちの方が勝ります。

● 6月1日、ビザ申請までの流れ

駐日本国大韓民国大使館(領事部)と在日本大韓民国民団中央本部の入る韓国中央会館。6月1日に配布された整理券。

駐日本国大韓民国大使館(領事部)と在日本大韓民国民団中央本部の入る韓国中央会館。6月1日に配布された整理券。


皆さんすでにご存知かと思いますが、日本には10の領事館(領事部)があり、自分の居住地域を管轄する領事館でなければ申請できません。領事館ごとに必要書類、受付方法、審査に要する期間など必要条件が異なりますので注意が必要です。

私は東京在住なので、港区麻布にある領事部に申請に行きました。申請日より1カ月後以降の航空券予約確認書の提出が必要、つまり6月1日に申請するには7月1日以降の航空券が必要との案内がありました。そこでまず、5月25日、東京の受付開始の発表を受けてすぐ、7月2日に出発の航空券を予約。韓国での滞在場所の情報も必要なのでホテルも予約しました。

せっかく予約したのに肝心のビザ申請を達成できなかったら大変!終電で行き徹夜で並ぶべきか悩みましたが、一人なのでトイレに行きたくなったら困ると考え始発で向かうことにしました。午前5時45分頃に領事部に到着し、果たして私は何番目になるのか、人数を数えながら最後尾に進んでいったところ、51番目。おそらく申請はできるだろうと胸をなでおろしました。普段はあまりやっていないツイッター(Twitter)ですが、こういう時は情報が早いのではないかと検索してみると、やはり、午前3時の時点で40人くらい並んでいるという投稿が。それを見て慌てて出発した人もたくさんいたのではないでしょうか。先頭の方は前日の午後7時頃から並んでいたそうです。

私は、疲れないように屋外イベント用の小さな椅子を持参し、携帯への動画ダウンロード、韓国語の教科書なども用意したので、3時間の待ち時間はあっという間に過ぎ、むしろ動画を見たくて時間が足りないくらいでした。幸いなことにお天気も良く、早朝で日陰だったためか暑くなりすぎず助かりました。

6月1日(左)、6日(右)の様子。特に6日は、雨だったにも関わらず、たくさんの人が並んでいた。

6月1日(左)、6日(右)の様子。特に6日は、雨だったにも関わらず、たくさんの人が並んでいた。


午前8時半を過ぎた頃だったか、観光ビザ申請と、その他の短期ビザ申請の列に分けられ、整理券が配布されました。早朝に到着した時は51人目だったけれど受け取った整理券は何故か67番。最初にその他のビザの方々が入館していき、その後から観光ビザの列が動き出し、入館できたのは午前10時少し前。エレベーターでビザ申請をする3階に上がったものの、人で溢れかえっていたため、階段に並ばされました。午前11時過ぎに番号が呼ばれて申請書類を提出し、11時20分頃には預けたパスポートを引き取る際に必要な用紙など受け取ることができました。

申請を終えて外に出ると、まだまだたくさんの人がいました。朝とは異なり日差しが強くなっていたので大変だったと思います。初日にあまりにも人が多く焦ったのでしょうか。翌日の2日に申請するために、1日の朝9時からそのまま24時間並び続けた人もいたり、午後11時の時点ですでに150人くらいだったなど、徹夜をしなければ定められた受付制限数(1日に150人)に入れないという報道やTwitterの投稿もありました。近くに公衆トイレやコンビニエンスストアがあり、見知らぬ人同士が協力し合って交互にトイレにも行けたようで、何よりです。

● 少しずつ変化する申請方法、申請前に確認を

全国10カ所の領事館と管轄都道府県、沖縄から福岡に申請に行かなければならない(左)。最初に発表されたビザ申請に関する内容(中央)。6月6日からの変更注意点がハイライトで示され更新された(右)。

全国10カ所の領事館と管轄都道府県、沖縄から福岡に申請に行かなければならない(左)。最初に発表されたビザ申請に関する内容(中央)。6月6日からの変更注意点がハイライトで示され更新された(右)。


報道によると、東京の領事部では、6月1日は申請時間を延長し、205件を受付。翌日からは一日に先着150件までに制限されました。週明けからはビザの種類が変更、有効期間内は何度でも往復できるというマルチプル申請ができなくなり、往復1回のシングル申請のみになったのは残念な点です。ですが、領事部にパスポートを預けなくてよい=取りに行かなくてよいことになり、インターネットで申請許可の確認ができたら自身でダウンロードするだけになるという改善もありました。

そして、出発日によって申請日を振り分けるという変更が発表されましたが、その導入によって混雑は解消されるのか?6月6日に再び領事部前を訪れてみました。前日からあいにくの雨だったにもかかわらず、たくさんの人が並んでいました。私の時とは違い、観光ビザ申請がその他のビザ申請より先に入館していて、入口で書類の不備がないかチェックを受けているようでした。初日は、せっかく申請窓口まで行けたのに書類の不備で受け付けてもらえない方もおり、混乱が生じていました。なので、入館してから申請までの流れは前よりスムーズになったのではないでしょうか。外で采配をしていた職員さんも初日は大勢いましたが、この日は一人でこなしていました。

いち早く申請を終えて出てきた、お友達と二人で来ていた女性の方々にお話を伺うと、前日の夕方6時から並んで6番目だったそうです。別の方は当日の朝5時から並んだそうで、50番前後に見えました。領事部の職員の方も想像していたより少なかったのか、ビジネスの列に観光ビザの人が間違って並んでいないか声をかけにいっていたほど。11時頃に来ても100番くらいで受付ができていたというTwitterの投稿もありました。

初日から比べ、少しずつシステムが変更されて混雑も減ってきているように見えました。領事部の皆さんが試行錯誤してくださっているおかげだと思います。本当にどうもありがとうございます。

  6月6日、午前8時半前頃、雨の中、傘を差しながら頑張って並ぶ人々


● 様々な渡韓の理由

韓国の観光ビザ発給開始に行列ができたことは、たくさん報道されていました。素敵な取材もありました。NNNソウル特派員の方によるもので、福岡に住む女性が韓国で働く娘さんに会うために、観光ビザを取得し6月4日に渡韓。無事に再会できとっても嬉しそうなお母さんの笑顔や、美味しいものを食べ楽しく過ごす姿に、見ている側も嬉しくなりました。また、不安に思っている人も多いであろう入国後の空港でのPCR検査にも密着し、検査場所やその後の流れも伝えてくれ、難しくないから大丈夫という情報はとても役立ち、安心感を得られました。

移住している家族や知人に会いに行きたい、韓国料理や文化芸術や歴史が好きだ、私事ですが「ナヌムの家」に暮らす94歳のハルモニ(お婆ちゃん)に会いたいなど、渡韓の目的は多様だと思います。

しかし、日本の報道はK-POPなど韓流スターに会いたいという部分を主に取り上げているほうが多かったように感じます。実際、申請ができるのは平日午前のみで社会人には行くことが難しく、若い学生などが多いと思うので、ビザ取得の目的としてエンターテイメントに比重が大きくなるとは思います。取材を受けてくれる人も多くはいないと思うので、偏ってしまうのは仕方がない部分もあると思います。とはいえ、韓流エンターテイメントを好きなのは悪いことではないのに、好奇の眼差しを浴びせている報道もあり、残念に感じました。動画配信サービスやYouTubeで韓流を楽しんでいる人が多く、韓国のドラマや映画や音楽が国際的な評価を得るたびにこぞって取り上げ賞賛する報道とは、正反対で悲しいです。

また、仕事があって休めなかったり、領事館から近い人は何とかなっても、県を超えて申請に行かなければならないためにそもそも不可能だったり、せっかく遠くから来たのに人数枠に入れず、再び都合をつけて来るのは難しい、など不平等も生じていて、不満の声が上がるのもわかります。しかし、コロナが拡大した後、先にビザ免除措置を停止したのは日本、そして、一日当たりの申請人数制限はあるとはいえ、個人の観光ビザ発給を再開しているのは韓国側のみで、日本側は韓国人の団体旅行は認めつつも、個人の観光入国を認めていない状況です。よく「相互主義」という言葉が登場しますが、その観点から見れば日本側の入国規制の方が強いので、韓国側にばかりあれこれ要求するのは理不尽ですよね。私たちが思いを伝えるべきは、まずは日本政府に対してではないかと感じています。

コロナ禍の最中にさらに強さを増した私たち韓国LOVERSは、いつでも往来ができる心地よい日韓関係を保つために、時には社会の問題にも目を向けながら、力を合わせて行動する、そんな世界をみんなで築いていけたら素敵だし、できるだろうと、今回のビザ申請への情熱的な姿を通して思い、うれしくなりました。

*この記事は、日本のコリアネット名誉記者団が書きました。彼らは、韓国に対して愛情を持って世界の人々に韓国の情報を発信しています

km137426@korea.kr