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祖国革新党支持者「尹政権と最も戦えると期待」

登録:2024-03-25 08:47 修正:2024-03-28 08:47
祖国革新党のチョ・グク代表(右端)が24日、大田で行われた大田市党結党行事に参加し、「政権審判」を叫んでいる/聯合ニュース

 「『3年は長すぎる』というスローガンに気持ちが一気に傾いた。祖国革新党は3年も任期の残っている尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権けん制をしっかり始めてくれると思う」

 ソウル銅雀区(トンジャック)に住む40代の会社員Jさんは、4月10日の総選挙で「地民比祖」(地域区(選挙区)は共に民主党、比例代表は祖国革新党)投票をすることを最近決心した。2020年の総選挙と2022年の大統領選挙では民主党に票を投じたというJさんは、24日のハンギョレの電話取材で、「今の民主党はもどかしい。祖国革新党結党のニュースに接して民主党の比例代表候補の名簿は調べもしなかった」と話した。

 祖国革新党旋風が巻き起こっている。祖国革新党は結党して20日もたっていないが、様々な「比例代表政党投票意向」調査で20%内外の支持を記録し、民主党の衛星政党である共に民主連合を脅かしている。10議席を見込んでいるが、勢いを保てば15議席も期待できる。

 ハンギョレは17日後の総選挙で祖国革新党に投票するという13人の有権者に電話でインタビューし、その背景を探った。彼らは2019年前後の「チョ・グク大戦」当時の政治的立場にとどまらず、「今は祖国革新党が尹錫悦政権と最も戦える政党なので支持する」と口をそろえた。

■尹錫悦政権と戦う「砕氷船」期待

 祖国革新党の支持層は「尹錫悦政権に対する強い怒り」という感情を共有する。「地民比祖」するというKさん(ソウル、40代)は、「尹大統領の態度は非常識すぎる」とし、「被疑者を大使として派遣するとか(イ・ジョンソプ駐オーストラリア大使)、配偶者がブランドバッグを受け取るとか、受け取っても何の制裁もしないとかが常識なのか」と述べた。

 このような怒りは野党支持層全般に広がっている。にもかかわらず、祖国革新党を通じてそれを表出しなければならない最も大きな理由は、「民主党が頼りないから」だ。これまで民主党に投票してきたGさん(大田、30代)は、「民主党は票ばかり意識して野党第一党として機能していないから、今回は祖国革新党に投票する」と話した。2022年の大統領選挙での敗北後に民主党を離党したというイ・ジョンウさん(光州、50代)は、「今は尹錫悦政権と誰がいちばん戦えるかがカギだが、民主党は180議席を獲得した後が最も生産性が低かった」とし、「民主党が80、第三党が20を獲得した方がましだ」と話した。「確信に満ちた戦略的支持」というわけだ。

 彼らの共通する要求は「より強い野党」だ。「検察独裁政権の早期終息」や「砕氷船となって先頭に立つ」というメッセージ、当選後に真っ先に立法化することを公約した「ハン・ドンフン特検法」など、祖国革新党のはっきりした路線が彼らの「かゆいところ」を正確にかいているということだ。

 チョ・グク代表はこの日、ソウル汝矣島(ヨイド)の党本部で行われた選挙対策委員会の発足ブリーフィングでも、「火花が最も熱くなった時に赤を通り越して青になるということに着目し、選挙対策委員会の名称を『青い火花選挙対策委員会』と定めた」と語った。続いて大田と忠清北道清州(チョンジュ)を訪れ、「4月10日は尹錫悦政権の『大破産の日』となるだろう」、「この政権の危険な逆走にブレーキをかける。私がいちばん前で、そしていちばん最後まで戦う」と訴えた。

■別の場所から同じ場所を眺める支持層

 興味深いのは、祖国革新党の支持層の中でも民主党を否定的に評価する根拠が衝突しており、それによって投票の意向も異なるという点だ。チェ・ミソンさん(全羅南道、42)は「民主党の議員たちはイ・ジェミョン代表を中心に団結し、野党らしく戦うべきなのに、自分たちの政治ばかりしているように思う」と話した。そして「選挙区は民主党に投票するつもりだが、比例代表は祖国革新党に入れようと思っている。犠牲は少し伴うだろうが、民主党に今より緊張感を持たせて政権審判をきちんと行わせるためには、祖国革新党が強く推し進めなければならない」と述べた。

 一方、ソウルに住む40代の会社員のSさんは「民主党の候補公認の過程を見守っていて、イ・ジェミョン代表の非民主的な公認のやり方に大きく失望した」、「比例は祖国革新党に投票するが、選挙区で民主党に投票するかはまだ決めていない」と述べた。ただしSさんは「チョ・グク代表のダブルスタンダードには失望したし、今も彼に罪がないとは思わないが、今回の総選挙の判断基準は尹錫悦政権の審判」だとし「今は尹大統領の対極にチョ・グクが立っていると思う」と付け加えた。

 60代のKさんは古くからの民主党員だったが、先日祖国革新党に党籍を移した。Kさんは「大統領選挙を闘ったのは民主党で、失敗したのも民主党なのに、すべて文在寅(ムン・ジェイン)政権の責任にしているものだから失望が大きかった」と話した。Kさんは「投票はするが、選挙区より比例代表が優先」だと述べた。

 祖国革新党は投票の放棄を考えていた人々の一部も取り戻している。政府与党に怒りを感じているにもかかわらず民主党も信じられない野党支持層に、第3の選択肢を提供したのだ。Nさん(慶尚南道梁山、40代)は、「尹錫悦大統領は民生の役に立たないし意思疎通もできない。しかしイ・ジェミョン代表も様々な疑惑の中心にあり、気に入らない」とし、「いっそのこと祖国革新党に入れる」と述べた。民主党にとっての「一時的冷淡者」である彼らは、祖国革新党に票を投じるために投票所に行ったついでに、選挙区では民主党に投票する可能性が高いと分析される。

■チョ・グク代表の最高裁判決などの変数はそのまま

 だが、世論調査の結果が実際の投票行動につながるかは未知数だ。祖国革新党のキム・ボヒョプ報道担当は、「比例代表候補が決定したので、与党と保守メディアが本格的に候補の過去の行いや発言などについて攻勢に出てくるだろう」との見通しを示した。民主党との関係もリスクの一つだ。「選挙戦の終盤に民主党と祖国革新党との神経戦が過熱し、野党陣営に亀裂が生じれば、選挙にとって悪材料となりうる」というわけだ。

 チョ代表の「司法リスク」は選挙前には機会、選挙後には試練になるとみられる。チョ代表は子どもの入試不正、大統領府監察もみ消しなどの疑いで、二審で懲役2年の実刑を宣告され、最高裁判決を控えている。祖国革新党は「チョ代表の司法問題は支持層の同情と怒りを誘発し、結集させる面がある」(シン・ジャンシク首席報道担当)とみている。支持層にはチョ代表の去就問題が一種の「背水の陣」や「スケープゴートの物語」として受け取られるということだ。実際に支持者たちは「チョ代表は検察の犠牲になった側面があるので、むしろ投票で民意を示すべきだ」と口をそろえた。

 問題は選挙後だ。最高裁が事件を無罪趣旨で破棄差し戻しすれば、チョ代表はイ代表の強力なライバルになるとみられる。しかし可能性は低い。逆に刑が確定すれば、党の求心点であり象徴であるチョ代表は議員職を失うことになる。かつての開かれた民主党のように、民主党に吸収される可能性も排除できない。まだ両党は、総選挙後の統合の可能性は否定している。

ノ・ジウォン、オム・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/election/1133643.html韓国語原文入力:2024-03-25 05:00
訳D.K

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