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非武装地帯の地雷撤去、「越えられない山」ではない

登録:2019-10-14 02:07 修正:2019-12-17 14:43
韓国だけでも100万~130万発ほど埋設と推定 
国際社会の協力得れば予算と時間を大幅に削減
京畿道漣川郡長南面高浪浦里の敬順王陵に向かう道。脇の鉄条網に地雷の表示板がかかっている//ハンギョレ新聞社

 非武装地帯(DMZ)一帯は生態系の宝庫だが、100万発以上の地雷が埋まる「地雷原」だ。京畿道北部と江原道の民間人統制区域(民統線)周辺の森の中では、あちこちで地雷の警告板が当たり前のように見られる。

 地雷が大量に埋まっていることも問題だが、より大きな問題は他にある。どんな地雷がどこにどれだけ埋まっているのか誰も知らないということだ。朝鮮戦争の過程で、国軍や米軍、人民軍、中国軍は、誰彼なしに前線のあちこちに地雷を埋めた。このような作業は戦争が終わった後も変わらなかった。冷戦期の1960年代にも米軍は民統線に地雷を集中的に埋めたが、これらの地雷はほとんど未確認地雷として残った。1970年代初めに米軍は民統線から撤収したものの,、関連情報を韓国側に伝えなかったためだ。環境団体「生態地平」は、このように放置された未確認の米軍の地雷が60万発程あるものと推定している。政府や市民団体、専門家の推定値を総合すると、韓国には米軍が埋めた地雷を含めておよそ100万~130万発の地雷が埋められているものとみられる。

 軍は1990年代から毎年4億ウォン(約3600万円)あまりをかけて非武装地帯と後方地域の地雷を撤去している。年間回収量は500発ほどだ。環境団体「緑色連合」は、このようなやり方では韓国のすべての地雷を取り除くのに1兆340億ウォン(約1200億円)のコストと469年という時間がかかると指摘する。

 これと関連し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は先月24日の国連演説で、非武装地帯の地雷撤去に向けた国際社会の協力を要請した。文大統領は「国連地雷対策サービス部など国際社会との協力は地雷撤去の透明性と安全性を保障するだけでなく、非武装地帯を一気に国際協力地帯に作り上げる。非武装地帯を国際平和地帯にしよう」と提案した。

 専門家たちも国際社会との協業が必要だと指摘する。地雷被害者を支援する民間団体「平和ナヌム会」のチョ・ジェグク代表は「地雷問題の解決のために非武装地帯一帯の地雷地帯を国際社会に開放し、国連など国際機関の協力を引き出せれば、朝鮮半島の地雷撤去は越えられない山ではない」と述べた。

 非武装地帯の地雷は撤去せず、地雷の寿命が尽きるまでそのままにしておこうという意見もある。ソウル大学環境計画研究所のユ・ジェシム博士は「地雷の寿命は100年以上という。地雷が自然に機能しなくなるまで30年程度待てば、非武装地帯は大きな森となり朝鮮半島の肺になるだろう。その森を保全するか開発するかについては、南北の次の世代が協議して決定すればいい」と語った。

文/写真 パク・ギョンマン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/area/capital/912931.html韓国語原文入力: 2019-10-12 05:00
訳J.S

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