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国家情報院を庇ってきたのに今になって責任追及…朝鮮・中央・東亜日報 なぜ豹変?

登録:2014-03-11 00:08 修正:2014-03-11 07:27
‘証拠偽造’疑惑無視して‘スパイ疑惑’ばかり特筆大書し
国家情報院・検察主張に力を添えてきたのに、いきなり国家情報院を批判
朝鮮・中央・東亜日報/資料写真

‘ソウル市公務員事件’の証拠ねつ造論議を無視して国家情報院の肩を持ってきた保守言論がいきなり立場を変えた。 ねつ造疑惑が事実であることが確実になり国家情報院と検察が追い詰められるや遅れて責任追及に乗り出した。 ‘公安追い込み’に便乗した言論の態度がこうしたギクシャクを産んだわけだ。

■証拠偽造論議にも‘スパイ疑惑’ばかり強調

 <東亜日報>は昨年1月21日、脱北後にソウル市公務員として仕事をしていたユ・ウソン氏が拘束されたという事実を最初に報道した。この新聞はこの事件を基に3回にわたり‘脱北者スパイ’企画シリーズを連載した。 <朝鮮日報>と<中央日報>も同様な報道態度を見せた。

 しかしこの新聞は1審裁判過程で火が点いた証拠偽造疑惑については概して無視した。 国家情報院が主要証人として前面に立てたユ氏の妹が "懐柔・脅迫のために虚偽の自白をした" と証言し、国家情報院が提出した写真がねつ造されたものであることが明らかになったにも関わらず、これを正しく報道しなかった。 昨年8月、ユ氏が1審でスパイ容疑について証拠不充分で無罪を宣告された時にもこの新聞は短く伝えただけだ。

 今年2月14日、控訴審裁判所が中国当局から‘ユ氏のスパイ容疑の証拠として提出された書類3件は偽造されたもの’という回答を受け、検察が真相調査に突入したことによりねつ造疑惑は本格化した。 朝鮮・中央・東亜日報などは「手続き上の瑕疵の可能性がある」という検察と国家情報院側の主張を引用し、中国当局と韓国内の情報機関が東北地域情報戦で力比べする渦中で偽造論議に火が点いた可能性があると分析した。 証拠ねつ造の可能性が大きく浮上しているにも関わらず問題の深刻性を無視したわけだ。

■積極的‘焦点ボカシ’試図まで

 保守新聞は以その後、真相把握に注力するよりは国家情報院と検察をかばう‘論理’まで持ち出して、権力の見張り役ではなく‘スポークスマン’に近い姿を見せた。

 東亜日報は国家情報院の主張をタイトルと記事内容で大きく引用した。 2月18日付記事で "国家情報院が(…)正式司法協調手順を踏まずに自国民の身辺に関連した情報を入手して韓国の裁判所に提出したことに対して、中国政府が‘警告’したという分析もある" と報道した。 二日後 "出入境記録原本2ヶ、官印の位置が異なるのは一緒に発給を受けて印鑑をそれぞれに捺したせい" という検察の説明を表題に掲げた。 同日の記者コラムは、証拠偽造論議は "政略的攻防" だと規定した。 また "公開攻防を行う中で、これまで作り上げてきた人的情報網が毀損されている" という‘公安当局者’の話を引用した。 それと共にユ氏のスパイ容疑を追加立証しようとすることに注力した。 同月24~25日には、ユ氏をスパイ申告したという脱北者が 「ユ氏はスパイであることは事実」と主張する内容を伝えた。 しかしこの申告者の主張は、すでに1審裁判で排斥されたものだった。

国家保安法上のスパイ容疑で起訴されたユ・ウソン氏(左から4人目)が2月28日午後、ソウル瑞草区(ソチョグ)のソウル高裁で開かれた控訴審公判に出席している。 連合ニュース

 朝鮮日報と中央日報も論議を‘国益’と連係させて、国家情報院をかばう態度を見せた。 朝鮮日報は2月17日付で "中国大使館と韓国外交部という正規ラインを経ずに該当機関に直接接触した検察・国家情報院側の手続き上の問題を指摘するために(中国当局が) ‘偽造’と判定した可能性があるという分析もある" と書いた。 同月26日付客員記者コラムは "脱北者を偽装したスパイが暴れ狂っている。 (…)それでもユ氏側弁護人は彼の主張だけが正しくて、国家情報院が全てをねつ造したかのように追い立てている" と主張した。 中央日報も2月24日付‘証拠偽造論議、韓・中 情報戦争拡散するか’記事で "国家情報院の海外活動に対する中国政府の牽制が反映された事件" という国家情報院の説明を大きく扱い、中国の回答に別の背景があるかのように表現した。

■国家情報院協力者 自殺企図の後になって "国家情報院 責任"

 保守新聞の態度が変わったのは3月6日、国家情報院‘協力者’キム・某氏が国家情報院の依頼で偽造文書を手伝ったという趣旨で検察で述べた後に命を絶とうと試みてからだ。 偽造の事実が明白になり国家情報院の責任を問わざるをえなくなったわけだ。 東亜日報は8日付社説で "偽造された文書が司法手続きを傷つけることを国家機関が放任したとすれば綱紀紊乱行為に違いない" として、国家情報院に責任を問うた。 朝鮮日報も10日の社説で "今、国家情報院に関連したすべての問題の土台には無節制な信念がちらついている" とし、ナム・ジェジュン国家情報院長が "責任を負わなければならない" と主張した。

 カン・サンヒョン延世(ヨンセ)大教授(言論広報映像学部)は、保守言論に対して「‘公安追い込み’を追求して、証拠偽造事件に対しても国家情報院の肩を持ち、今になってもはや実益がないから手を引いている。 状況に応じて有利な側に立つ姿」と批判した。 チェ・ウォンヒョン記者 circle@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/media/627627.html 韓国語原文入力:2014/03/10 23:01
訳J.S(2371字)

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