【声の野鳥だより】40

水辺で澄んださえずり/セグロセキレイ

 スズメ目セキレイ科で体長21センチ。ハクセキレイと同じ仲間で姿も似ているのですが、頭頂から背中、のどの周りから胸、翼の大部分が黒いセキレイの仲間です。

 地鳴きは「ジジ」とか、「ジィッ、ジィッ」と、ハクセキレイに比べると地味に聞こえます。ただ、さえずりははるかに素晴らしく、「ジョイジョイ」や「ジュジュ」という音が混じっているものの、「チィギョ、チギョ、ピチピチ、ジュイーッ、チョイチョイ、ジュイーチュチュ、ツクツクピンピン、チユチユチュチュチージ、チュリーチュリチュリ」などと透き通った良い声で長くさえずります。

 こうしたセグロセキレイのさえずりは、春の繁殖期だけでなく、秋の10月ごろにも聞くことがあります。私は5月に自宅付近の川幅が7~8メートルの浅い川で、小石がごろごろ頭を出している上を時折移動しながら長くさえずったセグロセキレイを幸いにも録音したことがあります。

 それは鳴き声の良さで知る人が多いオオルリやキビタキにも劣らない美しいさえずりで、私のベスト録音の一つと言ってよいほどでした。

 ハクセキレイは、水辺の鳥なのに、遠くはなれた道端や空き地、駐車場などにもいることが多いのですが、姿が良く似たセグロセキレイは川の河口部から中流域で見ることが多い鳥です。それはハクセキレイとの食性の違いだと私は考えています。 スズメ目セキレイ科で、体長21センチ。普通に見られる3種のセキレイ(ハクセキレイ、セグロセキレイ、キセキレイ)の中では、街なかでももっとも目にする機会が多いセキレイです。

 名前の通り、体色はほぼ白一色のように見えますが、よく見ると、頭部から背中の一部と喉もとに黒い部分があります。それらの部分が黒いものは雄で、灰色が多いのは雌か若い個体です。体と同じぐらい長い尾があります。地上に下りて餌を探している時、突然立ち止まってその長い尾を上下に素早く振ります。この動作から「嫁ぎ教え鳥」の別名があります。

 低く飛ぶ時に「チュチン、チュチン」あるいは「チュイチー、チュイチー」と鳴きます。

 ハクセキレイの食べ物は、小さな昆虫や植物の種子で、海岸や河口部の砂地、川岸、畑、水田などで餌を探しますが、時には街なかの道路や駐車場などの広い地面をチョコチョコと忙しく歩き回って食べ物を探している姿を目にします。そうした生態なので、今では少なくなってしまったスズメより私たちに身近な野鳥と言えるのではないでしょうか。

 夜は橋の下、建物、木に集まってねぐらにします。鳴き声が大きくなく、体色が地味で、舗装された路面などと色が重なって目立ちませんが、ハクセキレイのつぶらな目はとても可愛く感じられます。見かけたときは、ぜひ、癒されながら観察してみてください。

セグロセキレイの鳴き声

 (野鳥録音家・田中良介)

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この記事を書いた人

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