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2023.08.09 | 犬猫通信 for CAT
猫の脳とヒトの脳のつくりは似ている?
1300g〜1400gあるヒトの脳に比べ、猫の脳は30g程度しかないと言われています。大きさを始め異なる点は多いですが、実は基本的な脳の構造はとてもよく似ています。
脳の一番表面部分を覆う大脳新皮質は、判断や思考といった「理性」に関する部分を司り、その内側に広がる大脳辺縁系は情動や意欲といった「感情」に関する部分を司っています。その更に内側、脳と脊髄を結ぶ脳幹は「生命維持」に関することを司ります。
ヒトの脳は、理性を司る大脳新皮質が多くを占めていますが、猫はこの大脳新皮質が発達しておらず、非常に小さくうっすらとしかありません。 本能的な感情や行動を司る大脳辺縁系がほとんどを占めているため、本能や「喜怒哀楽」に起因されることに関してはとても優れています。
つまり、論理的に考え行動する、ということは苦手でも、例えば「どうやったら餌を確実に得ることができるか」といった「狩猟本能」に関する知恵や行動力には目をみはるものがあるのです。
最近の研究で、人と暮らすようになった猫の脳は縮小してきているということがわかってきました。外的ストレスで興奮する機会が減ったり、餌を狩る必要がなく簡単に与えられるようになったことが原因と言われています。
電話番号などを瞬時に覚える記憶を短期記憶と言いますが、ヒトの場合は数秒〜数十秒しかもちません。
一方で猫はこの短期記憶が得意です。60秒から10分程度記憶できることがわかっています。
「嬉しい」「怖い」という感情とともに残った記憶は長期記憶として残ります。そして、その感情が大きければ大きいほど長期にわたって記憶されることもわかっています。
特に危険な事、不快な事に関しての記憶力は非常に優れています。
「痛い」「嫌だ」「怖い」といった感情を伴う記憶に関しては、とても長い間記憶されます。 その不快度が大きければ大きいほどトラウマは大きくなり、一度経験しただけで一生忘れないということもあります。
さらに、猫の好物である餌が実験の材料になると記憶力は長く持続する(10分程度)傾向にあり、逆におもちゃなど猫があまり興味を示さないものを対象にすると瞬時に忘れることがわかっています。
こんな実験があります。たくさんの箱の中の幾つかに餌を入れ、餌が入った箱の上に一定時間ランプを点灯させ、消灯した後、餌の入っている箱をいつまで覚えていられるか、という実験を行ったところ、犬は5分程度しか覚えていられなかったのに対し、猫はおよそ16時間経った後も、餌の入った箱を開け中の餌を取り出すことができるということがわかりました。 この思い出し能力は猿やオランウータン並みで、猫の記憶力がいかに優れているかを証明しました。